ケタル・アタトュルク後のトルコの様子が非常にわかりやすく書かれている。世俗主義がなぜ軍が主導しているのか?西洋の価値観とイスラムの民衆がどのように共存しているのか?について、全く理解していなかったが、本作を読むことで、なんとか状況を把握することができた。
トルコはよりこれから重要度の高い国になっていくだろう。もともと、超大国の座にもいたわけなので、国際的な振る舞いも成熟している。親日国でもあるので、日本人はトルコについて知っておくのは重要なのではないかと思っている。
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トルコ 建国一〇〇年の自画像 (岩波新書 新赤版 1986) 新書 – 2023/8/18
内藤 正典
(著)
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オスマン帝国崩壊と過酷な独立戦争を経て、世俗主義の国家原則をイスラム信仰と整合させる困難な道を歩み、共和国建国一〇〇年を迎えたトルコ。度重なる軍事クーデタ、議会政治の混乱、膠着するEU加盟問題、未解決のクルド問題など様々な課題に直面しつつ、新たな自画像を模索した波乱の過程をトルコ研究の第一人者が繙く
- 本の長さ286ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2023/8/18
- 寸法1.2 x 10.7 x 17.3 cm
- ISBN-104004319862
- ISBN-13978-4004319863
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出版社より
はじめに――トルコの「表の顔」
第1章 トルコの地域的多様性――沿岸と内陸:
第2章 1990年代──不安の時代
第3章 エルドアン政権への道──障壁と功績
第4章 EU加盟交渉の困難な道のり
第5章 世俗主義をめぐる闘い──軍部と司法の最後の抵抗
第6章 エルドアン政権、権力機構の確立──権力の集中はなぜ起きたか
第7章 揺らぎなき「不可分の一体性」と民族問題──クルド問題の原点と和解プロセスの破綻
第8章 直面する課題──いかにして難題を乗り切るか
終章 建国100年の大統領
あとがき
関連年表
商品の説明
著者について
内藤正典(ナイトウ マサノリ)
1956年生まれ。79年東京大学教養学部教養学科(科学史・科学哲学分科)卒業。82年同大学院理学系研究科地理学専門課程中退、博士(社会学・一橋大学)。一橋大学大学院社会学研究科教授を経て、同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授、一橋大学名誉教授。専門分野は現代イスラム地域研究。『アッラーのヨーロッパ──移民とイスラム復興』(東京大学出版会)、『ヨーロッパとイスラーム──共生は可能か』『イスラームからヨーロッパをみる──社会の深層で何が起きているのか』(以上、岩波新書)、『プロパガンダ戦争──分断される世界とメディア』(集英社新書)、『分断を乗り越えるためのイスラム入門』(幻冬舎新書)など著書多数。
1956年生まれ。79年東京大学教養学部教養学科(科学史・科学哲学分科)卒業。82年同大学院理学系研究科地理学専門課程中退、博士(社会学・一橋大学)。一橋大学大学院社会学研究科教授を経て、同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授、一橋大学名誉教授。専門分野は現代イスラム地域研究。『アッラーのヨーロッパ──移民とイスラム復興』(東京大学出版会)、『ヨーロッパとイスラーム──共生は可能か』『イスラームからヨーロッパをみる──社会の深層で何が起きているのか』(以上、岩波新書)、『プロパガンダ戦争──分断される世界とメディア』(集英社新書)、『分断を乗り越えるためのイスラム入門』(幻冬舎新書)など著書多数。
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2023/8/18)
- 発売日 : 2023/8/18
- 言語 : 日本語
- 新書 : 286ページ
- ISBN-10 : 4004319862
- ISBN-13 : 978-4004319863
- 寸法 : 1.2 x 10.7 x 17.3 cm
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上位レビュー、対象国: 日本
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2024年3月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
欧米メディアを通して流れてくるエルドアン大統領は、強権的な反動主義者であり、イスラム諸国に対する認識の低い日本人から見ればトルコは宗教国家である。
しかし、それはいずれも誤りである。
そもそも、トルコは世俗国家である。
また、エルドアン政権はインフラを整備し、公衆衛生を改善し、経済を立て直した。故に国民の新任を得た。
クルドの問題にしても、エルドアン政権は歩み寄る姿勢を見せたが、それを拒んだのはクルドの方である。
著者は、トルコの政治、経済、社会、地理、歴史、文化に精通しており、「欧米」という色眼鏡なしでこの国の「自画像」を見せてくれた。
それは私にとって新たな発見であり、この国への興味を益々掻き立てられました。
同時に、我々日本人が「親日」と言われるこの国のことを何も知らないことを知らされた。
しかし、それはいずれも誤りである。
そもそも、トルコは世俗国家である。
また、エルドアン政権はインフラを整備し、公衆衛生を改善し、経済を立て直した。故に国民の新任を得た。
クルドの問題にしても、エルドアン政権は歩み寄る姿勢を見せたが、それを拒んだのはクルドの方である。
著者は、トルコの政治、経済、社会、地理、歴史、文化に精通しており、「欧米」という色眼鏡なしでこの国の「自画像」を見せてくれた。
それは私にとって新たな発見であり、この国への興味を益々掻き立てられました。
同時に、我々日本人が「親日」と言われるこの国のことを何も知らないことを知らされた。
2024年4月26日に日本でレビュー済み
本書を貫く方針は明快にして鋭敏だ。
日本で語られるトルコの姿は西欧世界のフィルターを通した「他者の描く肖像画」ばかり。そうではなく、トルコの視点から見たトルコの自画像を描こう、というのが筆者の姿勢だ。
たしかに、自分も含めてトルコには関心が薄く、まだまだ理解が足りない。欧米の報道に引きずられている部分もあるだろう。
だからこそトルコを深く知る筆者の見解は貴重だ。トルコから見た国際情勢、世俗主義とイスラム主義の相克、「自分事」としてのクルド人問題などは非常に興味深かった。
一方で、筆者の見解をどこまで信用していいのかは疑わしい。
トルコの視点に同調するあまり、その自画像ちょっと盛りすぎてフォトショ詐欺入ってないか?という箇所が多々見られる。
例えば、アルメニア人虐殺問題。
他の方のレビューにも書かれている通り、ここで筆者は形式的両論併記とwhataboutismを駆使している。
トルコ政府は虐殺を認めてない、フランスがアルメニア人を見捨てた、大局的に見ればトルコも悪いが他の列強も悪い・・・などなど。
しかしこの事件は、最も多い推計で200万人、最も少ない推計でも20万人もの犠牲者が出たとされている。それだけの人々を「誰が」殺したのかという肝心な点について筆者はぼかしていて、自分の見解を示さない。それをぼかすことで誰が得をするのかといえば、責任を問われているトルコに他ならない。中立を装った強引な擁護論である。
また、クルド人政策についてもトルコ贔屓が過ぎる。
筆者曰く、2002年以降クルド人敵視政策は廃止された、日本の報道は近年の状況がアップデートされていない、と。
なるほど、トルコ政府の姿勢が変わったのは事実だろう。しかしそれと迫害や差別がなくなるのは別の話だ。制度と同時に社会の認識が変わるわけではない。
90年代までは、筆者も認めるようにクルドの言語や文化は禁じられ、武装組織と一般人が区別なく攻撃された。それからまだ30年も経っていない。今の30~40代はその時代を生きてきた人々なのだから、「今も形を変えて迫害は続いている」と感じたとしても不思議ではない。
いじめた方は「あれは昔の話」と簡単に言うが、いじめられた方はそうはいかないだろう。
さらに、現今のウクライナ戦争におけるトルコの姿勢についても、筆者の歯切れは悪い。
ロシア非難決議に毎度賛成票を投じてきたことをもって、筆者は「トルコの外交姿勢はウクライナ戦争に関して、決して、中立ではない」(p.235)と言う。ウクライナ寄りだという意味だろう。
また、米主導の対ロ制裁に参加しないからといってトルコを「ロシア寄り」だというのは短絡的だ、商取引と政治の話を分けるのはこの地域では自然な発想だ、と筆者は言う(p.239)。
さらに、「ロシアともウクライナとも深い関係にあるトルコが、どちらかの側につくというのは合理的選択ではない」(p.237)とも言う。
これらを総合すると、「トルコは、合理的選択でないにもかかわらず、中立を破ってウクライナに味方している」というのが筆者の見解であるらしい。
だが、実際はどうか? トルコはそんなに前のめりにウクライナを支援しているか?
トルコがウクライナに対して歩み寄ってるのは、非難決議とか停戦仲介とか自分の財布が傷まない事柄だけで、財布に関してはがっちりロシアとつながっている。
これは日和見とか二股という意味で中立的だし、もたらす利益はウクライナよりロシアの方が大きいだろう。経済制裁しないからといってロシア寄りではない、というのはトルコの主観であって、客観的または結果的にどちらを利するかとは別の問題だ。
なんのことはない、トルコは中立でない(=ウクライナ寄り)だというのは、筆者の願望にもとづく加工盛り盛りの自画像なのだ。
勿論、本書はトルコ擁護一辺倒の書ではない。トルコやエルドアン政権への批判も多く含まれている。ただしそれはあまり致命的でない論点に限られる。
トルコにとって都合の悪い話になると、筆者は政府の公式見解をなぞるか論点をずらすかして押し通そうとする。こういう部分は、率直に言ってトルコ政府の犬に成り下がっていると言わざるを得ない。
日本で語られるトルコの姿は西欧世界のフィルターを通した「他者の描く肖像画」ばかり。そうではなく、トルコの視点から見たトルコの自画像を描こう、というのが筆者の姿勢だ。
たしかに、自分も含めてトルコには関心が薄く、まだまだ理解が足りない。欧米の報道に引きずられている部分もあるだろう。
だからこそトルコを深く知る筆者の見解は貴重だ。トルコから見た国際情勢、世俗主義とイスラム主義の相克、「自分事」としてのクルド人問題などは非常に興味深かった。
一方で、筆者の見解をどこまで信用していいのかは疑わしい。
トルコの視点に同調するあまり、その自画像ちょっと盛りすぎてフォトショ詐欺入ってないか?という箇所が多々見られる。
例えば、アルメニア人虐殺問題。
他の方のレビューにも書かれている通り、ここで筆者は形式的両論併記とwhataboutismを駆使している。
トルコ政府は虐殺を認めてない、フランスがアルメニア人を見捨てた、大局的に見ればトルコも悪いが他の列強も悪い・・・などなど。
しかしこの事件は、最も多い推計で200万人、最も少ない推計でも20万人もの犠牲者が出たとされている。それだけの人々を「誰が」殺したのかという肝心な点について筆者はぼかしていて、自分の見解を示さない。それをぼかすことで誰が得をするのかといえば、責任を問われているトルコに他ならない。中立を装った強引な擁護論である。
また、クルド人政策についてもトルコ贔屓が過ぎる。
筆者曰く、2002年以降クルド人敵視政策は廃止された、日本の報道は近年の状況がアップデートされていない、と。
なるほど、トルコ政府の姿勢が変わったのは事実だろう。しかしそれと迫害や差別がなくなるのは別の話だ。制度と同時に社会の認識が変わるわけではない。
90年代までは、筆者も認めるようにクルドの言語や文化は禁じられ、武装組織と一般人が区別なく攻撃された。それからまだ30年も経っていない。今の30~40代はその時代を生きてきた人々なのだから、「今も形を変えて迫害は続いている」と感じたとしても不思議ではない。
いじめた方は「あれは昔の話」と簡単に言うが、いじめられた方はそうはいかないだろう。
さらに、現今のウクライナ戦争におけるトルコの姿勢についても、筆者の歯切れは悪い。
ロシア非難決議に毎度賛成票を投じてきたことをもって、筆者は「トルコの外交姿勢はウクライナ戦争に関して、決して、中立ではない」(p.235)と言う。ウクライナ寄りだという意味だろう。
また、米主導の対ロ制裁に参加しないからといってトルコを「ロシア寄り」だというのは短絡的だ、商取引と政治の話を分けるのはこの地域では自然な発想だ、と筆者は言う(p.239)。
さらに、「ロシアともウクライナとも深い関係にあるトルコが、どちらかの側につくというのは合理的選択ではない」(p.237)とも言う。
これらを総合すると、「トルコは、合理的選択でないにもかかわらず、中立を破ってウクライナに味方している」というのが筆者の見解であるらしい。
だが、実際はどうか? トルコはそんなに前のめりにウクライナを支援しているか?
トルコがウクライナに対して歩み寄ってるのは、非難決議とか停戦仲介とか自分の財布が傷まない事柄だけで、財布に関してはがっちりロシアとつながっている。
これは日和見とか二股という意味で中立的だし、もたらす利益はウクライナよりロシアの方が大きいだろう。経済制裁しないからといってロシア寄りではない、というのはトルコの主観であって、客観的または結果的にどちらを利するかとは別の問題だ。
なんのことはない、トルコは中立でない(=ウクライナ寄り)だというのは、筆者の願望にもとづく加工盛り盛りの自画像なのだ。
勿論、本書はトルコ擁護一辺倒の書ではない。トルコやエルドアン政権への批判も多く含まれている。ただしそれはあまり致命的でない論点に限られる。
トルコにとって都合の悪い話になると、筆者は政府の公式見解をなぞるか論点をずらすかして押し通そうとする。こういう部分は、率直に言ってトルコ政府の犬に成り下がっていると言わざるを得ない。
2023年10月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
トルコの歴史に関する本は多くあるが、現代トルコ、特に最近の状況についての解説書として貴重。
エルドアン出現の理由が本書で明解になった。
トルコは現在の国際関係で重要な存在、今後注目しなければならない。
エルドアン出現の理由が本書で明解になった。
トルコは現在の国際関係で重要な存在、今後注目しなければならない。
2024年3月31日に日本でレビュー済み
西欧的な視点でこの国を見ると見誤ることを本書は教えてくれる。そしてエルドアン大統領の政策についても誤った見方を払拭しようとする。
現代のトルコだけでなく第一次大戦から植民地主義の脅威や国の成り立ち、その裏にある信念、世俗主義、イスラム教の背景などに踏み込んでいく。1990年代の政治状況、EU加盟に向けての取り組み、クルド問題の詳細、さらにロシアによるウクライナ侵攻におけるトルコの立ち位置など欧米視点のためか誤解されている部分を解きほぐしていく。
EU加盟はまだ成っていないが、35の条件をクリアするための改革はエルドアン政権によって大きく進展した。強権化を進めるため専制だと批判されている一方で、国内の支持というと貧困層だけでなく、若者や中小商工業者から支持されているという。トルコには民族主義や世俗主義を志向する勢力によって分断される危機が度々訪れるが、現政権は分断を修復することを目指しその土台作りのためにEUの条件を受け入れ改革を進めている。
世俗主義はトルコ共和国の政治の根幹をなしている。他方でイスラム教の唯一神は社会の全て自然の全てをあまねく支配している。政治もその中に含まれるが、フランスから導入された世俗主義が政治と宗教を切り離した。人々の生活にイスラムは浸透しているのに、そこから切り離された部分があるというのは無理があると言えば無理がある。1923年の共和国建国から順に宗教的な部分を廃止して1937年に憲法で世俗の国家になることを宣言した。世俗主義については軍による根強い支持があり、現政権とは色合いを異にしている。トルコの市民生活はなかなか厳しいようで2023年の家計調査におけるアンケートでは1週間以上の旅行支出ができない60.8%、暖房費不足20.5%、急な支出に対応できない33.4%だった。インフレによりイスタンブール、イズミール、アンカラなどの住宅、賃料は跳ね上がり学生が単独でアパートを借りるのが難しくなったようである。トルコでは大学進学に合わせてイスタンブールなどの大都会に出てくる若者が多く、住宅事情は深刻なようだ。しかし一方で、ホームレスが少なく状況が保てているのはイスラム教に根付いた喜捨のシステムをもとにした貧困対策があり、社会を支えている。2022年には月々返済額18000円の低所得層向け住宅を25万戸供給するとしている。
トルコにおいては国民の「不可分の一体性」が状況を読み解くキーワードになりそうである。クルド問題においてPKKの存在は鍵となりトルコだけでなくEUや米国もテロ組織と認定しているが、他方で一般のクルド人はPKKと政府の間で板挟みになっているような問題もある。つまりPKKは一般のクルド人を監視して仲間を国に売ったかどうか脅迫し、トルコ軍は一般クルド人にPKKと内通していないか尋問する。1990年代は一般クルド人を自警団として政府側に組み込んだが、このような民族内の分断は失敗に終わったという。エルドアン政権になってからはクルド人、クルド語を認め状況は改善されているようである。これは1920年代以来トルコ人化が継続され血が流されてきたことからすると大きな進展である。2009年頃からアルメニア、ギリシアなどとの関係改善が進められクルド問題も取り組まれた。刑務所におけるクルド語面会の許可、異なる言語、方言の研究機関設置など。元々トルコにはトルコ語以外の言語使用を禁止する法律があったが、EU加盟に向けて現政権のもとクルド語使用やテレビ放送が認められた。しかしクルド問題については共和国検察庁と憲法裁判所がその進展を阻んだ。トルコのこれら司法は独立性を持っている。
さらに2011年シリア内戦、2014年イスラム国(IS)によりシリア難民が100万人を超える規模で生まれ、またクルド人武装組織とISとの戦闘、そのクルド組織を支援する米国、米国によるトルコ防空システム撤退、トルコによるロシア防空システムの導入、そしてPYDによるシリアでの国家建設意図、トルコによる攻撃、、、。本書ではエルドアン政権が強いナショナリズムに対してイスラムにより融和を図ったがそれは今のところ解決を見ていないとする。トルコの場合、国内だけでなく周辺諸国の不安定さが大きく、シリア内戦やISは不運だったとしか言いようがないがどうだろうか。民族主義というと今や残滓のようにも思えるが、対立を煽るために利用され生き残っているのも実情なのだろう。
不可分の一体性については第一次大戦と西欧列強によるオスマン帝国分割、その後のトルコ独立戦争も大いに関わりクルド人の多いイラク北部の石油権益を意図した英国と新たなトルコ新政府の軋轢がその後数十年の問題を引きずっている。本書では現代に至る国際情勢もしっかり言及していて勉強になる。
西欧の社会に適応させるためその社会に沿う条件を受け入れ、変革が進んでいることが本書から読み取れた。またエルドアン政権がイスラム的な思想から低所得層からの支持があることも。政治や国際情勢では国内には左派や右派だけでなくそこに民族主義が重なり、また軍部の世俗主義、ポピュリズム、イスラムに対する態度による違いもあり重層的で、さらに時々刻々と変化していることがわかる。どこかを切り取って語ったとしても的外れになり、適切な状況把握にはならない。『文明史から見たトルコ革命』(ハーニオール)によればタッカーはケマルアタテュルクを分析する際に英雄論に拠って立つのではなく状況主義を元にすることを提唱する。これはケマルだけに当てはまるのではなく指導者の功績は社会状況に大きく左右され、機会の特異性に鍵があるとする。ここにはその人物の唱導しうる勇気や性格、判断力ももちろん背景にあることは忘れてはいけないと思う。社会状況と機会ごとの判断の組み合わせだろう。大統領権限が強化された以上、現代の指導者にも同じような状況が訪れていると思われる。
一読しただけでは状況の細部を捉えられないが、トルコが混然としながらも大きなうねりとなって前に進んでいることがわかる。本書の末尾では2023年の大統領選挙を取り上げエルドアン再選(決選投票で52.18%、クルチダルオウル47.82%)の詳細を解説している。野党連合は民主主義を唱えて協力したが極右政党との連合など排外主義まで取り込み混迷してしまったようだ。エルドアン大統領は就任式典では異なる考えであっても包摂し敵対から和解を訴えたが、これは政権の基本的性格をよく表しているという。『イスラエル 人類史上最もやっかいな国』(ソカッチ)で引用されていて印象に残っている言葉がある。イスラエルの平和に尽力し凶弾に倒れたラビン首相がアメリカの外交官に言った言葉「和平は友人とではなく、全く共感できない敵と結ぶものだ」はここでも効力がありそうである。
現代のトルコだけでなく第一次大戦から植民地主義の脅威や国の成り立ち、その裏にある信念、世俗主義、イスラム教の背景などに踏み込んでいく。1990年代の政治状況、EU加盟に向けての取り組み、クルド問題の詳細、さらにロシアによるウクライナ侵攻におけるトルコの立ち位置など欧米視点のためか誤解されている部分を解きほぐしていく。
EU加盟はまだ成っていないが、35の条件をクリアするための改革はエルドアン政権によって大きく進展した。強権化を進めるため専制だと批判されている一方で、国内の支持というと貧困層だけでなく、若者や中小商工業者から支持されているという。トルコには民族主義や世俗主義を志向する勢力によって分断される危機が度々訪れるが、現政権は分断を修復することを目指しその土台作りのためにEUの条件を受け入れ改革を進めている。
世俗主義はトルコ共和国の政治の根幹をなしている。他方でイスラム教の唯一神は社会の全て自然の全てをあまねく支配している。政治もその中に含まれるが、フランスから導入された世俗主義が政治と宗教を切り離した。人々の生活にイスラムは浸透しているのに、そこから切り離された部分があるというのは無理があると言えば無理がある。1923年の共和国建国から順に宗教的な部分を廃止して1937年に憲法で世俗の国家になることを宣言した。世俗主義については軍による根強い支持があり、現政権とは色合いを異にしている。トルコの市民生活はなかなか厳しいようで2023年の家計調査におけるアンケートでは1週間以上の旅行支出ができない60.8%、暖房費不足20.5%、急な支出に対応できない33.4%だった。インフレによりイスタンブール、イズミール、アンカラなどの住宅、賃料は跳ね上がり学生が単独でアパートを借りるのが難しくなったようである。トルコでは大学進学に合わせてイスタンブールなどの大都会に出てくる若者が多く、住宅事情は深刻なようだ。しかし一方で、ホームレスが少なく状況が保てているのはイスラム教に根付いた喜捨のシステムをもとにした貧困対策があり、社会を支えている。2022年には月々返済額18000円の低所得層向け住宅を25万戸供給するとしている。
トルコにおいては国民の「不可分の一体性」が状況を読み解くキーワードになりそうである。クルド問題においてPKKの存在は鍵となりトルコだけでなくEUや米国もテロ組織と認定しているが、他方で一般のクルド人はPKKと政府の間で板挟みになっているような問題もある。つまりPKKは一般のクルド人を監視して仲間を国に売ったかどうか脅迫し、トルコ軍は一般クルド人にPKKと内通していないか尋問する。1990年代は一般クルド人を自警団として政府側に組み込んだが、このような民族内の分断は失敗に終わったという。エルドアン政権になってからはクルド人、クルド語を認め状況は改善されているようである。これは1920年代以来トルコ人化が継続され血が流されてきたことからすると大きな進展である。2009年頃からアルメニア、ギリシアなどとの関係改善が進められクルド問題も取り組まれた。刑務所におけるクルド語面会の許可、異なる言語、方言の研究機関設置など。元々トルコにはトルコ語以外の言語使用を禁止する法律があったが、EU加盟に向けて現政権のもとクルド語使用やテレビ放送が認められた。しかしクルド問題については共和国検察庁と憲法裁判所がその進展を阻んだ。トルコのこれら司法は独立性を持っている。
さらに2011年シリア内戦、2014年イスラム国(IS)によりシリア難民が100万人を超える規模で生まれ、またクルド人武装組織とISとの戦闘、そのクルド組織を支援する米国、米国によるトルコ防空システム撤退、トルコによるロシア防空システムの導入、そしてPYDによるシリアでの国家建設意図、トルコによる攻撃、、、。本書ではエルドアン政権が強いナショナリズムに対してイスラムにより融和を図ったがそれは今のところ解決を見ていないとする。トルコの場合、国内だけでなく周辺諸国の不安定さが大きく、シリア内戦やISは不運だったとしか言いようがないがどうだろうか。民族主義というと今や残滓のようにも思えるが、対立を煽るために利用され生き残っているのも実情なのだろう。
不可分の一体性については第一次大戦と西欧列強によるオスマン帝国分割、その後のトルコ独立戦争も大いに関わりクルド人の多いイラク北部の石油権益を意図した英国と新たなトルコ新政府の軋轢がその後数十年の問題を引きずっている。本書では現代に至る国際情勢もしっかり言及していて勉強になる。
西欧の社会に適応させるためその社会に沿う条件を受け入れ、変革が進んでいることが本書から読み取れた。またエルドアン政権がイスラム的な思想から低所得層からの支持があることも。政治や国際情勢では国内には左派や右派だけでなくそこに民族主義が重なり、また軍部の世俗主義、ポピュリズム、イスラムに対する態度による違いもあり重層的で、さらに時々刻々と変化していることがわかる。どこかを切り取って語ったとしても的外れになり、適切な状況把握にはならない。『文明史から見たトルコ革命』(ハーニオール)によればタッカーはケマルアタテュルクを分析する際に英雄論に拠って立つのではなく状況主義を元にすることを提唱する。これはケマルだけに当てはまるのではなく指導者の功績は社会状況に大きく左右され、機会の特異性に鍵があるとする。ここにはその人物の唱導しうる勇気や性格、判断力ももちろん背景にあることは忘れてはいけないと思う。社会状況と機会ごとの判断の組み合わせだろう。大統領権限が強化された以上、現代の指導者にも同じような状況が訪れていると思われる。
一読しただけでは状況の細部を捉えられないが、トルコが混然としながらも大きなうねりとなって前に進んでいることがわかる。本書の末尾では2023年の大統領選挙を取り上げエルドアン再選(決選投票で52.18%、クルチダルオウル47.82%)の詳細を解説している。野党連合は民主主義を唱えて協力したが極右政党との連合など排外主義まで取り込み混迷してしまったようだ。エルドアン大統領は就任式典では異なる考えであっても包摂し敵対から和解を訴えたが、これは政権の基本的性格をよく表しているという。『イスラエル 人類史上最もやっかいな国』(ソカッチ)で引用されていて印象に残っている言葉がある。イスラエルの平和に尽力し凶弾に倒れたラビン首相がアメリカの外交官に言った言葉「和平は友人とではなく、全く共感できない敵と結ぶものだ」はここでも効力がありそうである。
2023年9月3日に日本でレビュー済み
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国際政治に影響を与えている現代トルコについて最新の状況を最新の情報に基づいて説明されている。一方で著者の長年の経験に基づき過去からの歴史にも触れているので新しく学ぶ人にも最適。グルメを含むポップな内容も織り込まれている。
2023年8月28日に日本でレビュー済み
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『トルコ 建国100年の自画像』という本の題は 内容を示していない。
オスマントルコ崩壊後の歴史と思いきや、全然違う。
1990年代以後の政治史。
帯の「エルドアン政権は、トルコをどう変革しようとしたのか?」の方が
内容をよりよく示している。通販で売る以上は、本の題、実態を表現すべき。
オスマントルコ崩壊後の歴史と思いきや、全然違う。
1990年代以後の政治史。
帯の「エルドアン政権は、トルコをどう変革しようとしたのか?」の方が
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