どんな住宅がこれから要望されるかと思って、本を読んでいるのだが、なかなかストライクゾーンが見えなかった。
それが、この本を読んで、やっとフロントガラスの景色がはっきりと見えてきた。
それは、都会とは「ひとり空間」で成り立っているということだ。ひとり世帯が、東京では45%を超えている。
都会は、一人の方が暮らしやすいのだ。都市では、子供や老人が負担になり、結婚が遅れ、結婚をしない人も増え、個人が複数の自分を生み出す。名前は消失し、匿名の非人格的な存在となる。田舎にあった地縁のしがらみ、近隣の人間関係から解放される。都会は、自分に合った刺激があり、自分で好きな情報を選択できる。携帯電話とSNSは、ひとり空間を充足させる。食は、コンビニやテイクアウトで外部依存ができ、いいよに誘われる。カウンター居酒屋、ひとり焼肉、ひとりカラオケ、ネットカフェ、個室ビデオ、カプセルホテル、コインランドリー、ひとり空間はあふれ、自由気ままに生きられるのだ。
そして、都会では、老人は孤独死をする。
住居は、第1空間、学校や職場が第2空間。そこを移動する空間が、都会に用意される。この本の最初に論じられているのが「孤独のグルメ」で、現在の日本の立派な都市論だという。そして、「状態としてのひとり」を実証していく。
みんなという言葉は、昭和で死語となった。コロナがさらに、ひとり空間であることの安全性を示している。
引きこもりが、社会悪のように言われていたのが、当たり前になってくる。仕事のスタイルもコックぴっどみたいになる。住居も一人でゆったりできる好きな空間を作り上げることになる。ひとりをコミュニティにつなげる新しい形が生まれるだろう。