(2021年11月)タンミンウー氏による「The Hidden History of Burma」には以前から興味があり、是非読みたいと思っていましたが、その邦訳が出たので早速購入しました。本書は、その期待を裏切らない、素晴らしい・すごい本でした。この本を読むと、ミャンマーの状況は、単に彼女を復活させるだけでは解決しないと考えさせられます。事態は極めて深刻であり、かつ将来への見通しもなかなか期待できません。ですが、「最新情報は何を語るのか:著者からの緊急寄稿」におけるタンミンウー氏の最後の一言には頓悟させられたような気持ちになり、少しの安堵と希望を持ちました。
(2024年4月)ここ数か月の間に、ミャンマー南東部の少数民族であるカレン族がミャンマー国軍に反攻し撃退させたとマスコミに報じられ、ミャンマー情勢が大きく変化する兆しが見えそうなので、本書を再び読みました。うーむ、やはり「これはすごい本だ!」です。本書は、ミャンマー・ビルマの歴史と政治的興亡・攻防を記述しているのですが、それだけにとどまらず、どこか小説的な「読んでいて引き込まれる」点もあります。特に、章が移る時の前章の最後の文章などは、次の展開へとつながり、読者を惹きつける文章表現となっています。このことを考えると、著者のタンミンウー氏は優れた歴史研究者であるだけでなく、大変優れた文筆家でもあると思います。
「最新情報は何を語るのか:著者からの緊急寄稿」においてタンミンウー氏が述べていることは、ある国が国際的なサポートを得たいのであれば、当該国の情報はマスコミ・ジャーナリストに対して全てオープンにして、当該国が抱える課題・問題を世界のみなさんで考えていただく状況にしなければならない、ということです。また、ミャンマー国軍に対抗しうる勢力としてタンミンウー氏が挙げているのは、少数民族である北部のカチン族と南東部のカレン族ですが(335ページ)、本書が最初に「The Hidden History of Burma」として発表された2019年の時点ですでに5年後のカレン族の反攻を予想(?)していた点にも、大変驚きました(ただ、彼はカレン族・カチン族による反攻には悲観的ではあります)。
2024年現在、世界各地で殺戮をともなう紛争がいくつも起こっています。すべての紛争に共通する解決策は無いのでしょうが、少なくとも我々は「どういう経緯で、何が起こってきたか」を知らなければなりません。ミャンマーで起こってきたことを知り、今後、我々はどうすべきか?について少しでも考える材料・情報を蓄えておくために、私は本書を再び強くご推薦差し上げます。
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ビルマ 危機の本質 単行本 – 2021/10/26
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衝撃の事態! なぜこうなったのか?
ミャンマーには乗り越えるべき宿命がいくつもある。
NHKの道傳愛子氏が解説!
国連など外交の最前線で活動してきた「ミャンマー史」の第一人者で、情勢の背景を最も知り尽くした著者が解き明かす真実。「最新情勢は何を語るのか——緊急寄稿」を掲載!
クーデターは、日本でも衝撃を持って受け止められた。日本は先進国の中でミャンマーへの最大のODA(政府開発援助)の拠出国であり、2021年6月末時点でミャンマーに展開している日系企業は433社。2015年にはティラワ工業団地が開業した。
クーデター以降、日本政府は民間人への暴力の停止や、民主的な政治体制の回復を軍に要求し、新規の経済協力を見合わせている。一方で教育や保健などの「人間の安全保障」の分野で人道支援活動を続けてきたのも日本だ。クーデター後も情勢不安やコロナの感染拡大の中で、情報収集をしながら、現地にとどまるNGOもある。
弾圧が続くことは、今、ここにある人命が危険にさらされるということに加え、ミャンマーの人たちの今後の可能性が摘み取られていくという意味でも許されないことを、日本は伝え続ける必要がある。
ビルマが破綻国家に陥った場合のシナリオはこうだ。国軍は都市部とイラワディ渓谷地域を掌握するが、都市ゲリラ攻撃と継続する反乱により、暫定軍事政権が確固とした安定を築くのは難しい。ストライキは終わりを迎えるものの、数百万人が職を失い、圧倒的多数は行政の基本的サービスを受ける手がかりをほとんど、もしくはまったく持てない。……少数民族軍事組織は容赦ない空爆と陸軍の攻撃に晒される。……ビルマにはもう残された時間がほとんどない。(「最新情勢は何を語るのか 著者からの緊急寄稿」より)
【目次】
はじめに
第1章 新たな世界
第2章 車線変更
第3章 ディストピアへの漂流
第4章 テンペスト
第5章 攻撃チャンス
第6章 星の並び
第7章 血筋と帰属
第8章 仮想現実の民政移管
第9章 未完の国家
エピローグ
最新情勢は何を語るのか 著者からの緊急寄稿
解説 ミャンマーという物語 道傳愛子
原注
索引
ミャンマーには乗り越えるべき宿命がいくつもある。
NHKの道傳愛子氏が解説!
国連など外交の最前線で活動してきた「ミャンマー史」の第一人者で、情勢の背景を最も知り尽くした著者が解き明かす真実。「最新情勢は何を語るのか——緊急寄稿」を掲載!
クーデターは、日本でも衝撃を持って受け止められた。日本は先進国の中でミャンマーへの最大のODA(政府開発援助)の拠出国であり、2021年6月末時点でミャンマーに展開している日系企業は433社。2015年にはティラワ工業団地が開業した。
クーデター以降、日本政府は民間人への暴力の停止や、民主的な政治体制の回復を軍に要求し、新規の経済協力を見合わせている。一方で教育や保健などの「人間の安全保障」の分野で人道支援活動を続けてきたのも日本だ。クーデター後も情勢不安やコロナの感染拡大の中で、情報収集をしながら、現地にとどまるNGOもある。
弾圧が続くことは、今、ここにある人命が危険にさらされるということに加え、ミャンマーの人たちの今後の可能性が摘み取られていくという意味でも許されないことを、日本は伝え続ける必要がある。
ビルマが破綻国家に陥った場合のシナリオはこうだ。国軍は都市部とイラワディ渓谷地域を掌握するが、都市ゲリラ攻撃と継続する反乱により、暫定軍事政権が確固とした安定を築くのは難しい。ストライキは終わりを迎えるものの、数百万人が職を失い、圧倒的多数は行政の基本的サービスを受ける手がかりをほとんど、もしくはまったく持てない。……少数民族軍事組織は容赦ない空爆と陸軍の攻撃に晒される。……ビルマにはもう残された時間がほとんどない。(「最新情勢は何を語るのか 著者からの緊急寄稿」より)
【目次】
はじめに
第1章 新たな世界
第2章 車線変更
第3章 ディストピアへの漂流
第4章 テンペスト
第5章 攻撃チャンス
第6章 星の並び
第7章 血筋と帰属
第8章 仮想現実の民政移管
第9章 未完の国家
エピローグ
最新情勢は何を語るのか 著者からの緊急寄稿
解説 ミャンマーという物語 道傳愛子
原注
索引
- 本の長さ368ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2021/10/26
- 寸法13.6 x 2.7 x 19.4 cm
- ISBN-10430922833X
- ISBN-13978-4309228334
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商品の説明
著者について
タンミンウー(Thant Myint-U)
1966年、ニューヨーク生まれ。祖父のウ・タント氏がアジア初の国連事務総長として活躍していた頃にあたる。ハーヴァード大学とジョンズ・ホプキンス大学卒業後、カンボジア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナで国連平和維持活動に従事、ケンブリッジ大学で歴史学の博士号を取得、教鞭をとったこともある。ミャンマー=ビルマのアイデンティとは何か論考した博士論文は『The Making of Modern Burma』として2000年に出版。2011年の『ビルマ・ハイウェイ』は、辺境を歩き、地方の村を訪ねて人々の話を聞いてまとめた本。著書は本書を含め、『ニューヨーク・タイムズ』紙や『フィナンシャル・タイムズ』紙などが書評でたびたび取り上げ、ベストセラーになってきた。ビルマの歴史、近現代の政治、経済、社会や人々の考え方について、外国の読者が抱く「なぜ」をビルマ人の視点から英語で鮮やかに解き明かしていく良書は、ほかにはなかなか見当たらない。
一方、歴史家であるだけでなく行動の人でもある。「ヤンゴン・ヘリテージ財団」を創設し、英国の設されたヤンゴンの歴史的建造物の保護・保存に尽力するとともに、市民の生活と伝統文化が共存する持続可能な都市としての街づくりについて活発な提言を行ってきた。
中里京子(なかざと・きょうこ)
早稲田大学卒。おもな訳書に『言論の不自由 香港、そしてグローバル民主主義にいま何が起こっているのか』(小社)、『ヒーラ細胞の数奇な運命』(小社)、『ハチはなぜ大量死したのか』(文藝春秋)、『果糖中毒』(ダイヤモンド社)、『チャップリン自伝』(新潮社)、『第一印象の科学』(みすず書房)ほか。
1966年、ニューヨーク生まれ。祖父のウ・タント氏がアジア初の国連事務総長として活躍していた頃にあたる。ハーヴァード大学とジョンズ・ホプキンス大学卒業後、カンボジア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナで国連平和維持活動に従事、ケンブリッジ大学で歴史学の博士号を取得、教鞭をとったこともある。ミャンマー=ビルマのアイデンティとは何か論考した博士論文は『The Making of Modern Burma』として2000年に出版。2011年の『ビルマ・ハイウェイ』は、辺境を歩き、地方の村を訪ねて人々の話を聞いてまとめた本。著書は本書を含め、『ニューヨーク・タイムズ』紙や『フィナンシャル・タイムズ』紙などが書評でたびたび取り上げ、ベストセラーになってきた。ビルマの歴史、近現代の政治、経済、社会や人々の考え方について、外国の読者が抱く「なぜ」をビルマ人の視点から英語で鮮やかに解き明かしていく良書は、ほかにはなかなか見当たらない。
一方、歴史家であるだけでなく行動の人でもある。「ヤンゴン・ヘリテージ財団」を創設し、英国の設されたヤンゴンの歴史的建造物の保護・保存に尽力するとともに、市民の生活と伝統文化が共存する持続可能な都市としての街づくりについて活発な提言を行ってきた。
中里京子(なかざと・きょうこ)
早稲田大学卒。おもな訳書に『言論の不自由 香港、そしてグローバル民主主義にいま何が起こっているのか』(小社)、『ヒーラ細胞の数奇な運命』(小社)、『ハチはなぜ大量死したのか』(文藝春秋)、『果糖中毒』(ダイヤモンド社)、『チャップリン自伝』(新潮社)、『第一印象の科学』(みすず書房)ほか。
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2021/10/26)
- 発売日 : 2021/10/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 368ページ
- ISBN-10 : 430922833X
- ISBN-13 : 978-4309228334
- 寸法 : 13.6 x 2.7 x 19.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 460,807位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
イメージ付きのレビュー
5 星
今回の政変を理解するのに絶対に必読。
国連事務総長を務めたミャンマー人・ウタントの孫であり、ミャンマーのオピニオン・リーダーの一人であるタンミンウーの待望の邦訳。主に21世紀以降のミャンマーの政治史にページが割かれています。2月1日に政変が起きて以来、国軍に対する国内外の批判がかまびすしいですが、ミャンマーの歴史から掘り起こして考えれば、「国軍=悪、民主派=善」という図式がいかに浅はかなものかわかるはず。国軍も民主派も国民も民主主義の夢に取り憑かれてしまったのが、この国の悲劇。言葉は乱暴でしたが、日緬協会会長の渡邉氏の「ミャンマーの民主主義はインチキだ!」の言葉は事の本質を突いていました。現在、ミャンマーはプチ内戦中ですが、抵抗運動しか能のない88年世代とその影響下にある残党が一掃され、タンミンウーやコーコージーなどの現実的理想主義とも言える人々が、ミャンマー社会の中枢を占めるようになれば、やがてこの国も変わっていくでしょう。そう祈りながら。
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2021年11月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2022年6月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
軍事クーデターのため、日本から自国ミャンマーに帰れなくなった青年たちをみて、少し勉強しようとした時にこの本が目に入った。
正直言って、話が入り組んでおり、複雑でわかりにくいところもあった。要点を掴みにくいというか。
しかし、それこそミャンマーの実態なのかもしれない。
ミャンマーのことはアウンサンスーチーさんくらいしかしらなかったが、彼女が、全てのミャンマージンというか、ミャンマーに住んでいるひとの幸福を考えているわけではなさそうだということもわかった。
ロヒンギャというのがどういう人たちか、ということはよくわかってなかったので、住んでいる場所や宗教など、そういったこと全て初めて知る話しだった。
安定した未来が来るかわからないが、今いる在日ミャンマー人が安心して自国に帰れる日が来ることを願ってやまない。
正直言って、話が入り組んでおり、複雑でわかりにくいところもあった。要点を掴みにくいというか。
しかし、それこそミャンマーの実態なのかもしれない。
ミャンマーのことはアウンサンスーチーさんくらいしかしらなかったが、彼女が、全てのミャンマージンというか、ミャンマーに住んでいるひとの幸福を考えているわけではなさそうだということもわかった。
ロヒンギャというのがどういう人たちか、ということはよくわかってなかったので、住んでいる場所や宗教など、そういったこと全て初めて知る話しだった。
安定した未来が来るかわからないが、今いる在日ミャンマー人が安心して自国に帰れる日が来ることを願ってやまない。
2022年3月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
軍事政権は悪で、民主化政権は正しいをいう単純善悪論を展開するメディアを信じていては、ビルマ危機の本質は理解できないというのがよく分かる1冊
2021年10月28日に日本でレビュー済み
国連事務総長を務めたミャンマー人・ウタントの孫であり、ミャンマーのオピニオン・リーダーの一人であるタンミンウーの待望の邦訳。主に21世紀以降のミャンマーの政治史にページが割かれています。2月1日に政変が起きて以来、国軍に対する国内外の批判がかまびすしいですが、ミャンマーの歴史から掘り起こして考えれば、「国軍=悪、民主派=善」という図式がいかに浅はかなものかわかるはず。国軍も民主派も国民も民主主義の夢に取り憑かれてしまったのが、この国の悲劇。言葉は乱暴でしたが、日緬協会会長の渡邉氏の「ミャンマーの民主主義はインチキだ!」の言葉は事の本質を突いていました。現在、ミャンマーはプチ内戦中ですが、抵抗運動しか能のない88年世代とその影響下にある残党が一掃され、タンミンウーやコーコージーなどの現実的理想主義とも言える人々が、ミャンマー社会の中枢を占めるようになれば、やがてこの国も変わっていくでしょう。そう祈りながら。
国連事務総長を務めたミャンマー人・ウタントの孫であり、ミャンマーのオピニオン・リーダーの一人であるタンミンウーの待望の邦訳。主に21世紀以降のミャンマーの政治史にページが割かれています。2月1日に政変が起きて以来、国軍に対する国内外の批判がかまびすしいですが、ミャンマーの歴史から掘り起こして考えれば、「国軍=悪、民主派=善」という図式がいかに浅はかなものかわかるはず。国軍も民主派も国民も民主主義の夢に取り憑かれてしまったのが、この国の悲劇。言葉は乱暴でしたが、日緬協会会長の渡邉氏の「ミャンマーの民主主義はインチキだ!」の言葉は事の本質を突いていました。現在、ミャンマーはプチ内戦中ですが、抵抗運動しか能のない88年世代とその影響下にある残党が一掃され、タンミンウーやコーコージーなどの現実的理想主義とも言える人々が、ミャンマー社会の中枢を占めるようになれば、やがてこの国も変わっていくでしょう。そう祈りながら。
このレビューの画像
2021年10月31日に日本でレビュー済み
第二次世界大戦以前のビルマ史はなかなか理解が難しく、最後の章から逆に読んでいます。(失笑)
著者のミャンマー政府(NLD含む)、社会、慣習への苛立ちが痛いほど伝わってきます...。
著者のミャンマー政府(NLD含む)、社会、慣習への苛立ちが痛いほど伝わってきます...。