Kindle 価格: | ¥935 (税込) |
獲得ポイント: | 24ポイント (3%) |
を購読しました。 続刊の配信が可能になってから24時間以内に予約注文します。最新刊がリリースされると、予約注文期間中に利用可能な最低価格がデフォルトで設定している支払い方法に請求されます。
「メンバーシップおよび購読」で、支払い方法や端末の更新、続刊のスキップやキャンセルができます。
エラーが発生しました。 エラーのため、お客様の定期購読を処理できませんでした。更新してもう一度やり直してください。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
歴史学者という病 (講談社現代新書) Kindle版
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
ぜんぶ、言っちゃうね。
このままでは日本の歴史学は崩壊する!?
歴史を愛する人気学者の半生記にして反省の記――。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
歴史学は奥も闇も深い
●「物語の歴史」と「科学の歴史」の大きな違い
●時代が変われば歴史も変わる怖さ
●実証と単純実証は断じて違う
●皇国史観VS.実証主義の死闘
●教育者の一流≠研究者の一流
●修業時代とブラック寺院
●私は認められたかった
●「博士号」の激しすぎるインフレ
●「古代+京都」至上主義の嫌な感じ
●「生徒が考える」歴史教科書はNGだった
●歴史学衰退の主犯は大学受験
●私を批判する若い研究者たちへ
●唯物史観を超えるヒント
●網野史学にも検証が必要だ
●民衆からユートピアは生まれるか
●「日本史のIT化」は学問なのか
●次なる目標はヒストリカル・コミュニケーター
本書のテーマは「歴史学者」、つまり歴史を研究するということの意味について考えること――だ。(中略)聞きようによっては、同僚や他の研究者の批判に聞こえてしまうようなところもあるかもしれないが、もちろん個人攻撃や人格攻撃などの意図はまったくない。あくまで学問的な批判だと考えていただければよい。ここまで心中を正直に吐露したのは本書が初めてであろう。
幼年時代の私は、偉人伝などをはじめとする「物語」としての歴史にハマった。だが、本格的な歴史研究者を志すために大学に入ると、そこには「物語」などではない、「科学」という、まったく新しい様相の歴史が待ち構えていた。
学生時代の私は、史料をひたすら読み込む「実証」という帰納的な歴史に魅了された。その一方で、いくつかの史実をつなげて仮説を組み立てようとする演繹的な歴史のもつ面白さにハマった時期もあった。だが、実証を好む人々からは「仮説」というものは徹底して異端視され、しばしば私も批判されることになった。
さらに学びを深めるうちに、歴史学、歴史というものは決して悠久でも万古不易でもなく、それどころか、むしろその時代のもつ雰囲気や世論、世界の流れなどによって、簡単に姿を変えてしまう、ある意味恐ろしいものなのだという現実も知った。また、受験科目としての安直きわまりない「歴史」が、数多くの歴史嫌いを大量生産し、結果的に歴史という学問の著しい衰退を招いてしまっている事実にも言及したい。
こうした機微な話は歴史の授業や歴史学の講義ではなかなか話題にならない。(「はじめに」を一部改稿)
ぜんぶ、言っちゃうね。
このままでは日本の歴史学は崩壊する!?
歴史を愛する人気学者の半生記にして反省の記――。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
歴史学は奥も闇も深い
●「物語の歴史」と「科学の歴史」の大きな違い
●時代が変われば歴史も変わる怖さ
●実証と単純実証は断じて違う
●皇国史観VS.実証主義の死闘
●教育者の一流≠研究者の一流
●修業時代とブラック寺院
●私は認められたかった
●「博士号」の激しすぎるインフレ
●「古代+京都」至上主義の嫌な感じ
●「生徒が考える」歴史教科書はNGだった
●歴史学衰退の主犯は大学受験
●私を批判する若い研究者たちへ
●唯物史観を超えるヒント
●網野史学にも検証が必要だ
●民衆からユートピアは生まれるか
●「日本史のIT化」は学問なのか
●次なる目標はヒストリカル・コミュニケーター
本書のテーマは「歴史学者」、つまり歴史を研究するということの意味について考えること――だ。(中略)聞きようによっては、同僚や他の研究者の批判に聞こえてしまうようなところもあるかもしれないが、もちろん個人攻撃や人格攻撃などの意図はまったくない。あくまで学問的な批判だと考えていただければよい。ここまで心中を正直に吐露したのは本書が初めてであろう。
幼年時代の私は、偉人伝などをはじめとする「物語」としての歴史にハマった。だが、本格的な歴史研究者を志すために大学に入ると、そこには「物語」などではない、「科学」という、まったく新しい様相の歴史が待ち構えていた。
学生時代の私は、史料をひたすら読み込む「実証」という帰納的な歴史に魅了された。その一方で、いくつかの史実をつなげて仮説を組み立てようとする演繹的な歴史のもつ面白さにハマった時期もあった。だが、実証を好む人々からは「仮説」というものは徹底して異端視され、しばしば私も批判されることになった。
さらに学びを深めるうちに、歴史学、歴史というものは決して悠久でも万古不易でもなく、それどころか、むしろその時代のもつ雰囲気や世論、世界の流れなどによって、簡単に姿を変えてしまう、ある意味恐ろしいものなのだという現実も知った。また、受験科目としての安直きわまりない「歴史」が、数多くの歴史嫌いを大量生産し、結果的に歴史という学問の著しい衰退を招いてしまっている事実にも言及したい。
こうした機微な話は歴史の授業や歴史学の講義ではなかなか話題にならない。(「はじめに」を一部改稿)
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2022/8/18
- ファイルサイズ5692 KB
Amazon 新生活SALE (Final) 開催中
期間限定!人気商品がお買い得。最大5,000ポイント還元ポイントアップキャンペーン
Amazon 新生活SALE (Final) を今すぐチェック
Amazon 新生活SALE (Final) を今すぐチェック
この本を読んだ購入者はこれも読んでいます
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
著者について
本郷 和人
本郷和人(ほんごう・かずと)
1960年、東京都生まれ。東京大学史料編纂所教授。東京大学・同大学院で石井進氏・五味文彦氏に師事。専攻は日本中世政治史、古文書学。同史料編纂所で『大日本史料』第五編の編纂を担当するほか、『吾妻鑑』の現代語訳(共訳)にも取り組んでいる。昔から愛好していた歴史的人物を科学的な脈絡の中で捉えなおす「新しい人物史」の構築にも挑む。
『中世朝廷訴訟の研究』(東京大学出版会)、『新・中世王権論』(文春学藝ライブラリー)、『上皇の日本史』(中公ラクレ)、『考える日本史』(河出新書)、『日本中世史の核心』(朝日文庫)、『日本史を疑え』(文春新書)など著書多数。
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
本郷和人(ほんごう・かずと)
1960年、東京都生まれ。東京大学史料編纂所教授。東京大学・同大学院で石井進氏・五味文彦氏に師事。専攻は日本中世政治史、古文書学。同史料編纂所で『大日本史料』第五編の編纂を担当するほか、『吾妻鑑』の現代語訳(共訳)にも取り組んでいる。昔から愛好していた歴史的人物を科学的な脈絡の中で捉えなおす「新しい人物史」の構築にも挑む。
『中世朝廷訴訟の研究』(東京大学出版会)、『新・中世王権論』(文春学藝ライブラリー)、『上皇の日本史』(中公ラクレ)、『考える日本史』(河出新書)、『日本中世史の核心』(朝日文庫)、『日本史を疑え』(文春新書)など著書多数。
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B0B8Z42QFC
- 出版社 : 講談社 (2022/8/18)
- 発売日 : 2022/8/18
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 5692 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 182ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 138,216位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 810位講談社現代新書
- - 5,392位倫理学・道徳 (Kindleストア)
- - 5,410位自己啓発 (Kindleストア)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
イメージ付きのレビュー

5 星
歴史を知ることは大切ですよと言うことがわかる本
本の帯で購入させることができる稀有な歴史学者である。また買ってしまった。だけど面白かった。いろいろ書いてあるけど、歴史を知ることは重要なことですよ、だから日本の史学会が低迷してあることはよくないことなんですよと、繰り返し書いてある。同意見です。国の歴史に関わらず、はじめての人と対面した時も、生活上の問題に遭遇した時も、よって立つ過去を知っていれば、これから起こりうることも予測できたり、うまく対応できる。なにより歴史そのもののおもしろさも知ってほしいと書いてある。最後で歴史学会になんとか資金をまわす新しいアイデアに言及されているところも感心いたしました。一読をおすすめいたします。
フィードバックをお寄せいただきありがとうございます
申し訳ありませんが、エラーが発生しました
申し訳ありませんが、レビューを読み込めませんでした
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2024年1月8日に日本でレビュー済み
レポート
Amazonで購入
拝読した本の中でも1番面白い本です。著者の人柄がよく出ていて、好感が持てました。
役に立った
2022年9月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
東京大学の東大史料編纂所に勤務する歴史学者の半生記と歴史学についての考え方が述べられている。
東大史料編纂所は、江戸時代の国学者、 塙保己一 が設立した和学講談所の業務の一部が1888(明治 21) 年に帝国大学、後の東大に移管されてできた。
日本の歴史資料の編纂を使命としているが、その最大のミッションは1901(明治 34) 年から今日まで続く、我が国最大の歴史資料、『大日本史料』の編纂事業だという。
日本の飛鳥・奈良・平安の3時代にかけ、時の律令政府の手によって国史が編纂・作成された。
『日本書紀』(720年完成) から『日本三代実録』(901年完成) まで6つの国史が存在するので、俗に「 六国史」と呼ばれる。
その後の日本ではずっと国史の編纂が行われなかったため、『日本三代実録』以降、すなわち宇多天皇が即位する887年から、幕末の1867年までを対象とするおよそ980年分の日本の歴史をまとめようという壮大なプロジェクトが行われている。
このような国家事業に関わる著者が、歴史学(歴史ではない)について率直に語っていて好感が持てる。
著者によると、日本の歴史学の流れは四つの世代で分けると考えやすい。
第0世代 皇国史観の歴史学
第一世代 マルクス主義史観の歴史学
第二世代 社会史「四人組」の時代
第三世代 現在
・第0世代 皇国史観の歴史学
戦前・戦中の歴史学の特徴を一言でいうなら、がっつり「皇国史観」、ということになろうか。
神話で彩られる輝かしい古代を称揚し、天皇を頂点とする国造りの思想を重んじ、皇室に忠義を尽くした中世人や勤王の武士たちの「物語」を顕彰した。
古文書など史料に基づく事実の検証よりも、古典作品を重視し、時代の「精神」にフォーカスする歴史学とも言えるだろう。
・第一世代 マルクス主義史観の歴史学
第二次世界大戦の敗戦を機に皇国史観はほぼ一掃され、それと同時に歴史学の世界でも唯物史観、マルクス主義的な色彩の濃い勢力が頭角を現すようになって行く。
マルクス主義的な歴史観とは、国家の経済を実質的に担っている労働者(下部構造) こそが歴史の主役であり、彼ら国民・民衆が団結して、いつか資本家や国家権力を打倒する日がやってくるのだと説く歴史の見方。
・第二世代 社会史「四人組」の時代
史的唯物史観のような「初めに結論ありき」の、イデオロギーに近い立場の歴史学が徐々に衰退していくにつれて、東大・京大で行われていた実証主義的な歴史学が次第に勢力を盛り返していくことになる。
その主翼を担ったのが、歴史学界隈では「四人組」と称される網野善彦、本郷氏が教えを乞うた石井進、笠松宏至、そして勝俣鎭夫の各先生であった。
ことに、網野は戦後日本史学、第二のお祭りを担うスター研究者となった。
・現代
皇国史観で知られる平泉澄先生も「史料編纂所の連中の実証とは、調べているだけだ。分析したり調べたりするということは、物事をバラバラにしていく死の学問だ」とか、「本当の歴史学というのは、考える学問であり、信じる学問である」といった旨の発言を行っている。
ただし、平泉先生の批判の矛先が実証主義全体に向けられているのに対し、本郷氏は、実証から先の思考を停止してしまう狭義の実証=単純実証がおかしいと申し上げている。
さらに、日々、コツコツと孤独に机に向かって研究するスタイルの学者は今後ますます減っていくことになるだろう。
なぜなら、そのようなことを続けていては生きていけないからだ。
現在の学者に必要な資質とは何か。
研究者としての(ある程度の) 実力はもちろんだが、それだけでは駄目だ。
必要なのは、「競争的研究資金を得る」、つまり「自分は研究するために幾らのカネが必要だ」ということを胴元である文部科学省にうまくプレゼンテーションできる能力である。
そしてもう一点、「学校の内外で仲間をうまくつくれる能力」も大事なのだ。
なぜなら、文科省は、「あなたの研究にはお仲間の先生がいますか」「お仲間の先生方は多様な大学から選んでいますか」といった点を重視するからである。
ここからは、私の個人的な感想だが、つまり、これから活躍する学者になるには、学者としての能力の他に、普通の社会人と同じような能力が求められるのである。
実際これは結構難しいと思うので、学者と経営の分離が大学に求められているといことだろう。
これは、大学に限らない。
医療やあらゆる業界に求められるだろう。
東大史料編纂所は、江戸時代の国学者、 塙保己一 が設立した和学講談所の業務の一部が1888(明治 21) 年に帝国大学、後の東大に移管されてできた。
日本の歴史資料の編纂を使命としているが、その最大のミッションは1901(明治 34) 年から今日まで続く、我が国最大の歴史資料、『大日本史料』の編纂事業だという。
日本の飛鳥・奈良・平安の3時代にかけ、時の律令政府の手によって国史が編纂・作成された。
『日本書紀』(720年完成) から『日本三代実録』(901年完成) まで6つの国史が存在するので、俗に「 六国史」と呼ばれる。
その後の日本ではずっと国史の編纂が行われなかったため、『日本三代実録』以降、すなわち宇多天皇が即位する887年から、幕末の1867年までを対象とするおよそ980年分の日本の歴史をまとめようという壮大なプロジェクトが行われている。
このような国家事業に関わる著者が、歴史学(歴史ではない)について率直に語っていて好感が持てる。
著者によると、日本の歴史学の流れは四つの世代で分けると考えやすい。
第0世代 皇国史観の歴史学
第一世代 マルクス主義史観の歴史学
第二世代 社会史「四人組」の時代
第三世代 現在
・第0世代 皇国史観の歴史学
戦前・戦中の歴史学の特徴を一言でいうなら、がっつり「皇国史観」、ということになろうか。
神話で彩られる輝かしい古代を称揚し、天皇を頂点とする国造りの思想を重んじ、皇室に忠義を尽くした中世人や勤王の武士たちの「物語」を顕彰した。
古文書など史料に基づく事実の検証よりも、古典作品を重視し、時代の「精神」にフォーカスする歴史学とも言えるだろう。
・第一世代 マルクス主義史観の歴史学
第二次世界大戦の敗戦を機に皇国史観はほぼ一掃され、それと同時に歴史学の世界でも唯物史観、マルクス主義的な色彩の濃い勢力が頭角を現すようになって行く。
マルクス主義的な歴史観とは、国家の経済を実質的に担っている労働者(下部構造) こそが歴史の主役であり、彼ら国民・民衆が団結して、いつか資本家や国家権力を打倒する日がやってくるのだと説く歴史の見方。
・第二世代 社会史「四人組」の時代
史的唯物史観のような「初めに結論ありき」の、イデオロギーに近い立場の歴史学が徐々に衰退していくにつれて、東大・京大で行われていた実証主義的な歴史学が次第に勢力を盛り返していくことになる。
その主翼を担ったのが、歴史学界隈では「四人組」と称される網野善彦、本郷氏が教えを乞うた石井進、笠松宏至、そして勝俣鎭夫の各先生であった。
ことに、網野は戦後日本史学、第二のお祭りを担うスター研究者となった。
・現代
皇国史観で知られる平泉澄先生も「史料編纂所の連中の実証とは、調べているだけだ。分析したり調べたりするということは、物事をバラバラにしていく死の学問だ」とか、「本当の歴史学というのは、考える学問であり、信じる学問である」といった旨の発言を行っている。
ただし、平泉先生の批判の矛先が実証主義全体に向けられているのに対し、本郷氏は、実証から先の思考を停止してしまう狭義の実証=単純実証がおかしいと申し上げている。
さらに、日々、コツコツと孤独に机に向かって研究するスタイルの学者は今後ますます減っていくことになるだろう。
なぜなら、そのようなことを続けていては生きていけないからだ。
現在の学者に必要な資質とは何か。
研究者としての(ある程度の) 実力はもちろんだが、それだけでは駄目だ。
必要なのは、「競争的研究資金を得る」、つまり「自分は研究するために幾らのカネが必要だ」ということを胴元である文部科学省にうまくプレゼンテーションできる能力である。
そしてもう一点、「学校の内外で仲間をうまくつくれる能力」も大事なのだ。
なぜなら、文科省は、「あなたの研究にはお仲間の先生がいますか」「お仲間の先生方は多様な大学から選んでいますか」といった点を重視するからである。
ここからは、私の個人的な感想だが、つまり、これから活躍する学者になるには、学者としての能力の他に、普通の社会人と同じような能力が求められるのである。
実際これは結構難しいと思うので、学者と経営の分離が大学に求められているといことだろう。
これは、大学に限らない。
医療やあらゆる業界に求められるだろう。
2024年3月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者の半生をたどりながら、東京大学史料編纂所というあまり一般に馴染みのない機関や、中世史の研究者たちや、彼らをとりまく戦後の研究史の概要を知ることができます
後半は史料に偏りすぎた実証史学や、歴史学会の現状への批判が出てきますが、暴露本めいた装丁や煽り文ほど過激なものではありません
私も、批判については妥当なものであると思います
一方で、メディアに露出することで既存の研究者たちから批判を浴びやすい著者が、自身の行動を自己弁護しているようにも見えてしまいます
単に自己弁護なら良いのですが、本郷先生が「約30年間ひたすらその作業(大日本史料の編纂)の一部を担ってきた」…
うーん、ある時期まではそうかもしれないけど、「30年間ひたすら」って、それ同僚の皆さんや、所長を勤められた奥様の目を見て言えますかね
メディアに出たり一般書を書くことは悪いと思いませんが、少なくとも本郷先生の、税金を多分に含んだ安くお給料は、その作業を「ひたすら」やるために貰っていると思うのですが
後半は史料に偏りすぎた実証史学や、歴史学会の現状への批判が出てきますが、暴露本めいた装丁や煽り文ほど過激なものではありません
私も、批判については妥当なものであると思います
一方で、メディアに露出することで既存の研究者たちから批判を浴びやすい著者が、自身の行動を自己弁護しているようにも見えてしまいます
単に自己弁護なら良いのですが、本郷先生が「約30年間ひたすらその作業(大日本史料の編纂)の一部を担ってきた」…
うーん、ある時期まではそうかもしれないけど、「30年間ひたすら」って、それ同僚の皆さんや、所長を勤められた奥様の目を見て言えますかね
メディアに出たり一般書を書くことは悪いと思いませんが、少なくとも本郷先生の、税金を多分に含んだ安くお給料は、その作業を「ひたすら」やるために貰っていると思うのですが
2023年7月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
個人的には凄く面白く一気に読んでしまった。
本郷氏の生育歴、教育に心血を注ぐ母親との関係と葛藤、中高時代の豊かで自由な議論が許されるサロン的な人間関係に癒やされた時代、、。
著者の根底に流れるものに正直、感じるものがあり、本を読んで氏のことがより身近に感じられ、知的好奇心、そして氏の物語性が生み出す源泉に触れられた気がする。
多分、本書で書かれている中二病で形容されるものよりも深い体験世界を生きてきたんだろう。
また、本書には氏の学部、大学院、現在の職場における体験が書かれている。そして氏が関わり、身近に観察してきた歴史学者を交えながら「歴史学の生成過程」そのものを考察・構築している点は、読み応えがあった。個人史から見る歴史生成過程の分析・考察とでも言おか。部族に入って参与観察する文化人類学者のような感じ。
また、日本の長い歴史学の潮流を皇国史観、唯物論史観、四人組の観点からまとめ、全体をマッピングしてしまうあたりはさすがで、自分の仕事にも当てはまる部分が多く、一つの信仰体系にのみのめり込んでしまう危険性を再認識した。
なんとなく、この人は、求道者で物事の両極を突き詰めて考えて、答えがでないままそのまま抱えて悩み、生き、言葉を生み出す人なのかなと思った。
良い意味で色々な振れ幅が大きいからこそ、魅力的な人なのかもしれない。
イギリスでは、歴史学が非常に大学では高い地位を占めているが、日本ももっと評価されて守られるべき領域だと思う。
私は、本を読んで更に歴史が好きになったかな。読めて良かったです。ありがとうございました。
本郷氏の生育歴、教育に心血を注ぐ母親との関係と葛藤、中高時代の豊かで自由な議論が許されるサロン的な人間関係に癒やされた時代、、。
著者の根底に流れるものに正直、感じるものがあり、本を読んで氏のことがより身近に感じられ、知的好奇心、そして氏の物語性が生み出す源泉に触れられた気がする。
多分、本書で書かれている中二病で形容されるものよりも深い体験世界を生きてきたんだろう。
また、本書には氏の学部、大学院、現在の職場における体験が書かれている。そして氏が関わり、身近に観察してきた歴史学者を交えながら「歴史学の生成過程」そのものを考察・構築している点は、読み応えがあった。個人史から見る歴史生成過程の分析・考察とでも言おか。部族に入って参与観察する文化人類学者のような感じ。
また、日本の長い歴史学の潮流を皇国史観、唯物論史観、四人組の観点からまとめ、全体をマッピングしてしまうあたりはさすがで、自分の仕事にも当てはまる部分が多く、一つの信仰体系にのみのめり込んでしまう危険性を再認識した。
なんとなく、この人は、求道者で物事の両極を突き詰めて考えて、答えがでないままそのまま抱えて悩み、生き、言葉を生み出す人なのかなと思った。
良い意味で色々な振れ幅が大きいからこそ、魅力的な人なのかもしれない。
イギリスでは、歴史学が非常に大学では高い地位を占めているが、日本ももっと評価されて守られるべき領域だと思う。
私は、本を読んで更に歴史が好きになったかな。読めて良かったです。ありがとうございました。
2023年3月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
筆者の半生と日本の歴史学界の現状を論じたノンフィクションである。歴史学を修めた者として、この本は必読書である。
第三章でテスト用紙に担当講師の著作のマークを貼らなければならない、という事実を知り、愕然とした。日本の高等教育の質はどうしてこんなに低下してしまったのだろうか。
第三章でテスト用紙に担当講師の著作のマークを貼らなければならない、という事実を知り、愕然とした。日本の高等教育の質はどうしてこんなに低下してしまったのだろうか。
2022年10月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私も50歳になると、著者の気持ちが良く分かる様になっている。勿論同情というより憐憫の感情である。
そもそも、公の場でも妻が上司で、自分より学問的才能が上あるというのは、相当に苦悩が多いであろう。日本には婿養子という風習があるが、おおむねこういう苦悩と共通面も多いだろう。本人は自らの才能に早々限界を感じていて割り切っている感があるが、それでも言い訳感が文中の随所に出てくる。これを正直どう感じるかによって読者の精神年齢の踏み絵になる本である。
私など精神年齢からすると、かなりお爺さんなのだろうか?むしろ舅の苦労を聞くお爺さんやお婆さんの感覚がよぎった位だ。まあ、この本を読んで歴史学者になろうと思う人は少なかろう。特に若い人は自らの才能に限界など考えないだろうが、世にいう天才というのはこういう業界でも多い。だから若い人に読ませる本ではない。高年齢者が読むと味があるだろうが、まあ読む人を選ぶ本ではある。
例えば、将棋の世界でも何年も奨励会で花が咲かずに引退する者、退会期限ギリギリで才能が開花する者、早々に才能が発露する者がいるけれど、大人になると、才能だけで飯を食うということの「恐ろしさ」がどれほどのものかが判然とする。才能がある時に枯渇すると、それに対する世間の「 シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感 」の感情の受容が出来ずに自殺するケースとか、自らのアイデンティティの居場所と苦悩することとなる。その時期が来ることを自らすぐ悟って別の道に歩むことをすぐ選んだ方が良いが、中々それが当事者だと難しいことが多いのだ。
漫画家の本宮ひろ志氏の妻がそんな感じで、自らも漫画家であったが、本人も自覚していた様で、夫からあまりの内容に引退を通告されですぐにそれ受け止めたそうだ。今は陶磁に勤しんでいる様だ。自ら研鑽してもどこかで才能が枯渇する時期がやってくる。逆に新たな才能が開花することもある。だから才能は「贈り物」という感じで受け止めた方が良い。後生大事に出来るものではないし、いつか才能との「別れ」もやってくるのだ。
教育者の一流と研究者の一流は一致しないし、才能の発露は人によって違うという自覚はどこでも難しい。特に東大という狭い学術の世界なら当然の如く「世間のつらさ」が別の意味で違ってくる。私に言わせると、定年まで勤めあげるとこが出来たなら御の字と思うし、彼がフリーのライターで飯を食っていけるとも思えない。私なら「かわいい」と思えるのだがどうだろうか?
そもそも、公の場でも妻が上司で、自分より学問的才能が上あるというのは、相当に苦悩が多いであろう。日本には婿養子という風習があるが、おおむねこういう苦悩と共通面も多いだろう。本人は自らの才能に早々限界を感じていて割り切っている感があるが、それでも言い訳感が文中の随所に出てくる。これを正直どう感じるかによって読者の精神年齢の踏み絵になる本である。
私など精神年齢からすると、かなりお爺さんなのだろうか?むしろ舅の苦労を聞くお爺さんやお婆さんの感覚がよぎった位だ。まあ、この本を読んで歴史学者になろうと思う人は少なかろう。特に若い人は自らの才能に限界など考えないだろうが、世にいう天才というのはこういう業界でも多い。だから若い人に読ませる本ではない。高年齢者が読むと味があるだろうが、まあ読む人を選ぶ本ではある。
例えば、将棋の世界でも何年も奨励会で花が咲かずに引退する者、退会期限ギリギリで才能が開花する者、早々に才能が発露する者がいるけれど、大人になると、才能だけで飯を食うということの「恐ろしさ」がどれほどのものかが判然とする。才能がある時に枯渇すると、それに対する世間の「 シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感 」の感情の受容が出来ずに自殺するケースとか、自らのアイデンティティの居場所と苦悩することとなる。その時期が来ることを自らすぐ悟って別の道に歩むことをすぐ選んだ方が良いが、中々それが当事者だと難しいことが多いのだ。
漫画家の本宮ひろ志氏の妻がそんな感じで、自らも漫画家であったが、本人も自覚していた様で、夫からあまりの内容に引退を通告されですぐにそれ受け止めたそうだ。今は陶磁に勤しんでいる様だ。自ら研鑽してもどこかで才能が枯渇する時期がやってくる。逆に新たな才能が開花することもある。だから才能は「贈り物」という感じで受け止めた方が良い。後生大事に出来るものではないし、いつか才能との「別れ」もやってくるのだ。
教育者の一流と研究者の一流は一致しないし、才能の発露は人によって違うという自覚はどこでも難しい。特に東大という狭い学術の世界なら当然の如く「世間のつらさ」が別の意味で違ってくる。私に言わせると、定年まで勤めあげるとこが出来たなら御の字と思うし、彼がフリーのライターで飯を食っていけるとも思えない。私なら「かわいい」と思えるのだがどうだろうか?
2023年2月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本郷先生の歴史のお話しはとても面白く、本が出るたびにワクワクしています。
この本も歴史の話しだと思い楽しみにしていましたが、本郷先生ご自身の話しで、
肩透かしのような感じでした。
「歴史学者~」とタイトルにあるわけですから、なにも悪いわけではありませんが、
そこまで「歴史学者」には興味は持てませんでした。
やはり本郷先生は源氏とか平家とか出てくる時代を語ってくれるのが一番好きです。
この本も歴史の話しだと思い楽しみにしていましたが、本郷先生ご自身の話しで、
肩透かしのような感じでした。
「歴史学者~」とタイトルにあるわけですから、なにも悪いわけではありませんが、
そこまで「歴史学者」には興味は持てませんでした。
やはり本郷先生は源氏とか平家とか出てくる時代を語ってくれるのが一番好きです。
2022年10月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
歴史学者になる道を高い文章力と豊富な歴史ネタで読ませる。
平易に書いて一般読者を楽しませ、歴史ファンを広めたいという本郷氏の熱意が伝わってきます。
メディアへの露出の高さから、時に、コアな歴史ファンや研究者に疎まれがちという同氏ですが、心から歴史を愛しているのが読み取れて、グイグイ引き込まれていきます。
おすすめです。
平易に書いて一般読者を楽しませ、歴史ファンを広めたいという本郷氏の熱意が伝わってきます。
メディアへの露出の高さから、時に、コアな歴史ファンや研究者に疎まれがちという同氏ですが、心から歴史を愛しているのが読み取れて、グイグイ引き込まれていきます。
おすすめです。