【はじめに】

この本をお手に取って頂き、誠に有難うございます。

まず初めに、皆さまは「プロの占い師」に対して、どのような印象を抱いているのでしょうか。

稼げる。楽しそう。簡単そう。

おそらく、このような考え方をされる方もいらっしゃるかと思います。

まず初めに、稼げるかどうかは人によってしまうこと。

月収1万円〜100万円まで、振り幅があることと、「当たる」と「稼げる」、そして自分が押し出したい「凄い」とお客様が欲しい「凄い」は別物であることを理解することが大切です。

最低限副業レベルに稼ぐためにはどうするか？

この部分に注目をして、解説をしていきます。

ただ、占い師は10年勉強をしてようやく半人前という言葉もある世界です。

私はそのようには考えていませんが、その考え自体は自分自身で持っているべきものだと思っています。

「趣味」「アマチュア」「プロ「本業」」

個人事業主が数多く存在するクリエイターや職人、専門職には、このようなカテゴリーが存在するのはご存知だと思います。

これらのカテゴリーは、どのような基準でカテゴライズされているのでしょうか？

私の意見としては、金銭＝責任と評価だと捉えています。

金銭が発生せずに、責任も最低限の占い師は趣味と言っても差し支えがないでしょう。

プロを目指している途中、金銭はお気持ちで頂き、責任も金銭の分だけ発生する状態がアマチュア。

こちらから指定した金銭が発生し、責任は最大限伴うものがプロ。

ただ、占い業界ではこの部分は少し異なり、占い専門の企業の面接や審査を通過し、本所属になって金銭が振り込まれる状態で初めてプロだという考え方が業界的に強くあります。

正直、お金を貰うだけの状態であれば無審査のサービスが幾つもありますので、名乗ればみんなプロになってしまうことから、このような風潮が生まれたのではないでしょうか。

さて、本業ですが、こちらは自分自身の収入の過半数が占いによって賄われている状態であれば本業と言っても良いかと思います。

実際、ルールや決まりによる明確な線引きはありませんが、慣習的なもので判断をするとこのような線引きになります。

さて、ここまでは一般論も交えたお話でしたが、皆様は占い師になる為に必要な知識として、占い以外に何を思い浮かべますか？

心理学や漢方、健康や一般的な職種など、色々な知識が必要だと感じているかと思います。

ただ、もちろんそこも大事なのですが、一番大事なものは「法律」で、続いて「税務」になります。

いきなり夢のない話になってしまいますが、例えば1000万円稼いでも捕まってしまったり、追徴課税で大きな金額を支払うことになり、最悪の場合は差し押さえにまで発展してしまいます。

ピンと来ない人が多い話題なので、具体的なものをお伝えしていくと、「絶対当たる」のような触れ込みは、景品表示法の不当表示に該当する場合があります。

これだけ聞いてしまうと、占い師ってリストばかりで何も出来ないのではないか？と思ってしまいがちですが、実は占いでお金を頂くこと自体は全く違法行為にはなりません。

占いは1兆円市場と言われており、年間1兆円ものお金が占い業界では動いています。

かなりの規模の商圏になるのですが、そんな占いは消費生活センターにおける占いの金銭のやり取りにおける定義としては、「占いをすることへの対価」として、不法行為に当たらないといった事柄が記載されています。

簡単に言いますと、当たろうが外そうが占いというパフォーマンスをしている以上は代金が発生する。といった内容になります。

ちょっとストレートになりましたが、占い師という職業は法的にも認められているのです。

ただ、その悪用をする人もいるのは事実ですが、霊感商法のような悪用にはクーリングオフが長めに設定されている側面もあります。

霊感などの知見によって購入が促された商品は、通常の購入よりもクーリングオフ期間が長く設定されており、

①契約の対象が商品・役務である場合は政令で定めた一定の商品・役務ではないこと、権利である場合は特定権利であること

②営業所等以外の場所や、キャッチセールス、アポイントメントセールスで営業所に呼び出されて契約の申込みや契約をした場合であること

③契約対象金額が一定の金額であること

④クーリングオフできる旨の告知(書面又は相手方の事前同意を得た上での電磁的記録であることが必要)を受けた日から一定期間以内に行使すること

⑤4の期間内に書面又は電磁的記録による解約の通知を発すること

以上の5項目を満たせば通常のクーリングオフが可能になるのですが、霊感商法については法改定が行われ、取消権の行使期間が、被害に気付いてから3年(改正前1年)、契約締結時から10年(改正前5年)の間、行使することが可能となりました。

このような法律を最低限理解しておかなければ、様々な法律に抵触して損害賠償をすることになってしまう恐れもあります。

他にも、これをすると健康になれます。あなたは病気です。病気だから治療します。裁判についてアドバイスします。などは、それぞれ医師法、弁護士法などに定められた有資格者以外のアドバイスを禁止するものに抵触するので注意してください。

正しい知識をもとに、自分もお客様もウィン・ウィンの関係で鑑定業務をすることが一番大事ですので、最低限このような知識は身に付けておいて損はありません。

推奨図書としては、東京商工会議所が出しているビジネス実務法務検定3級テキストをおすすめします。

はじめにの項目で難しい言葉が沢山出てしまいましたが、「占い師である前に人であれ」といった意味を込めて、一般的な日常生活を送っているお客様への有意義なアドバイスをする為にも、自分自身も最低限の知識を持っていることが適切だと思います。

「当たり前」が一番難しいことではありますが、そんな「当たり前」を理解し、実践した上でプロ占い師という選択肢を選んで頂ければ幸いです。