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イメージ付きのレビュー
事実は小説よりも奇なりーーを地でいく経済ドキュメント
瀬戸CEOが突然解任され、翌年の総会で復帰に至った2019年の「LIXIL騒動」。企業統治の問題点が浮き彫りになったあの事件について、あのとき何が起こっていたのかを詳細に記録したこの本は、経営者が読むべき参考書だ。 機関投資家には、議決権行使のうえで「信託銀行の壁」があること、議決権行使書と委任状を混同させようとする会社側のずるい手口ーーなど、総会運営の実務を学ぶ上でも参考になる。こうした案件で暗躍するファイナンシャルアドバイザーや法務アドバイザー、PR代行会社はプロではあるが「正義」ではないこともよくわかる。社外取締役が機能しているのか、多くの日本企業で疑問視され、委員会設置会社などの手法が有効なのかが議論されている。あの騒動で健全な企業統治を取り戻したLIXILの業績、株価について語っている本書の「あとがき」を、多くの経営者にぜひ読んでほしい。本当の統治が実践されていれば、業績が改善する企業は多いのではないだろうか。取り上げている内容は「企業統治」というかたい題材だが、読後感はまさに「経済小説」だった。「事実は小説よりも奇なり」。ドラマ化されることを期待したい。
