本題は「横濱王」であるが、内容は原三渓を主人公にしたものではない。
原三渓について、一人の青年が第三者を通じて部分的に述べただけの、表面的な内容になっている。
関東大震災での復興でどんな活躍をしたか、富岡製糸場で最高ランクの生糸を生産するまでの技術的な苦労・販売の困難さ、
また「原商店」を引き継ぎ、いかに大きくしていったか、など結果を記載しただけのもので、中身を掘り下げだ一種のノンフィクション
小説のような、読む者を「ワクワク」させる記述はほとんど無い。
「原三渓」を「横濱王」として本題にしたのなら、少し大げさに感じる。
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横濱王 (小学館文庫 な 23-3) 文庫 – 2018/9/6
永井 紗耶子
(著)
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今の日本に、こんなリーダーがほしかった!
昭和13年、青年実業家の瀬田修司は横濱に降り立った。関東大震災から復興した横濱は、ジャズが流れモガ・モボが闊歩する華やかな文化あふれる国際都市。折しも日中戦争が始まり、軍需景気にあやかりたい瀬田は、横濱一の大富豪である原三渓からの出資を得ようと、三渓について調べ始める。
実業家としての三渓は、富岡製糸場のオーナーであり「生糸王」の異名を持っていた。関東大震災では、復興の先頭に立ち私財をなげうって被災者の救済にあたった。また、稀代の数寄者として名を馳せ、茶の湯に通じ、「西の桂離宮、東の三渓園」と言われる名園を築いた文化人。前田青邨や小林古径など、日本画家の育成を支援……と、いくら調べても交渉材料となるような醜聞は見つからず、瀬田は苛立つ。
やがて「電力王」として知られる実業家、松永安左ヱ門に会った瀬田は、松永の仲介で三渓に会うことが叶う。
三渓園の茶室を訪れた瀬田は、そこで原三渓と話を交わしたことで、少しずつ考えを変えていく。
実は少年時代、瀬田には三渓にまつわる忘れ得ぬ記憶があった……。
昭和13年、青年実業家の瀬田修司は横濱に降り立った。関東大震災から復興した横濱は、ジャズが流れモガ・モボが闊歩する華やかな文化あふれる国際都市。折しも日中戦争が始まり、軍需景気にあやかりたい瀬田は、横濱一の大富豪である原三渓からの出資を得ようと、三渓について調べ始める。
実業家としての三渓は、富岡製糸場のオーナーであり「生糸王」の異名を持っていた。関東大震災では、復興の先頭に立ち私財をなげうって被災者の救済にあたった。また、稀代の数寄者として名を馳せ、茶の湯に通じ、「西の桂離宮、東の三渓園」と言われる名園を築いた文化人。前田青邨や小林古径など、日本画家の育成を支援……と、いくら調べても交渉材料となるような醜聞は見つからず、瀬田は苛立つ。
やがて「電力王」として知られる実業家、松永安左ヱ門に会った瀬田は、松永の仲介で三渓に会うことが叶う。
三渓園の茶室を訪れた瀬田は、そこで原三渓と話を交わしたことで、少しずつ考えを変えていく。
実は少年時代、瀬田には三渓にまつわる忘れ得ぬ記憶があった……。
- 本の長さ352ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2018/9/6
- 寸法10.5 x 1.3 x 15 cm
- ISBN-104094065571
- ISBN-13978-4094065572
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- 文庫 : 352ページ
- ISBN-10 : 4094065571
- ISBN-13 : 978-4094065572
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2020年3月28日に日本でレビュー済み
三渓園を作った原三渓を扱った小説。主人公ではなく、いくつかのオムニバス的な話から、彼の素顔に迫っていくような内容になっている。ナイフみたいに尖って三渓を憎んでいる人物が、徐々にその誤解を解いていくとか。
正直、小説としての出来はイマイチ。
原三渓という人物が善人すぎるだからだろうか。
正直、小説としての出来はイマイチ。
原三渓という人物が善人すぎるだからだろうか。
2018年10月4日に日本でレビュー済み
横濱王とは、岐阜県の柳津町で生まれた原富太郎(号は三溪。元の姓は青木で、原善三郎の孫娘の婿となって跡を継いでます。)のことです。
三溪園で有名な人で、一時三井の後に富岡製糸場を経営していたこともある人です。
ただ、この物語の主人公は原三溪その人ではなく、若い青年実業家の瀬田修司(実在の人物ではないと思います。)です。
序章では、瀬田修司が大正12年9月1日のお昼に発生した関東大震災で妹のシズと別れ別れになるところから始まります。
一章では、いきなり時代が昭和13年に飛びます。原三溪は昭和13年に亡くなっているので、わずか一年の間の話(一部は過去を回顧しながら)になります。
終章では、また時代が飛んで昭和21年3月になります。終戦後大陸から戻ってきた瀬田修司の目から見た横濱が最後に描かれています。
瀬田修司を通して知る原三溪の生き方、考え方で現代にも通じるものがあり、考えさせられるところがあります。
三溪園で有名な人で、一時三井の後に富岡製糸場を経営していたこともある人です。
ただ、この物語の主人公は原三溪その人ではなく、若い青年実業家の瀬田修司(実在の人物ではないと思います。)です。
序章では、瀬田修司が大正12年9月1日のお昼に発生した関東大震災で妹のシズと別れ別れになるところから始まります。
一章では、いきなり時代が昭和13年に飛びます。原三溪は昭和13年に亡くなっているので、わずか一年の間の話(一部は過去を回顧しながら)になります。
終章では、また時代が飛んで昭和21年3月になります。終戦後大陸から戻ってきた瀬田修司の目から見た横濱が最後に描かれています。
瀬田修司を通して知る原三溪の生き方、考え方で現代にも通じるものがあり、考えさせられるところがあります。
2022年2月22日に日本でレビュー済み
話は面白いが、文章の下手なのが台無しにしている。おそらく日本のプロ作家の中でダントツに下手。
台詞の後に、やたら「そう言って」「そう言うと」が出て来る。見苦しい。
台詞の後に、やたら「そう言って」「そう言うと」が出て来る。見苦しい。
2015年9月19日に日本でレビュー済み
横濱随一の富豪である、三溪園でも有名な原三渓の生涯を記した小説とは少し違います。青年実業家瀬田修司を通じて、原三渓の人物像や功績等を浮かび上がらせているのですが、物語の主軸は瀬田の人生にあります。
幼少期に関東大震災を経験した瀬田修司が、、ついに原三渓との面談が叶い、それを契機に瀬田の人生観も変わっていき転機になりますが、その場面には残念ながら深く感情移入出来ませんでした。
戦争が激しくなり日本の激動期に大富豪にのし上がっていく原三渓の武勇伝をイメージされる方には、恐らく不向きかと思います。時代と震災に翻弄され、原三渓の言葉に救われながらも、志を成就出来なかった男の哀愁を感じる小説です。
幼少期に関東大震災を経験した瀬田修司が、、ついに原三渓との面談が叶い、それを契機に瀬田の人生観も変わっていき転機になりますが、その場面には残念ながら深く感情移入出来ませんでした。
戦争が激しくなり日本の激動期に大富豪にのし上がっていく原三渓の武勇伝をイメージされる方には、恐らく不向きかと思います。時代と震災に翻弄され、原三渓の言葉に救われながらも、志を成就出来なかった男の哀愁を感じる小説です。
2015年11月23日に日本でレビュー済み
キングの塔がそびえる。国際経済都市・横濱には、かつて誰もが尊敬する人物がいた
横濱王・原三渓である。
単なる伝記小説ではない、青年実業家瀬田が原三渓の所縁のある人物を訪ね、三渓の人物像に迫っていく。
最初は、出資を頼むための伝手や弱みを得るためであったが、原三渓の人物像に迫る中で、わからなくなる。
次第にキングの塔に一歩一歩近づいていく。少しずつ、全体像が見えて来たところで、本物と対面する。
世の流れから超然とした存在であった、まさにキングの塔のように。
そして、瀬田は自身の辛い経験を邂逅し、省みる。
本書は、青年実業家・瀬田の視点から見た横濱王・原三渓の人物像について書かれた本である。
横濱王・原三渓である。
単なる伝記小説ではない、青年実業家瀬田が原三渓の所縁のある人物を訪ね、三渓の人物像に迫っていく。
最初は、出資を頼むための伝手や弱みを得るためであったが、原三渓の人物像に迫る中で、わからなくなる。
次第にキングの塔に一歩一歩近づいていく。少しずつ、全体像が見えて来たところで、本物と対面する。
世の流れから超然とした存在であった、まさにキングの塔のように。
そして、瀬田は自身の辛い経験を邂逅し、省みる。
本書は、青年実業家・瀬田の視点から見た横濱王・原三渓の人物像について書かれた本である。