この本は数学史の本でありまして、確率論を発展させるきっかけになった、あるいは発表当時論争を呼び起こした、重要な問題を33個とりあげて解説しています。数学史の本なので「○○を最初に使ったのは△△だと信じられているが実は▲▲であってうんぬん」みたいなことがいっぱい書かれていますが、私が興味を持ったのはそこではありません。確率論の考え方というのは意外と直観に反しているものですが、「直観に反した確率に関する事実」はいくつかのパターンに分けられるはずであって、それを知っておけば多少とも備えになるのではないかと思ったからです。
「~ということがあるから注意するように」と一般論で言われるよりも、具体的な問題を示された方が、そりゃ断然印象に残りますからね。この本を読んで確率論を勉強するのは(そもそもこの本は数学書というより歴史書なので、当然)無理だと思いますが、確率論の本を誰かがもし書くとしたなら、この本に載ってるみたいな示唆的な例をバーンと出してくれると嬉しいなあと思ったりしました。とくに、「この例は高校の教科書に載せたら高校生におもしろがってもらえそうだな」と思えるようなのもあったので、高校の先生には読んで欲しい本であります。象徴的な事例ってのはいいもんです。
実は私は、「パラドクシカルな問題を例示して、それを解決するために理論を構成、構成を通して理論を解説する」という内容を少し期待して手にとったのですが、そういう本ではなかったです。この本を十全に味わうためには、読者は事前に多少確率に親しんでいる必要があると思います。
確率論の啓蒙書・入門書としても良い、と共立出版さまの紹介ページには書かれていますが、さすがにそんなことはないと思いますね。確率論が概観できる、ということもないです。ひとつひとつの問題は興味深いですし、これだけ示唆的な問題を集めたということには価値があると思いますけどね。全体的に歴史についての記述が多いので、この本はあくまで歴史書と言った方が良いかと。
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確率は迷う: 道標となった古典的な33の問題 単行本 – 2018/8/30
Prakash Gorroochurn
(著),
野間口 謙太郎
(翻訳)
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購入オプションとあわせ買い
「私の個人的書庫に必ず加わるであろう,素晴らしい本である」―― ポール・ナーイン
"A great book, one that I will certainly add to my personal library." ――Paul J. Nahin
("2012 PROSE Award for mathematics"受賞の祝辞。原著ペーパーバック版・裏面より)
本書は,カルダノによって創成されてから450年あまりの確率論の歴史のなかで,分野の発展に大きく貢献した問題・歴史的意義が大きい問題を33問取り上げた解説書である。
各章は,「問題→解答→考察」で統一した構成となっている。特に「考察」では,取り上げる各問題の出典元を原ねることから始め,必要に応じ数学的証明なども絡めながら詳細な議論が行われる。文章中に図版や書簡,論文を積極的に取り入れることで,どういう経緯でその問題が生まれ,数学者たちがどういった考察や議論のもとでその問題に挑み,ときに苦悩し迷い,そして解決への道を辿ったかが,非常に丁寧かつ活き活きと描かれる。現在では歴史的大数学者とも評される人物の意外な様子なども浮き彫りにされている。
扱う話題は,「正常な硬貨を2回投げて,少なくとも1回表が出る確率は?」(問題12)といった平易なものから,測度論を用いるような高度な確率解析(問題23)まで多岐に亘るが,確率に関する基礎的な知識があれば十分に楽しむことができるよう十二分の配慮がなされている。
確率論の歴史書としての面と啓蒙書・入門書としての面を見事に両立させている,これまでにない優れた書籍と言えるだろう。
"A great book, one that I will certainly add to my personal library." ――Paul J. Nahin
("2012 PROSE Award for mathematics"受賞の祝辞。原著ペーパーバック版・裏面より)
本書は,カルダノによって創成されてから450年あまりの確率論の歴史のなかで,分野の発展に大きく貢献した問題・歴史的意義が大きい問題を33問取り上げた解説書である。
各章は,「問題→解答→考察」で統一した構成となっている。特に「考察」では,取り上げる各問題の出典元を原ねることから始め,必要に応じ数学的証明なども絡めながら詳細な議論が行われる。文章中に図版や書簡,論文を積極的に取り入れることで,どういう経緯でその問題が生まれ,数学者たちがどういった考察や議論のもとでその問題に挑み,ときに苦悩し迷い,そして解決への道を辿ったかが,非常に丁寧かつ活き活きと描かれる。現在では歴史的大数学者とも評される人物の意外な様子なども浮き彫りにされている。
扱う話題は,「正常な硬貨を2回投げて,少なくとも1回表が出る確率は?」(問題12)といった平易なものから,測度論を用いるような高度な確率解析(問題23)まで多岐に亘るが,確率に関する基礎的な知識があれば十分に楽しむことができるよう十二分の配慮がなされている。
確率論の歴史書としての面と啓蒙書・入門書としての面を見事に両立させている,これまでにない優れた書籍と言えるだろう。
- 本の長さ380ページ
- 言語日本語
- 出版社共立出版
- 発売日2018/8/30
- ISBN-10432011339X
- ISBN-13978-4320113398
登録情報
- 出版社 : 共立出版 (2018/8/30)
- 発売日 : 2018/8/30
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 380ページ
- ISBN-10 : 432011339X
- ISBN-13 : 978-4320113398
- Amazon 売れ筋ランキング: - 573,102位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中4.8つ
5つのうち4.8つ
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年2月24日に日本でレビュー済み
確率論の教科書はしばしば、概念と数式の連続となりがちで無味乾燥な内容になっている。その点、本書はパスカル、フェルマー、ベルヌーイなどの直面した数学的問題とその解決の逸話を通じて、確率の考え方を理解していける。数学史ファンとしても新鮮で楽しい知識が詰まっている。
例えば、問題23の「ボレルのパラドックスとコルモゴロフの公理」などがいい例。確率ゼロでの条件付き確率に生じるパラドックスからコルモゴロフの公理の有難味を体得できるのだ。
価格は高いけれど読み応えもそれ相応にあると思います。
例えば、問題23の「ボレルのパラドックスとコルモゴロフの公理」などがいい例。確率ゼロでの条件付き確率に生じるパラドックスからコルモゴロフの公理の有難味を体得できるのだ。
価格は高いけれど読み応えもそれ相応にあると思います。
2021年3月25日に日本でレビュー済み
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「確率論の本」といえば、極めて「高度な数学的アプローチ」か、「歴史的なアプローチ」かに区分されるかと思いますが・・本書は後者のタイプです。カルダーノ(1564)から始まる約500年近くの確率論の歴史を、本書は33題の確率の問題を軸に俯瞰してみせています。
本書の約1/3は、「証明」に費やされていますが・・私にはちょっと荷が重すぎたので「すっ飛ばし」てしまいましたが、それでも確率論にまつわる歴史的な面白さは十分に伝わってきます。
それにしても、これほど「先人」が「確率」に熱くなったのは、人間は不確実な未来を何とか予測しよういう根本的な欲求があったからなのでしょう・・。
尚、今脚光を浴びている「ベイズ」については、さらっと紹介している程度なので、ベイズに興味のある方は、他の図書を当たられることをお勧めします。
本書の約1/3は、「証明」に費やされていますが・・私にはちょっと荷が重すぎたので「すっ飛ばし」てしまいましたが、それでも確率論にまつわる歴史的な面白さは十分に伝わってきます。
それにしても、これほど「先人」が「確率」に熱くなったのは、人間は不確実な未来を何とか予測しよういう根本的な欲求があったからなのでしょう・・。
尚、今脚光を浴びている「ベイズ」については、さらっと紹介している程度なので、ベイズに興味のある方は、他の図書を当たられることをお勧めします。