訳あって本書を他者に紹介する機会があったので、以下その時書いた紹介文をこちらにも記載します。
本書では漫画や小説などのフィクション作品を多数取り上げ、そこで描かれる登場人物たちの何気ない会話から何が起こっているのかを哲学者の視点で分析されています。
著者が分析する会話の役割は、本書の副題にあるとおり「コミュニケーション」と「マニピュレーション」の二つですが、それらの特徴や、それらが会話の中でどのような意図で使われているかを知ると、フィクション作品や日常生活での会話を今までと違った視点で楽しめるようになると思います。
また、会話は時に立場の非対称性などを利用した暴力の手段となることがあり、それらから身を守る術を知らない人にとっては脅威になりうるという、会話の負の側面も知ることもできます。
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会話を哲学する~コミュニケーションとマニピュレーション~ (光文社新書) Kindle版
私たちは会話を通じて何を伝え、何を企んでいるのか。あるいは相手の心理や行動にどんな影響を及ぼそうとしているのか。気鋭の言語哲学者が、『ONE PIECE』や『鋼の錬金術師』などの人気のフィクション作品を題材に、「会話」という営みを徹底分析! コミュニケーションとマニピュレーションという二つの観点から、会話という行為の魅力と、その実態をわかりやすく解き明かす。
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2022/8/18
- ファイルサイズ20130 KB
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登録情報
- ASIN : B0B8MSNZW7
- 出版社 : 光文社 (2022/8/18)
- 発売日 : 2022/8/18
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 20130 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 269ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 42,506位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 285位光文社新書
- - 615位思想
- - 806位哲学・思想 (Kindleストア)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年12月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
分析哲学の研究者が、小説やマンガなどの事例を用いて会話を分析する。ちなみに、著者は分析哲学について「ざっくりとまとめるなら論理学や数学、自然科学に敬意を払いながら哲学に取り組もうという考え方(p.4)」だと言う。
本書のポイントは
1 会話におけるコミュニケーションとマニピュレーションとを分けて考える
2 コミュニケーションを、会話者同士の「約束事の形成」と考える
ということのようである。
1については、言語学の本で知った「意味と意図のズレ(そこにはダチョウ倶楽部の「押すなよ、絶対押すなよ」の例が出てきた)」とどう関わるのかスッキリしなかった。著者が批判するグライスという研究者の論文(著者が紹介している)にも「発話者の意味と意図」というものがあるのだけれど。
2については、終章で「本書で『約束事』と呼んできたものは、マーガレット・ギルバートという哲学者が提唱する『共同的コミットメント』という概念に対応します。(p.291)」という箇所をよんで「あ、コミットメントなんだ」とちょっとイメージがはっきりした。著者としては「コミットメント」では日本語としてこなれないと思ったのだろう。
1も2も、会話を「話し手」「聴き手」単独に帰属させるのではなく、その両者の関係性において考えようしているのかなと思った(まったくの勘違いかもしれない)。
以下、断片的な感想。
1 オセロの心理を操作(マニピュレート)しようとするイヤゴーの悪賢さの分析(pp.256-265)が面白い。シェイクスピアは言語の天才だったのだなと改めて思う。
2 著者はトランスジェンダーだという。著者が言語への感覚を研ぎ澄まし、その機能や暴力性に敏感になるのは、そのせいもあるのだろうか。
少数者や被差別者からの異議申し立てと、それを消し去ろうとする多数者・差別者の力がしばしば衝突するいま
「誰かの差別の訴えとされるものが、あなたの耳に届いたときにはどうにも要領を得ない、不合理な発言に感じられるという経験も……その差別の訴えが意味の占有によって捻じ曲げられてしまっている可能性、そしてあなた自身が意味の占有者による働きかけの対象として利用されている可能性を意識するようにすることは、現代の社会において非常に重要なことだと思います。(p.207)」
という著者の指摘は大事なものに思える。
本書のポイントは
1 会話におけるコミュニケーションとマニピュレーションとを分けて考える
2 コミュニケーションを、会話者同士の「約束事の形成」と考える
ということのようである。
1については、言語学の本で知った「意味と意図のズレ(そこにはダチョウ倶楽部の「押すなよ、絶対押すなよ」の例が出てきた)」とどう関わるのかスッキリしなかった。著者が批判するグライスという研究者の論文(著者が紹介している)にも「発話者の意味と意図」というものがあるのだけれど。
2については、終章で「本書で『約束事』と呼んできたものは、マーガレット・ギルバートという哲学者が提唱する『共同的コミットメント』という概念に対応します。(p.291)」という箇所をよんで「あ、コミットメントなんだ」とちょっとイメージがはっきりした。著者としては「コミットメント」では日本語としてこなれないと思ったのだろう。
1も2も、会話を「話し手」「聴き手」単独に帰属させるのではなく、その両者の関係性において考えようしているのかなと思った(まったくの勘違いかもしれない)。
以下、断片的な感想。
1 オセロの心理を操作(マニピュレート)しようとするイヤゴーの悪賢さの分析(pp.256-265)が面白い。シェイクスピアは言語の天才だったのだなと改めて思う。
2 著者はトランスジェンダーだという。著者が言語への感覚を研ぎ澄まし、その機能や暴力性に敏感になるのは、そのせいもあるのだろうか。
少数者や被差別者からの異議申し立てと、それを消し去ろうとする多数者・差別者の力がしばしば衝突するいま
「誰かの差別の訴えとされるものが、あなたの耳に届いたときにはどうにも要領を得ない、不合理な発言に感じられるという経験も……その差別の訴えが意味の占有によって捻じ曲げられてしまっている可能性、そしてあなた自身が意味の占有者による働きかけの対象として利用されている可能性を意識するようにすることは、現代の社会において非常に重要なことだと思います。(p.207)」
という著者の指摘は大事なものに思える。
2023年8月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読書好きで、学術書から漫画まで広くある程度深くを楽しんでいる半端人間です。
本書の1〜6章を通じた7章、と認識して自然と読み終えておりました。
1〜6章、総じてコミュニケーションの素晴らしさ、奥ゆかしさをフィクションの会話を通じて学べたかと思えば、逆にそれらを巧妙に使った悪質にも取れる、人を動かす7章という構成には飽きることなく、たまらなく興奮しました。
また専門用語はほとんど出ないため、読了後も内容を覚えていやすく、実生活を多角的に見る際に汎用できる内容かと思います。
圧巻でやんす!
本書の1〜6章を通じた7章、と認識して自然と読み終えておりました。
1〜6章、総じてコミュニケーションの素晴らしさ、奥ゆかしさをフィクションの会話を通じて学べたかと思えば、逆にそれらを巧妙に使った悪質にも取れる、人を動かす7章という構成には飽きることなく、たまらなく興奮しました。
また専門用語はほとんど出ないため、読了後も内容を覚えていやすく、実生活を多角的に見る際に汎用できる内容かと思います。
圧巻でやんす!
2023年1月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
平易で身近なサンプルから、コミュニケーションとマニピュレーションを説明してあるので、とても理解しやすかった。読後は、誰かの私への語り掛けや、隣の席の会話に、少しだけ敏感にマニピュレーションを感じられる様になった、、かもしれない。
2022年9月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まず著書が拘っている故だろうが、事例として挙げている作品がセクシュアリティに絡んだ作品が多く、申し訳ないがそういう面の理解が少ない者にとっては違和感が大きく、正直途中で読むのを止めようかと思ったほどで購読者に事も考慮いただきたいと思った。
さて本題になっるが、会話には情報伝達だけでない様々な機能・意図があるという視点は特に男性的な思考の者にとっては大変有益な視点であった。
会話によって「約束事を形成する」「相手をマニピュレートする」という行為は個人的感覚では主に女性が得意とする分野だ。
日本の女性には「相手に気づいて欲しい」という感性が深く根付いているように思っているが、男性は概してそれを「言わないとわからない」というお決まりの反応でお互いのギャップが永遠に埋まらないという問題が夫婦・カップル間に厳然と存在している。
これに対して(特に男性側)が会話には情報伝達(バケツリレー)以外の目的がこれほどあり、言葉の端々に潜んでいる話し手の意図に気づくべきという良きアドバイスでもある。
もちろん著者はセクシュアリティの多様性を認める立場からこういう「性差からの視点」を好ましく思わないだろうが。
さて本題になっるが、会話には情報伝達だけでない様々な機能・意図があるという視点は特に男性的な思考の者にとっては大変有益な視点であった。
会話によって「約束事を形成する」「相手をマニピュレートする」という行為は個人的感覚では主に女性が得意とする分野だ。
日本の女性には「相手に気づいて欲しい」という感性が深く根付いているように思っているが、男性は概してそれを「言わないとわからない」というお決まりの反応でお互いのギャップが永遠に埋まらないという問題が夫婦・カップル間に厳然と存在している。
これに対して(特に男性側)が会話には情報伝達(バケツリレー)以外の目的がこれほどあり、言葉の端々に潜んでいる話し手の意図に気づくべきという良きアドバイスでもある。
もちろん著者はセクシュアリティの多様性を認める立場からこういう「性差からの視点」を好ましく思わないだろうが。
2022年8月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とても分かりやすく哲学の視点から会話、コミュニケーションについて書かれています。著者の理論共同性基盤意味論での核となっている共同的コミットメントが「約束事」という非常にわかりやすい表現でされていたりするのでとても理解しやすかったです。引用がたくさんされていて知らない作品も多く登場するのですが、解説も丁寧なので、読んでみたい気にもなるし、またこの本を読み解くのに必要な情報がきれいに整理されているので知らなくても十分わかります。現在会社とかで必要、とされているコミュニケーションのテクニックが、なんとまあ人を「マニピュレーション」するためだけのテクニックだろうかと考えさせられ、こういう本こそコミュニケーションを学ぶために必要な本だと思いました。著者の「言葉の展望台」とともにおすすめです。
2022年12月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
面倒だと思っていた言葉の裏を考えることの意味、そうやって伝えることの必要性が腹落ちできた。何となくの理解を言語化してくれたことに感謝。
2022年9月18日に日本でレビュー済み
"会話というものは、こんなふうに進んでいくんだ"ということを、細かく丁寧に教えて
くれます。
約束事としての会話と考えると、上司と部下の間で交わされた会話のあと、上司のなに
げない(ように思える)言葉を流してしまうと、その後の二人に"約束した(破られた)"vs"
(そもそも)約束していない"という対立が起こってしまうこともイメージできます。
操作(マニピュレーション)としても会話は、これは...私自身を含めて、これまでの周囲
の会話を思い出してみると...なんとなくわかります。
抜き出したいのは"ここ"だけではないのですが...引用されている『しまなみ誰そ彼』の
台詞...「なんでも話して。聞かないけど」、これは、なかなか深いです。
くれます。
約束事としての会話と考えると、上司と部下の間で交わされた会話のあと、上司のなに
げない(ように思える)言葉を流してしまうと、その後の二人に"約束した(破られた)"vs"
(そもそも)約束していない"という対立が起こってしまうこともイメージできます。
操作(マニピュレーション)としても会話は、これは...私自身を含めて、これまでの周囲
の会話を思い出してみると...なんとなくわかります。
抜き出したいのは"ここ"だけではないのですが...引用されている『しまなみ誰そ彼』の
台詞...「なんでも話して。聞かないけど」、これは、なかなか深いです。