■総論：コーチングや1on1、360度評価など新たにもてはやされている上司と部下のコミュニケーションの対極を示す本。マネージャー（上司）だけではなく、プレイヤー（部下）も読む意義があるだろう。
■マネージャー向け感想：本書の内容はきわめて合理的であるものの、コーチング等も学んだうえで職場の環境等に応じて読者が取捨選択し、頭を使って応用する必要がある。
両極を知る意味で、コーチング等の本だけを読んだ人にはこの本も読むことをお勧めしたい。よく読むと、両者は必ずしも矛盾するものではないことに気づく。例えばコーチングの本でも、コーチとプレイヤーは適切な距離を保つことは語られており、それはこの本と共通している。結果が出ない部下への対応も、コーチングに類似している（改善のため何をするか問いかける）。他方でコーチングでは質問によるコミュニケーションを重視する一方で、この本では言い切り形で指示することの重要性を説いている。「リーダーの仮面」と「コーチの仮面」を付け替えることが正解なのだろう。
■プレイヤー向け感想：「上司は仮面をかぶっている」と気づくことが、プレイヤーにとっての本書を読む意義だと考える。特に「上司が冷たい」と悩んでいる人には読んでほしい。この本を読んでも冷たい上司との関係は改善しないかもしれないが、そもそも関係を改善させる必要性がないことに気づけるだろう。いい意味で、職場への期待をしなくなると思う。
そして何より重要なのは、部下がリーダーに対し仮面をつける手助けをすることである。たとえば仲が良い先輩が上司になったら、甘えたり軽んじたりせず、適切に距離をとるなど。
■個人的な学び：マネージャーが社内で「リーダーの仮面」をかぶると、必然的にマネージャーのプライベートな人間関係は社外だったり、社内でも直接の上下関係がない人になるだろう。マネージャークラスに求められる社内外ネットワークを築く意味でも「リーダーの仮面」をかぶることは望ましいのかもしれない。
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