讀賣歌壇や東京新聞の俳壇の選者で俳句結社澤の主宰の小澤實氏の2012年の句集で、前年の東日本大震災で瓦礫と化したみちのくの街や村の惨状からこの書名が生まれた。
著者や多くの俳句関係者には申し訳ないが、俳句を嗜まない私はこの句集の句についてレヴューをする資格はない。
だが門外漢の私には、俳句もさることながら小澤氏が各ページで綴っている文章が実に小気味がよく、俳人という江戸時代からの文人墨客の日々の生活が見えてきて実に愉しい。
とくに、俳句結社を維持していく苦労や苦心は並大抵ではないことも初めて知った。芥川賞受賞者の川上弘美氏はパートナ-であるが折々の同志関係の記述も微笑ましい。御尊父も俳句を学んでいるという。
一方では、長く帰属した俳句結社鷹の主宰の藤田湘子氏との師弟関係は、フロイトとユングの関係を想起させた。今でも夢に出るという。
著者のグルメぶりも愉しい。もし自分に才能があれば、俳人の人生に憧れを抱くが、一茶が江戸時代に生活の糧を得るのに苦労したのと同様に、現代でも、俳人は複数収入源を確保せねばならずに、日々多忙を極める。しかし、サラリーマンのように安定した収入に恵まれたら、旅に出ることもなく、退屈な句しか詠めないに違いない。
ページごとに季語が紹介されていて、巻末に言及されている人名や事績が紹介されているが、現代日本を代表する文化人同士の交流は圧巻である。
聖書のような装丁とサイズで携行しやすい。仕事に疲れた時開くと、珠玉の名句と名文が目に飛び込んでくる。旅行には欠かせない。価格も手頃である。
春の星挙ふたつをひらきえず
「人間はささやかな存在にすぎない。それを忘れてはならない。3月11日(日)」という帯の言葉は至言である。久しぶりによい本と出会った。
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瓦礫抄 (澤俳句叢書 29篇) 単行本 – 2022/12/27
小澤實
(著)
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◆俳句日記シリーズ
3月11日(日)晴
春の星拳ふたつをひらきえず
人間は心細くささやかな存在にすぎない。それを忘れてはならない。
◆あとがきより
平成二十三年は東日本大震災が起こった年である。コロナ禍が終息していない現在も辛いが、この年には福島第一原子力発電所の事故も発生して、都内で生活していたぼくにとっても、たいへん心細かった。「瓦礫抄」なる題名は、震災の瓦礫による。震災後の心細さを忘れてはならじと、題とした。
3月11日(日)晴
春の星拳ふたつをひらきえず
人間は心細くささやかな存在にすぎない。それを忘れてはならない。
◆あとがきより
平成二十三年は東日本大震災が起こった年である。コロナ禍が終息していない現在も辛いが、この年には福島第一原子力発電所の事故も発生して、都内で生活していたぼくにとっても、たいへん心細かった。「瓦礫抄」なる題名は、震災の瓦礫による。震災後の心細さを忘れてはならじと、題とした。
- 本の長さ381ページ
- 言語日本語
- 出版社ふらんす堂
- 発売日2022/12/27
- 寸法11.3 x 2.9 x 16.5 cm
- ISBN-104781415261
- ISBN-13978-4781415260
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商品の説明
著者について
昭和31年 長野生まれ
昭和52年 「鷹」入会。
平成11年 「鷹」退会。
平成12年 「澤」創刊主宰。
句集に『砧』『立像』(俳人協会新人賞)『瞬間』(讀賣文学賞詩歌俳句賞)。
著書に『秀句三五〇選 友』 『万太郎の一句』『俳句のはじまる場所』(俳人協会評論賞)『日本文学全集 近現代詩歌』『名句の所以』『芭蕉の風景 上・下』(讀賣文学賞随筆・紀行賞)など。他に人類学者中沢新一との対談集『俳句の海に潜る』がある。
俳人協会常務理事。讀賣新聞・東京新聞俳壇選者。角川俳句賞・星野立子賞選考委員。俳句甲子園審査員長。
昭和52年 「鷹」入会。
平成11年 「鷹」退会。
平成12年 「澤」創刊主宰。
句集に『砧』『立像』(俳人協会新人賞)『瞬間』(讀賣文学賞詩歌俳句賞)。
著書に『秀句三五〇選 友』 『万太郎の一句』『俳句のはじまる場所』(俳人協会評論賞)『日本文学全集 近現代詩歌』『名句の所以』『芭蕉の風景 上・下』(讀賣文学賞随筆・紀行賞)など。他に人類学者中沢新一との対談集『俳句の海に潜る』がある。
俳人協会常務理事。讀賣新聞・東京新聞俳壇選者。角川俳句賞・星野立子賞選考委員。俳句甲子園審査員長。
登録情報
- 出版社 : ふらんす堂 (2022/12/27)
- 発売日 : 2022/12/27
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 381ページ
- ISBN-10 : 4781415261
- ISBN-13 : 978-4781415260
- 寸法 : 11.3 x 2.9 x 16.5 cm
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