「カミングアウト」この言葉が、セクシュアルマイノリティに関わること以外に、「告白する」というような意味で社会に消費的に使われるようになって久しい。
私はセクシュアルマイノリティなので そういった使われ方にとても複雑な思いを抱いてきました。
言葉は使われて広がって行くものだから「カミングアウト」という言葉も広がる中で、本来の意味も伝わっていくと良いと期待をしていた時期もありました。しかし残念ながら消費されるだけで相変わらずです。
そんな中、カミングアウトをじっくり考えてみようよと言ってくれたこの本に感謝したいと思います。
当事者同士でもわざわざカミングアウトについて語り合う機会は少ないです。なので この本の中にその語り場が設けられている感じがしました。
何となく感覚で考えていたカミングアウトが、その行動に至るまでの心の動きがチャートで見えてきて すっきりと自信を持って「ああそうだ、そうだったんだ」とうなずけました。
この本はカミングアウトストーリーを集めただけの本ではありません。
それぞれのカミングアウトストーリーの後にセクシュアリティやカミングアウトに対しての考察が書かれてあります。セクシュアリティ、ジェンダーについて学ぶこともできるでしょう。
「はじめに」と「おわりに」を読むと、「研究者」「活動家」の肩書きもつ著者がもっと近い、隣にいるような人なのだなぁと思えました。
私の おすすめ本のひとつになりました。
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