22人の執筆者による多角的なシン・ゴジラ分析です。作家、文芸評論家、映画史研究家、生物学者、社会学者、映画評論家、建築史家、大学生、音楽評論家、音楽ライターなどが、語りたくなる映画のさらなる話の種を提供してくれます。
特に元シールズの奥田さんと牛田さんの対談が良かった。若者どうしの語り合いで、戦後と災後の象徴としてのゴジラを捉えています。「初代ゴジラは戦争で犠牲になって太平洋に沈んでいる多くの骨が集まって出て来たけれど、今回の骨も“鏡の節”として良かったと思う」と鋭く解剖しています。最後に、「小説や映画とか観て社会のことを考えようってことが大事。友達に『シン・ゴジラ』のこと話したけど、『君の名は。』しか観てなかった(笑)。大学生、ゴジラ観ようぜ」と結んでいます。
レクイエム「Who will know」の訳には、触れた分析はありましたが、宮沢賢治の「春と修羅」のことが、加藤典洋さんが少し触れていただけなのが残念でした。
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「シン・ゴジラ」をどう観るか 単行本 – 2016/10/26
河出書房新社編集部
(編集)
21世紀最大の衝撃「シン・ゴジラ」をあらゆる角度から第一線の論者が徹底的に論じる決定版。加藤典洋、赤坂真理、安藤礼二など。
- 本の長さ200ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2016/10/26
- ISBN-10430927773X
- ISBN-13978-4309277738
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2016/10/26)
- 発売日 : 2016/10/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 200ページ
- ISBN-10 : 430927773X
- ISBN-13 : 978-4309277738
- Amazon 売れ筋ランキング: - 901,316位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年10月27日に日本でレビュー済み
文芸書出版の老舗・河出書房新社が何をトチ狂ったのか、ゴジラ本を出したので一体どんなものかと買ってみた。本書の帯の惹句は「時代を代表する22名が時代の試金石としての事件=『シン・ゴジラ』を読み解く」というものだが、私が多少なりとも名前を承知していたのはせいぜい5名である。私が文芸畑に明るくないせいもあるとは云え、一般の知名度に乏しい連中が一体どこで何を代表しているというのだろう。肩書きを見れば、「文芸評論家」、「映画評論家」といったものが多い一方、「大学院生」、「ライター」なんて奴まで。どんな基準で選んでるんだ?
他人の作品をこれまた他人の(著作や学説の)言葉で、頓珍漢な解釈のもとに、ペダンチックな表現で語るだけの文芸評論家諸氏や、「炎上希望!!」と云っているとしか思えない宮台真司氏の論考は、どうでもよい。本書で作品鑑賞の役に立つ、真っ当な読み物になっているのは、春日太一「『シン・ゴジラ』は岡本喜八の弔い合戦である」、長山靖生「シン・ゴジラ―虚構の幸福、現実の不幸」くらいだろう。
本書を読むくらいなら、電子書籍版しかないのが難点であるものの、アマゾンでも購入できる日経ビジネス編『「シン・ゴジラ」私はこう読む』の方をお勧めする。日経新聞系のウェブサイト「日経ビジネスオンライン」のシリーズ企画に大幅に加筆・再編集したもので、
【第1章】 政治
石破茂:自衛隊に防衛出動させた違和感
枝野幸男:3.11の記憶と、シン・ゴジラのリアル
潮匡人:自衛隊は「防衛出動」できるか ほか
【第2章】 経済・経営
山内章弘:看板商品再生劇として見るシン・ゴジラ
小田嶋隆:巨災対が示した成功するチームの作り方
羽生田慶介:ゴジラと「ジャパン・パッシング」 ほか
【第3章】 技術
溝渕利明:コンクリートの専門家はこう見た
浅川直樹:ゴジラVSニッポンのITインフラ
小笠原傑:不完全がゆえに拡散したシン・ゴジラ ほか
【第4章】 防災
白壁達久:立川の予備施設に行ってみた
高瀬文人:ゴジラが来たら東京都はこう動く ほか
【第5章】 映画
閑歳孝子:発声可能上映の衝撃
松本健太郎:地図で徹底図解! ゴジラの進路
中川龍太郎:ゴジラが壊す、アニメと実写の境界線 ほか
【第6章】 教養
片山杜秀:音楽から〝深読み〟する
手塚虫太郎:「死を超越した生き物」は実在する
三谷純:ゴジラがひらく折り紙の世界
池田信太朗:『春と修羅』から見えてくる核心 ほか
という具合にタイトルからでも、どんな内容が書かれているか興味が湧こうというもの。私は、ウェブサイトが更新される度に楽しみに読んでいた。価格も安いので(たったの324円)、皆様も是非!!
(10.30 追記)
レビューのタイトルを「文芸評論家の出る幕じゃない」としながら、何故そう思うかについて触れなかったので、少々追記を。
本書にはいろんな方が寄稿されているわけだが、結局のところ評論家諸氏の視点は「3.11の隠喩」であったり、「岡本喜八」であったり、「宮沢賢治の『春と修羅』」であったりと、予想できてしまい、事実その通りなのだ。そんなことは改めてレクチュアしてもらわなくて結構、読み飽きてるよ。
読み飽きてると云えば、寄稿者の一人である加藤典洋氏は「第一作の『ゴジラ』が僕の自説でもある戦後的な意味の系列から出てくる戦争の死者たち、「死んだ兵士たち」の再来だったとすると、今回の『シン・ゴジラ』は明らかに災後と戦後の重合にポイントがあります。」のくだり。ゴジラを戦争で死んでいった兵士の魂に重ね合わせる視点を私は、1992年刊『別冊宝島 怪獣学・入門』で初めて知った。川本三郎氏のエッセイが初出だそうだ。このアイデアは金子修介版ゴジラ『大怪獣総攻撃』にも取り入れられて周知だが、その辺の経緯に、ゴジラ好きのはずの加藤典洋氏は何故か全く触れない。まさか剽窃ではあるまいが、いささか釈然としない。「自説」の由来をきっちり説明して欲しいものだ。
他人の作品をこれまた他人の(著作や学説の)言葉で、頓珍漢な解釈のもとに、ペダンチックな表現で語るだけの文芸評論家諸氏や、「炎上希望!!」と云っているとしか思えない宮台真司氏の論考は、どうでもよい。本書で作品鑑賞の役に立つ、真っ当な読み物になっているのは、春日太一「『シン・ゴジラ』は岡本喜八の弔い合戦である」、長山靖生「シン・ゴジラ―虚構の幸福、現実の不幸」くらいだろう。
本書を読むくらいなら、電子書籍版しかないのが難点であるものの、アマゾンでも購入できる日経ビジネス編『「シン・ゴジラ」私はこう読む』の方をお勧めする。日経新聞系のウェブサイト「日経ビジネスオンライン」のシリーズ企画に大幅に加筆・再編集したもので、
【第1章】 政治
石破茂:自衛隊に防衛出動させた違和感
枝野幸男:3.11の記憶と、シン・ゴジラのリアル
潮匡人:自衛隊は「防衛出動」できるか ほか
【第2章】 経済・経営
山内章弘:看板商品再生劇として見るシン・ゴジラ
小田嶋隆:巨災対が示した成功するチームの作り方
羽生田慶介:ゴジラと「ジャパン・パッシング」 ほか
【第3章】 技術
溝渕利明:コンクリートの専門家はこう見た
浅川直樹:ゴジラVSニッポンのITインフラ
小笠原傑:不完全がゆえに拡散したシン・ゴジラ ほか
【第4章】 防災
白壁達久:立川の予備施設に行ってみた
高瀬文人:ゴジラが来たら東京都はこう動く ほか
【第5章】 映画
閑歳孝子:発声可能上映の衝撃
松本健太郎:地図で徹底図解! ゴジラの進路
中川龍太郎:ゴジラが壊す、アニメと実写の境界線 ほか
【第6章】 教養
片山杜秀:音楽から〝深読み〟する
手塚虫太郎:「死を超越した生き物」は実在する
三谷純:ゴジラがひらく折り紙の世界
池田信太朗:『春と修羅』から見えてくる核心 ほか
という具合にタイトルからでも、どんな内容が書かれているか興味が湧こうというもの。私は、ウェブサイトが更新される度に楽しみに読んでいた。価格も安いので(たったの324円)、皆様も是非!!
(10.30 追記)
レビューのタイトルを「文芸評論家の出る幕じゃない」としながら、何故そう思うかについて触れなかったので、少々追記を。
本書にはいろんな方が寄稿されているわけだが、結局のところ評論家諸氏の視点は「3.11の隠喩」であったり、「岡本喜八」であったり、「宮沢賢治の『春と修羅』」であったりと、予想できてしまい、事実その通りなのだ。そんなことは改めてレクチュアしてもらわなくて結構、読み飽きてるよ。
読み飽きてると云えば、寄稿者の一人である加藤典洋氏は「第一作の『ゴジラ』が僕の自説でもある戦後的な意味の系列から出てくる戦争の死者たち、「死んだ兵士たち」の再来だったとすると、今回の『シン・ゴジラ』は明らかに災後と戦後の重合にポイントがあります。」のくだり。ゴジラを戦争で死んでいった兵士の魂に重ね合わせる視点を私は、1992年刊『別冊宝島 怪獣学・入門』で初めて知った。川本三郎氏のエッセイが初出だそうだ。このアイデアは金子修介版ゴジラ『大怪獣総攻撃』にも取り入れられて周知だが、その辺の経緯に、ゴジラ好きのはずの加藤典洋氏は何故か全く触れない。まさか剽窃ではあるまいが、いささか釈然としない。「自説」の由来をきっちり説明して欲しいものだ。
2019年7月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
映画が面白かったのに対し、この本は単なるオタク本で、読んでいて嫌悪感さえ覚えた。
2016年11月16日に日本でレビュー済み
購入後、一気に読みました。
著名かどうかのお話もあろうかと思いますが、これだけ評論の底辺が広がったことに
注目したいと思います。低い視点から言うならば、「そうなんだ!!!」と膝を打ち、
または「「それ、違うだろう」と疑問を抱きつつ、いつの間にか議論に参加している風に
思ってしまう、そこは誰もが共有できるものと思います。
これまでのゴジラシリーズの作品群でこれほどまでに議論の対象になったものはなかったであろう
と思うあたりに、一ゴジラファンとして感慨深く読ませていただきました。
只、数人の方が指摘されている、本作に「死者の具体的描写がない」との記述に関しては
蒲田・品川襲撃後、がれきの中から突き出した男性(?)の脚部を映したワンカットがあったことを
完全に無視した(或いは気が付かなかった)として納得がいきませんでした。ここだけは、この部分に関しては作品全体の
根幹に関わる(と私は思っています)のでh評価のマイナスとさせていただきました。
著名かどうかのお話もあろうかと思いますが、これだけ評論の底辺が広がったことに
注目したいと思います。低い視点から言うならば、「そうなんだ!!!」と膝を打ち、
または「「それ、違うだろう」と疑問を抱きつつ、いつの間にか議論に参加している風に
思ってしまう、そこは誰もが共有できるものと思います。
これまでのゴジラシリーズの作品群でこれほどまでに議論の対象になったものはなかったであろう
と思うあたりに、一ゴジラファンとして感慨深く読ませていただきました。
只、数人の方が指摘されている、本作に「死者の具体的描写がない」との記述に関しては
蒲田・品川襲撃後、がれきの中から突き出した男性(?)の脚部を映したワンカットがあったことを
完全に無視した(或いは気が付かなかった)として納得がいきませんでした。ここだけは、この部分に関しては作品全体の
根幹に関わる(と私は思っています)のでh評価のマイナスとさせていただきました。
2016年11月4日に日本でレビュー済み
大満足です。文系、非特撮マニアとしては、こういう一冊で『シン・ゴジラ』を振り返ってみたかった。
執筆陣には存じ上げない方もいらっしゃいましたが、興味深い論考が盛りだくさんの一冊でした。
特撮好きの読者が本書を手に取られると、物足りなさを感じ、これ誰?という執筆陣であろうことは容易に想像がつきます。ですから、先のレビューはある意味正しいと感じますが、正当な評価とは思えません。
ただ、よくよく書き手のプロフィールを検索してみると、紹介文の言葉足らず。評論家と言っても、大学で映画に関してしっかり教鞭を執られている方であったり、奥田愛基氏にしても大学院生という紹介だけではちょっと。読み手側に立った仕事に欠けるため☆4つとさせていただきましたが、とても面白かったですので気持ちは5つです。
執筆陣には存じ上げない方もいらっしゃいましたが、興味深い論考が盛りだくさんの一冊でした。
特撮好きの読者が本書を手に取られると、物足りなさを感じ、これ誰?という執筆陣であろうことは容易に想像がつきます。ですから、先のレビューはある意味正しいと感じますが、正当な評価とは思えません。
ただ、よくよく書き手のプロフィールを検索してみると、紹介文の言葉足らず。評論家と言っても、大学で映画に関してしっかり教鞭を執られている方であったり、奥田愛基氏にしても大学院生という紹介だけではちょっと。読み手側に立った仕事に欠けるため☆4つとさせていただきましたが、とても面白かったですので気持ちは5つです。