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実践の倫理 単行本 – 1999/10/1

4.1 5つ星のうち4.1 11個の評価

商品の説明

内容(「MARC」データベースより)

倫理や道徳を人種上の少数派の処遇、女性に対する平等、食糧や研究のための動物の使用、自然環境の保全などの実践問題に応用し、「公平主義」に基づいた理論を展開。原著第2版を翻訳した91年刊の新版。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 昭和堂 (1999/10/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1999/10/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 456ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4812299292
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4812299296
  • カスタマーレビュー:
    4.1 5つ星のうち4.1 11個の評価

著者について

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ピーター・シンガー
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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2016年1月4日に日本でレビュー済み
 「人間以外の動物にも無用な苦痛を与えてはならない」。「チンパンジーを殺すことは、ある種の人間を殺すことより不正である」。「重度の障害があれば、新生児の安楽死も認められるべきだ」。「富める者は貧しい者に最大限の援助をする義務がある」。
 そのように、ピーター・シンガーの道徳的見解は、人の心をざわつかせるものがある。しかし、彼はなにも徒らに挑発的であろうとしているわけではない。彼はつねに論理的であろうとしているし、また上記の見解も(少なくとも彼のみるところによれば)道徳上の原則から導かれたものである。本書『実践の倫理』は、そんなシンガーの主著であり、彼の倫理学の体系を知ることのできる重要な著作である。トピックは、動物倫理、中絶、安楽死、世界の貧困、難民問題、環境倫理など、非常に幅広い。
 さて、シンガーがとりわけ重要と考える原則を、以下でふたつ紹介しておこう。まずひとつは、(道徳的判断の普遍化可能性から要請される)「利益に対する平等な配慮」という原理である。この原理は文字どおり、「自分や自集団の利益のみならず、他者や他集団の利益にも配慮し、それらに等しい重みを置く」ということにほかならない。そして、ここでとくに興味深いのは、この原理から、「ほかの動物にも無用な苦痛を与えてはならない」ことをシンガーが導出している点である。苦痛を感じる存在に苦痛を与えることは、たしかにその存在の利益を損なうことになるだろう。であれば、たとえ人間以外の動物であっても、それに対して不必要な苦痛を与えることは、道徳的に正しくない。かりに、人間でないというその理由だけで、動物には苦痛を与えてもよいというのであれば、それは「種差別」以外の何ものでもないだろう。こうして、シンガーの立場においては、動物実験を行うことや、食肉用の動物に痛みやストレスを与えることなどが、道徳的に正しくないとされるのである(詳しくは『動物の解放 改訂版』も参照)。
 もうひとつ、シンガーにとってとりわけ重要なのが、「人格(person)の生命を奪うことはことさら不正である」という原則である。シンガーは、またもや「種差別」に反対して、人間(=ホモ・サピエンス)の生命を神聖視する従来の見方を退ける。代わって彼が特別な価値を置くのが、「人格」の生命、すなわち、「理性的で自己意識のある存在」(106頁)の生命であり、「自分たちを過去と未来を持ち、他とははっきり異なる存在として意識している存在」(134頁)の生命である。さて、そこで注意すべきは、上記のような仕方で定義される「人格」には、人間以外の動物(たとえばチンパンジーやイルカ)も含まれる一方で、人間の全メンバーが含まれるわけではない(たとえば胎児や新生児、重度の知的障害者)、ということである。それゆえ、「人格を殺すことは、人格でないものを殺すことよりはるかに不正である」とするシンガーの立場にしたがえば、たとえば、「チンパンジーを殺すのは、生まれつきの知的障害のために、人格ではないし、決して人格でありえない人間を殺すのに比べて、より悪い」(143頁)という結論が導かれることになるのだ(「人格」にまつわるこれらの議論については、『生と死の倫理』も参照)。
 というようにしてシンガーは、上記ふたつの原則を中心にして、冒頭のような倫理的見解を引き出していく。それらの結論は厳しく、なかには人を動揺させるものもあるだろう。しかし繰り返していえば、それらはあくまでも一定の原則と議論によって導かれたものにほかならない。したがって、かりにその結論が受け入れがたいのだとすれば、シンガーの掲げる原則と議論のどこに誤りがあるのか、その点を示さなくてはならないだろう。そうした意味でも本書は、その結論に賛同するか否かにかかわらず、しっかり目を通しておきたい本だといえる。
 原書の初版が刊行されたのは1979年。その時代にひとりこのような倫理学を体系的に打ち立て、現代的な諸問題にも応えていたことは、本当に驚くべきことだろう。やはりピーター・シンガーはただならぬ倫理学者である。その濃密な議論をぜひとも堪能されたい。
14人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年5月5日に日本でレビュー済み
現代功利主義者の雄ピーター・シンガーが、動物実験や中絶、難民など様々な命について自説を語るシンガーの代表的な著作。
 
 功利主義は最大多数の幸福をよしとする考え方である。例えば、動物実験はそれをしない限り人間が救えない限りしてはいけないとなる。功利主義では種による差別は行わないからだ。こんな風な物差しで色々な問題を考えていく。
 
 震災から一ヶ月のこの時期、最も気になったのは難民や貧困の章だ。
 世界ではものすごい数の難民が国を捨て劣悪な環境の難民キャンプで過ごしていて、安全で自立した生活を送れる国へ移れるのはごく少数だ。多くの人が亡くなっている。貧困な国の死者もすごい数だ。なぜ私達はもっと彼らを助けるのに力を注がないのか。同じ日本人が何万人と亡くなって心を痛めるのに、なぜ遠い他の国でもっと当たり前にもっと多くの命が失われ、決してそれは変えられないことではないのに、なぜ私達は心を痛め彼らを助ける為に動けないのだろうか。
 
 この本は「何が道徳的か」について問われている本だが、最後の章にある様に「何が道徳的か」という問いよりも「なぜ私達は道徳的に動くべきか」という問いの方が実は重い。

 色々と考えさせる現代哲学の名著。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2007年9月30日に日本でレビュー済み
シンガーの論は、細かくはすでに他のレビュワーさんが書いてくれているので、結論だけ先取りすると、動物の権利の擁護と、嬰児や植物人間の殺害の容認である。
常識から考えればとんでもない論だが、それだけに考えてみるには値する。
思考訓練としてでも、十分な価値がある。

ただ、私自身はシンガーの論には同意しない。
それは、最初に行っている功利主義擁護論が誤っていると思うからである。

彼の功利主義擁護論は以下のような構造をしている(p12〜18)。

1 「倫理的判断は普遍的な見地からなされなければならない」
2 「1より、私の利益(快)は他者の利益(快)と等しい価値を持つ」
3 「2より、全体の利益を最大にするような選択を行うべき、つまり功利主義に至る」

しかし、2を導くためには以下の前提2'が必要になる。

2'「ある人の利益(快)と別の人の(快)とは、価値の比較や交換が可能である」

ところが、この2'のような「個別性を無視して個人を比較や交換を可能なように扱う」という姿勢自体が、極めて功利主義的なのである。つまり、2'を示さない限り、シンガーのやっていることは功利主義でもって功利主義を擁護しているだけである。

ということだが、一読の価値は十分にあるオススメの本である。
頭に刺激の欲しい人には是非。
20人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2006年1月23日に日本でレビュー済み
シンガーは動物の道徳的地位や障害をもつ嬰児の安楽死の問題、環境問題など幅広く発言をし、論争を巻き起こしてきた。

発言のカテゴリだけをみると一見まとまりのないように思えるが、シンガーは論理的に、導き出している。

内容A

ア)「私益に基づく行動は人間のとって自然である」という個人の行動モデルを受け入れる。

イ)倫理の普遍化可能性=倫理的判断をするには「私」の利益、「彼」の利益といった特定の立場を離れなくてはいけない。

ウ).ア+イより、「自らの行為によって影響される全てのものの利益を(利益として)考量し、関係者の利益が最大となるような行動を選択しなさい」という、社会の倫理的行動モデルとして功利主義を導く。

エ).さらに、「普遍化可能性から利益は利益として扱わなくてはいけない。私益を他人の利益よりも優先させたり、小さな利益を大きな利益よりも優先させることは許されない。」とし、利益配慮対象の普遍化、つまり功利主義的平等原則を導く。

ここまでの議論で、「苦痛を感じるのが人間であれ動物であれ、苦痛は等しく悪い。」という動物開放論の柱が出来上がる。また、利益を感じる能力のないものに利益配慮することは、功利主義的平等原則に反することになり、つまり感覚能力を有しないものは利益配慮対象にならない。

内容B

シンガーの主張はもう一つだけだ。それは「人格には特別な価値がある」というものだ。人間であるが故に特別な価値があるのではなく、理性的で自己意識を有する「人格(パーソン)」であるものが特別の価値を持っている、という(理由は字数の関係で割愛)。

これより、理性的はなく自己意識を有しない人間は、特別な価値(生存権)を有するものではなく、それは殺すことによって失われる利益が他のもので埋め合わせることが出来れば、殺すことは不正ではない、という。

以上が、本書におけるシンガーの論理の概略である。
13人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2006年4月20日に日本でレビュー済み
この本は初めて読んだ時本当に衝撃だった。

功利主義なんて聞いたこともない時に読んだから

その時はすごく新鮮だった。今読んでも、自分では実践はできないけれども、やはり反論することもできないと思う。

動物から生命倫理まで、シンガーの思想のエッセンスがこの一冊には詰まっている。

過激な内容なので、反対意見も多数あると思うが、一読の価値はたしかにある。
13人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート