「英会話初級者でも」という言葉に偽りなく、内容、構成、英文のレベル的にも初級者向けの英語学習材として大変素晴らしい労作。
「意味順」という言葉はあまりなじみのないものですが、この本はLesson 0 が設けられており、そこで詳しく意味順を解説しているので安心して取り組めます。ちなみに監修者の田地野先生がこの本の「はじめに」を公開されているので以下のURLで読んでみるとより取り組みやすくなると思います。
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この本で私が評価した点はレッスンの構成です。 Step が3つでワンレッスンと成っており、ホップ・ステップ・ジャンプという感覚で学習するような構成になっています。
Step 1ではそのレッスンで学ぶ文法項目の提示がしてあります。文法用語を極力排した説明になっており、初心者が文法用語に振り回されないよう著者陣の心遣いが読み取れます。例えば「過去形」は「起こったことについて話す」という言葉で始まり、過去形がなんなのかをそのあと説明するという流れになっています。そのあと「意味順」でいくつか例文をみることで文法項目に親しませるという構成です。
ここでは「コラム」が設けてあり、学習する文法事項に関する知っておいた方が良い情報が紹介されています。分量も過不足なく、情報提示のタイミングも絶妙です。また、コラムにすることで、学習者が読むか読まないか自己選択させているところに好感が持てます。
Step 2では、文法項目が使われている会話を聴きます。初級者向けにしては分量があると感じる人もいると思いますが、会話の中で分からない表現があってもすぐ下に和訳・注釈がついているのでストレスが少ないです。また、文法項目をちゃんと学べるよう会話から抜き出したワンセンテンスを「意味順」通りに書き込むエクササイズもあります。これも答えがすぐ下に書いてあるので、分からなくてもすぐに解答を見ることができ負荷が少ないです。
Step 3では学習する文法項目を短い会話のスクリプトで見ていきます。学習した「意味順」を使って実際に文を作ります。ここでも答えがすぐ下に書いてあるので、分からなくてもすぐに見ることができます。また、スクリプトで分からない表現があっても注釈がついているので悩まなくて済みます。
ここでは、意味順だけでなく会話表現も学べるところが良いですね。一周終わった後に、新たに学べる要素を配置している設計が学習者には一石二鳥で嬉しいです。
このように監修者と著者陣の工夫と学習者への思いやりがこもった構成になっている教材です。英語をこれから学ぶ人、英語で躓いてしまった人にとって救済となる教材になることは間違いないと思います。
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