革新的な商品やサービスの導入により、市場急な変化(トレンドやサイクル)が多発して需要予測は困難になってると思われます。
本書では時系列分析や回帰分析といった定量的な予測手法ではなく、集合知を活用した定性的な需要予測アプローチを様々な事例を元に紹介しています。
実際に社内で予測市場の導入検討を行う際にはおすすめの良書です。
<以下は本書からの抜粋メモです>
<第1章>
アンケートとは異なり、予測市場が収集するのは意見ではなく知識だ
予測市場の目的は会社と従業員の関係を契約から感情的なレベルへと飛躍させる
会社の未来に関心を抱いてもらう
受付や退職者(ナレッジ・デザリング)、新入社員も参加できる
ミューチュアル・ファン・マーケット(ライト・ソリューションズ社 )は全従業員の業務のひとつ
グレゴリー・クロフォード教授 イノベーション・エンジン
予測市場のプロセスが成功するかどうかはその企業の社風にかかっている
有益な情報は非常に多くの人々に分散されている
<第2章>
予測市場は、ビジネスとの世界では最も理解の進んでいない概念のひとつ
ウォール・ストリートのアナリストからの圧力→貴重な情報の流れを澱ませている
ロビン・ハンソン 最初の予測市場を設計(1989年4月 ~)、予測市場の父と称されている
IEM、Intrade(アイルランド イントレード)→現金取引市場
予測市場という手法が禁忌
総意が、一株あたりの価格に凝縮
予測市場の参加者は、商品市場の投機家と似ている
どんな予測の結果もたまには間違いでなければ、正解とはいえない
ヨギ・ベラ・バイアス 終わるまでおわりではないというバイアス(最後で逆転する確率を過大評価する)
予測市場会社 インクリング(シカゴ)
市場で投資家たちが取引し合うと、分散されていた情報が集約される
ガーベッジ・イン・ガーベッジ・アウト ゴミを入れればゴミがでてくる(入力が悪ければ出力が悪くて当たり前)
予測市場は、偶然の出来事さえも予測できる魔法の道具ではない
イーライリリー 新興企業イノセンティブ(InnoCentive)を設立 50人で予測市場実施
予測市場の成功条件 多様性、独立性、集約性、インセンティブ
<第3章>
本命・大穴バイアス 本命馬への賭けが本来よりもわずかに少なく、穴馬への賭けがかなり多いという状況
オッズメーカー オッズを決める者
ブックメーカー 賭けを受け付ける者
全員の結果を集約すると、誤情報は相殺され、純粋な情報のみが残る
予測市場の競争性
正確な予測の条件 上記に加えて、参加者が自分の選択について論理的に説明し自由に見解を表明できること、圧力の禁止(口の達者な参加者や押しの強い参加者の主張をまかり通らなく必要がある)
HSX(Hollywood Stock Exchange)ハリウッド証券取引所 180万人の登録者、うち70万人が年に2回以上取引実施
<第4章>
世論調査 連絡の取れない人、参加を断る人、適当に答える人がいる、また、回答者に選挙投票の意思があるかどうかわからない
選挙市場 自らのお金と威信をかけて、自主的に参加
アメリカ選挙市場 1988年6月アイオワ州アイオワシティで始まった(IEM)
大穴バイアス
ホーム・チーム・バイアス 自分の支持政党の候補者が勝つというバイアス 予測市場では排除できる
相関関係があるからといって、因果関係があるとは限らない
<第5章>
予測対象 ある事象が発生する確率が状況の変化に応じて変わっていく場合、時間によって変化しない明確な正解がある場合(推定市場)の2つがある
高い数値と低い数値は総裁されるので、専門家の予測だけが残る
専門家が誰なのかはわからない
フランシス・ゴルトン 家禽見本市の調査、全員に投票のチャンスがある民主主義の方が、より良い結果をもたらすと主張(国民の声の原点)
高い知能をもつ人々は視点が似通っており、同じ問題解決方法を利用しがち
多様性がないと過激な結論に落ち着く
ミリオネア市場のアイディアは、投資金額に上限がない場合にのみ力を発揮する
参加者が正解を探そうとしていない限り、市場を当てにしてはいけない
<第6章>
グループ内の人間関係や社会経済的な関連性が強いほど、ポートフォリオの実績は悪くなる
情報カスケード 最初の数人の発言により、滝のように全体の意見が従ってしまう現象(例 2000年問題)
階級、評価のカスケード 上司の発言に従ってしまう、結果、集合知が最終判断に反映されない
他の人の判断がわかっているだけでも、バイアスが生じうる
フォーカス・グループは、もっとも声高で頑固なメンバーの意見に支配されがち
サンプリング・バイアス
確証バイアス 既存の知識に矛盾する証拠を無視してしまう
アンカリング ひとつの情報を過剰に重視してしまう
リスク回避
専門家が誰なのかわかるくらい知識豊富な集団なら、そもそも予測市場はいらない
協調フィルタリング(Amazon)
<第7章>
Google検索は予測市場
グーグル・デシジョン・マーケット(2005年4月開始)
今後三か月間でGメールにサインアップする新規ユーザーは何人か(需要予測)
株価や四半期収益に関数ル質問は証券法上の理由から禁止されている(インサイダーとみなされる可能性があるため)
2008年で280の予測市場と、15,000人の投資家がいた
グーグル予測市場の予測は、全体の約90%程度は正しいと考えられる
投資歴が長い従業員ほど、取引の成績が良くなる傾向がある
一定の組織階級を超えると、従業員のグーグル予測市場の成績が悪くなる(自由な発想ができないのでは・・・)
ある結果が起こると心から信じて、投資家が証券を取引するようなルールを定めなけらばならない
グーグル予測市場の目的は、公平性を保つことではなく、最善の予測を導き出すこと(インサイダー取引許可)
名声を報酬とするシステム(Tシャツ経済)
さまざまな部署の従業員が予測市場に参加し、交流を持つようになった
楽観主義的なバイアス 新入社員
<第8章>
ベストバイ 2005年から予測市場開始
幹部たちは、クリアできる売り上げ目標を設定したかった
予測市場なら人的な歪みは生じない
第一の教訓 まずは自分で試す
第二の教訓 現在の管理者を批判していると思われないように
第三の教訓 上空からの援護を仰ぐ
否定的な結果を予測した投資家が誰なのか、上司にばれてしまうのではないか、投資家が心配していた(ニックネームでの取引)
第四の教訓 予測市場を維持させるには大衆的な問題を取り上げる
第五の教訓 参加者のやる気を損ねてはいけない
タグトレードをサプライヤ(アクセンチュア)に公開
<第9章>
空売りは裏切りではないと説明
マイシス・マーケット・ビジネス・ブロードキャスティング・サービス 1ぺージの投資に関してのレポート
エンジニアよりも受付係の方が全体として予測が正確だった
匿名の重要性
<第10章>
自社が何をしっているのかさえわかれば、HPの生産性は3倍になるだろう(ルー・プラット)
営業担当者はノルマ制の歩合給とボーナス制度のせいで、売上を低めに見積もった
少数の参加者から正確な予測を生み出すことができる
BRAIN(特許取得)
彼らにはその情報を上層部に伝える動機がなかった
ほとんどの人々は想像しがたい出来事が起こる可能性を無視してしまう
想像しやすい出来事の可能性を過大評価してしまう
<第11章>
三人よれば文殊の知恵
アイオワ・インフルエンザ市場
<第12章>
予測市場があれば、個々の情報源が明らかになる危険性なしに集団的な予測を行うことができる
職務への忠誠を求められている政府や情報機関の職員たちが、匿名で真の見解を報告することができる
<第14章>
言葉遣いや条件に気を付ける必要がある
<第15章>
下層部の従業員が経営陣の意思決定に意見を述べるという発想に対し、根強い疑念がある
<第17章>
クレイヴンの予測計画に参加した人々は、それぞれの変数について意見を述べる前に、相談し合ってはならなかった
美人コンテスト 集団のコンセンサスと照らし合わせて賞を贈呈する方法
<第18章>
導入よりも厄介な問題があるとすれば、それは企業文化と人間の問題だろう
経営者の知識や権限、専門家の立場を奪うことが目的ではない
市場に掲げれあれる質問や明らかになる情報によって、誰が面目を失うのかも考えなけらばならない
中間管理職の人々が導入の壁になることが多い
最初のうちは、予測市場を大げさに売り込むのではなく、控えめに運営する必要があるだろう
投資家たちに予測市場の結果を公開し、Tシャツの獲得者を知らせる必要がある
予測市場を導入した会社が、その後も市場を利用しつづけている
<予測市場を開始するためのチェックリスト>
投資家や潜在投資家に市場の結果を伝える 結果を伝えないと、次の市場に参加する意欲がなくなってしまう
勝者や全員の予測を発表する方法を決める
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普通の人たちを予言者に変える 「予測市場」という新戦略―驚異の的中率がビジネスと社会を変革する 単行本 – 2013/1/19
ドナルド・トンプソン
(著),
千葉 敏生
(イラスト, 翻訳)
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未来が見えたら、そりゃ勝てる!
グーグルやマイクロソフトなどの尖鋭的企業がぞくぞく採用するまっ
たく新しい意思決定の方法を、豊富な実例をもとに詳しく解説。
社会問題や政治への応用法も考察する話題作!
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- 本の長さ344ページ
- 言語日本語
- 出版社ダイヤモンド社
- 発売日2013/1/19
- ISBN-104478021279
- ISBN-13978-4478021279
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商品の説明
著者について
著者:ドナルド・トンプソン
経済学者。トロントにあるヨーク大学シューリック・スクール・オブ・
ビジネスのマーケティング名誉教授。ハーバード・ビジネススクー
ルおよびロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでも教鞭を執っていた。
著書に、現代アートの値付けの謎を解明して世界的な反
響を呼んだ
$12 Million Stuffed Shark: The Curious
Economics of Contemporary Art など9作品がある。
訳者:千葉敏生
翻訳家。訳書に、『スイッチ! 』(早川書房)ほか多数。
経済学者。トロントにあるヨーク大学シューリック・スクール・オブ・
ビジネスのマーケティング名誉教授。ハーバード・ビジネススクー
ルおよびロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでも教鞭を執っていた。
著書に、現代アートの値付けの謎を解明して世界的な反
響を呼んだ
$12 Million Stuffed Shark: The Curious
Economics of Contemporary Art など9作品がある。
訳者:千葉敏生
翻訳家。訳書に、『スイッチ! 』(早川書房)ほか多数。
登録情報
- 出版社 : ダイヤモンド社 (2013/1/19)
- 発売日 : 2013/1/19
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 344ページ
- ISBN-10 : 4478021279
- ISBN-13 : 978-4478021279
- Amazon 売れ筋ランキング: - 916,172位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,553位オペレーションズ (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年3月12日に日本でレビュー済み
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選挙結果など特定の専門知識や政治への関わりを持たないと結果を予想するなど不可能に思える事でも、事 市場原理を導入して結果に対価を求めて不特定多数の人の予測を集計すると、専門家の的中率よりはるかに正確な結果を出す事に引き込まれました。
2020年1月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ちょっと期待外れでした。
書籍でなくても、インターネットで得られる程度の情報だったかなと思いました。
書籍にするなら、もう少し体系化してもらいたかったですね。
書籍でなくても、インターネットで得られる程度の情報だったかなと思いました。
書籍にするなら、もう少し体系化してもらいたかったですね。
2017年10月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ある問題について予測、正解を問う際、専門家の意見を聞くよりも集団からの意見のほうが(=集合知)正しい可能性が高いという本。
例として、会社内で進めるべきプロジェクトの選定や、新商品の売れ行き予測、
社会問題ではテロの危険がある地域の特定やクイズ番組での難問、などに関しては集合知が役に立つと主張している。
実際、いくつかの企業では社内でバーチャルマネーを投資しての予測市場マーケットが運用されており、プロジェクトが成功すれば配当が支払われる仕組み等を確立しており、様々な意志決定が実際に行われているとのこと。
基本的に予測市場の今後の発展や良き面を紹介している本であるが、予測市場がより正確になるためにいはいくつかの条件が必須であるとしている。
例えば、予測市場に参加している人々が画一的ではなく多様性があること、会社内では予測をすることによる組織内派閥の弊害が生じないような環境づくり、などが大前提としている。
読んだ感想としては、予測市場を作り出すための多様性やそれぞれの独立性が保てる環境を作り出すことが困難であると感じた。
実際、リーマンショックなどの経済の破綻に関しても見解が述べられている。破綻を予見していた人は数多くいたが、多くの人々は聞く耳を持たなかった(情報のカスケードが起こった)ため破綻した、としている。
破綻を防ぐためには株式市場とは別の予測市場(さまざまな経験や認識を持つ人々が参加し、一部の参加者に根付いているバイアスに気づき、別の結論に投資する市場)があれば防げたかもしれない、とも書かれているが、独立性と多様性の高い予測市場をどのようにして作り出せばよいのかが不透明でありいささか説得力に欠けると感じた。
意思決定において、一人の専門家の意見よりも複数の人間の意見を聞き入れるべき程度に捉えたほうが現実的な考え方かもしれない。
例として、会社内で進めるべきプロジェクトの選定や、新商品の売れ行き予測、
社会問題ではテロの危険がある地域の特定やクイズ番組での難問、などに関しては集合知が役に立つと主張している。
実際、いくつかの企業では社内でバーチャルマネーを投資しての予測市場マーケットが運用されており、プロジェクトが成功すれば配当が支払われる仕組み等を確立しており、様々な意志決定が実際に行われているとのこと。
基本的に予測市場の今後の発展や良き面を紹介している本であるが、予測市場がより正確になるためにいはいくつかの条件が必須であるとしている。
例えば、予測市場に参加している人々が画一的ではなく多様性があること、会社内では予測をすることによる組織内派閥の弊害が生じないような環境づくり、などが大前提としている。
読んだ感想としては、予測市場を作り出すための多様性やそれぞれの独立性が保てる環境を作り出すことが困難であると感じた。
実際、リーマンショックなどの経済の破綻に関しても見解が述べられている。破綻を予見していた人は数多くいたが、多くの人々は聞く耳を持たなかった(情報のカスケードが起こった)ため破綻した、としている。
破綻を防ぐためには株式市場とは別の予測市場(さまざまな経験や認識を持つ人々が参加し、一部の参加者に根付いているバイアスに気づき、別の結論に投資する市場)があれば防げたかもしれない、とも書かれているが、独立性と多様性の高い予測市場をどのようにして作り出せばよいのかが不透明でありいささか説得力に欠けると感じた。
意思決定において、一人の専門家の意見よりも複数の人間の意見を聞き入れるべき程度に捉えたほうが現実的な考え方かもしれない。
2013年5月1日に日本でレビュー済み
ニューヨーク大学のスティーブン・フィグルースキー教授の研究。過去数年分の競馬のレース結果を調べたところ、プロの予想屋が一着の馬を当てる確率は28.7%だったが、一般の人は29.4%だった。
1984〜2000年までのNFLの3791試合の結果を分析したところ、ラスベガスの一般のギャンブラーが予測した試合の得点差は、実際の得点差の99.7%だった。また、1994〜2001年までのNBAの9000試合の結果を分析したところ、一般のギャンブラーが予測した得点差は、実際の得点差の97.3%だった。プロの予想屋よりも、一般人のギャンブラーの集合知の方がはるかに精度が高い。
IEM(アイオワ電子市場)の大統領選挙の予測は、マスコミ各社の世論調査よりも精度が高い。1988年から2004年までの5回の米大統領選挙で964回の世論調査が行われたが、そのうちの74%でIEMの方が正確だった。1988年から2000年までの4回の大統領選の1週間前には、ギャラップ世論調査の平均誤差が2.1%だったが、IEMの誤差は1.4%だった。
アメリカ版の「クイズ ミリオニア」では、答えを観客に聞いた場合の正解率は92%で、自分の知り合いに電話する場合の正解率は65%だった。イギリス版では、観客の正解率は87%で、電話は55%。ドイツ版では、観客は90%、電話は58%だった。いずれの場合も、知り合い(専門家)に聞くよりも、観客に聞いた方の正解率が高い。しかし、例外なのはフランス版とロシア版で、フランスでは簡単な問題で観客に答えを求めると、観客はわざと不正解な答えを選ぶ傾向がある。ロシア版では、簡単な問題でも難しい問題でも、観客は回答者を混乱させようと、わざと不正解を選ぶ傾向がある。これは旧ソ連の共産主義の名残で、皆の知識を自分の金儲けに使うのを不公平と考えている影響と見られる。
選挙結果を予想するために、出口調査がよく利用されるが、これは正確性に欠ける場合が多い。2004年にアメリカ大統領選挙では、テレビ局が出口調査を行い、ジョン・ケリー候補がジョージ・W・ブッシュ候補を3ポイント上回り、ケリー候補(民主党)の当選が濃厚と報じた。しかし、実際に当選したのはブッシュ候補である。後の調査で判明したのは、民主党支持者は共和党支持者よりも出口調査に気軽に応じて、自分が投票した候補を素直に明かすということだった。この影響で、結果的に選挙結果を誤報することになってしまった。
アメリカの非営利団体のロング・ナウ協会では、一般人の予想をもとに世の中の様々な長期的トレンドを予測する試みを行っている。この協会が運営するウェブサイト(longnow.org)では、賛否両論のある予測に対して、各個人が自己主張を発表して、自分の予測にお金を賭ける。予測の発表には50ドルの料金がかかり、誰かが反論すると賭けが成立する。賭け金の最低額は200ドルで、賭けの勝ち負けの判定はこの協会が行い、賞金は勝者が指定した慈善団体に寄付される。このサイトでの有名な賭けは、マイクロソフトの最高技術責任者のクレイグ・マンディがグーグルのエリック・シュミット会長を相手に、「2030年までに民間航空会社で無人の航空機が日常的に運航される」という2000ドルかけである。2010年の時点で、マンディのパイロット不要論の支持率は28%、シュミットのパイロット必要論の支持率は71%となっている。
1984〜2000年までのNFLの3791試合の結果を分析したところ、ラスベガスの一般のギャンブラーが予測した試合の得点差は、実際の得点差の99.7%だった。また、1994〜2001年までのNBAの9000試合の結果を分析したところ、一般のギャンブラーが予測した得点差は、実際の得点差の97.3%だった。プロの予想屋よりも、一般人のギャンブラーの集合知の方がはるかに精度が高い。
IEM(アイオワ電子市場)の大統領選挙の予測は、マスコミ各社の世論調査よりも精度が高い。1988年から2004年までの5回の米大統領選挙で964回の世論調査が行われたが、そのうちの74%でIEMの方が正確だった。1988年から2000年までの4回の大統領選の1週間前には、ギャラップ世論調査の平均誤差が2.1%だったが、IEMの誤差は1.4%だった。
アメリカ版の「クイズ ミリオニア」では、答えを観客に聞いた場合の正解率は92%で、自分の知り合いに電話する場合の正解率は65%だった。イギリス版では、観客の正解率は87%で、電話は55%。ドイツ版では、観客は90%、電話は58%だった。いずれの場合も、知り合い(専門家)に聞くよりも、観客に聞いた方の正解率が高い。しかし、例外なのはフランス版とロシア版で、フランスでは簡単な問題で観客に答えを求めると、観客はわざと不正解な答えを選ぶ傾向がある。ロシア版では、簡単な問題でも難しい問題でも、観客は回答者を混乱させようと、わざと不正解を選ぶ傾向がある。これは旧ソ連の共産主義の名残で、皆の知識を自分の金儲けに使うのを不公平と考えている影響と見られる。
選挙結果を予想するために、出口調査がよく利用されるが、これは正確性に欠ける場合が多い。2004年にアメリカ大統領選挙では、テレビ局が出口調査を行い、ジョン・ケリー候補がジョージ・W・ブッシュ候補を3ポイント上回り、ケリー候補(民主党)の当選が濃厚と報じた。しかし、実際に当選したのはブッシュ候補である。後の調査で判明したのは、民主党支持者は共和党支持者よりも出口調査に気軽に応じて、自分が投票した候補を素直に明かすということだった。この影響で、結果的に選挙結果を誤報することになってしまった。
アメリカの非営利団体のロング・ナウ協会では、一般人の予想をもとに世の中の様々な長期的トレンドを予測する試みを行っている。この協会が運営するウェブサイト(longnow.org)では、賛否両論のある予測に対して、各個人が自己主張を発表して、自分の予測にお金を賭ける。予測の発表には50ドルの料金がかかり、誰かが反論すると賭けが成立する。賭け金の最低額は200ドルで、賭けの勝ち負けの判定はこの協会が行い、賞金は勝者が指定した慈善団体に寄付される。このサイトでの有名な賭けは、マイクロソフトの最高技術責任者のクレイグ・マンディがグーグルのエリック・シュミット会長を相手に、「2030年までに民間航空会社で無人の航空機が日常的に運航される」という2000ドルかけである。2010年の時点で、マンディのパイロット不要論の支持率は28%、シュミットのパイロット必要論の支持率は71%となっている。
2015年6月2日に日本でレビュー済み
21世紀の新しい市場の誕生、予測市場は、ありとあらゆる事象を集団の力(投票)で予測しようといった試みである。本書は、それらについて平易な文体でジャーナリズムの視点で最近の動向が書かれている。