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傲慢と善良 (朝日文庫) Kindle版

4.3 5つ星のうち4.3 6,984個の評価

登録情報

  • ASIN ‏ : ‎ B0BCNTVTNR
  • 出版社 ‏ : ‎ 朝日新聞出版 (2022/9/7)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2022/9/7
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • ファイルサイズ ‏ : ‎ 2064 KB
  • Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) ‏ : ‎ 有効
  • X-Ray ‏ : ‎ 有効
  • Word Wise ‏ : ‎ 有効にされていません
  • 付箋メモ ‏ : ‎ Kindle Scribeで
  • 本の長さ ‏ : ‎ 449ページ
  • カスタマーレビュー:
    4.3 5つ星のうち4.3 6,984個の評価

著者について

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辻村 深月
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1980年2月29日生まれ。山梨県出身。千葉大学教育学部卒業。

2004年に『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。他の著作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ロードムービー』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『V.T.R.』『光待つ場所へ』(以上、講談社)、『太陽の坐る場所』(文藝春秋)、『ふちなしのかがみ』(角川書店)など。

2010年に『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』が第142回直木賞候補作となる。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。

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現代日本版の「傲慢と偏見」:婚活をきっかけに善良な若者が己の人生を獲得していく
5 星
現代日本版の「傲慢と偏見」:婚活をきっかけに善良な若者が己の人生を獲得していく
タイトルからわかるように、ジェイン・オースティン「傲慢と偏見」を下敷きとしています。「傲慢と偏見」では、18世紀のイギリスを舞台に、主人公エリザベスと、若き大地主ダーシーの間の誤解と偏見から始まる恋愛が描かれます。当時、女性が自立できる職業はほとんどなく、良い結婚相手を見つけることが女性の幸せとされていたため、結婚は切実な問題でした。エリザベスはダーシーの高慢な態度に反感を抱きますが、彼からの突然の求婚とその後の彼からの手紙により、自分がダーシーに対して偏見を持っていたことに気づいていきます。描写に値しない、些末な行為と思われていた女性の恋愛を軸にして、オースティンは精緻な人物描写と軽妙なストーリー展開によって、人間が本来的に持つ傲慢さと偏見をあぶり出したが故に、傑作と言われます。本書「傲慢と善良」では、21世紀の日本を舞台に、主人公 真実(まみ)と、若き経営者 架(かける)の、アプリでの婚活から始まる恋愛が描かれます。現代日本においてもなお、特に地方では、偏狭な価値観が依然として存在し、結婚は切実な問題です。恋愛なんて不良のようなことしない「良い子」、成人しても門限を守る「良い子」、お嬢様女子大に通う「良い子」が期待され、自立した職業を持つよりも、結婚までの腰掛け就職こそが良しとされる世界。女性に求められるのは、「良い子」でいること、自立しないこと、なんとかしてくれる「良い男性」と結婚すること。そんな環境で育った真美が、婚活で出会った架との結婚を目前に控えたとき、忽然と失踪してしまう。架が真美を探して、足取りを追うというミステリー仕立てです(物語の前半はね)。オースティンが描いたのは、恋愛の大前提として男女とも無意識に持っている「傲慢さ」と「偏見」でした。辻村深月が本作で描いているのは、現代の男女もやはり抱える「傲慢さ」、そしてその裏にある「善良さ」です。この小説は、単に恋愛・婚活を描いただけではありません。現代の若者は、結婚に際して、出会いが少ないとか、稼ぎが足りないとか、そんなわかりやすい不満があるだけではありません。目前の相手がなんかイヤで「ピンとこない」。これこそが実際の感覚です。その根本問題は、現代人なら誰でも抱える「自分らしさ」の在り方なのだ、と気づかされます。物語の中盤、結婚相談所の小野里との対話が印象的です: 架「婚活につきまとう、『ピンとこない』って、あれ、何なんでしょうね」 小野里「ピンとこないの正体について、私なりの答えはありますよ。 ピンとこないの正体は、その人が、自分につけている値段です。」物語の後半では、傲慢さ、善良さを乗り越える過程が描かれます。・失踪した女性 真実(まみ)は、自分にとっての真実(しんじつ)を探して。・真美を追う男性 架(かける)は、その手助けをする架け橋として。人物名からなんとなく結末が予想できてしまいましたが、それでもやはり、読み終えると涙が止まりませんでした。「現代の恋愛」を軸にして、辻村深月は精緻な人物描写と軽妙なストーリー展開によって、平易な文章で、現代人の善良さに由来する傲慢さと、自分らしさの再発見過程をあぶり出しました。
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上位レビュー、対象国: 日本

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