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社会思想史講義 (ちくま学芸文庫 シ-44-1) 文庫 – 2023/8/9
城塚 登
(著)
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近代社会の形成から現代社会の変貌まで、各時代が抱える問題を解決しようと生みだされた社会思想。思想家達の足跡を辿る明快な入門書。 解説 植村邦彦
===
社会思想は、その時代の社会がかかえる問題を解決しようと、思想家が格闘しつつ生みだすものである。本書はルネサンス以降の歴史を、3つの流れで捉える。すなわち、民主主義・資本主義社会はいかなる思想的過程で形成されたか、近代社会に顕在化した問題を解決するためどのような社会思想が生み出されたか、そして20世紀以降どのような問題が発生したか。著者が指摘する「現代社会の問題」とは、個人の自立性を押しつぶす官僚制化・大衆社会化・管理社会化であり、さらに資本主義社会の矛盾・弊害の克服を目指したはずの社会主義諸国の行き詰まりまでを含む。長らく読み継がれてきた簡潔で定評ある入門書。
===
思想家たちの足跡をたどる明快な入門書
===
【目次】
はしがき
◆第1 章 近代的人間の登場
1 新しい型の人間の特徴/2 マキアヴェリの社会思想
◆第2 章 個人の自立と自由
1 ルターの宗教改革/2 カルヴィニズムの特徴
◆第3 章 民主主義思想の誕生
1 『リヴァイアサン』誕生の背景/2 ホッブズの〈社会契約論〉/3 神による平等な人間の創造 ― レヴェラーズの社会思想
◆第4 章 民主主義思想の発展
1 イギリスの市民革命 ― 名誉革命とジョン・ロック/2 ロックの社会観・国家観 ― 自然状態/3 ロックの人間観 ― 所有権・私有権の神聖不可侵
◆第5 章 啓蒙思想の展開とロマン主義 1 ロックから啓蒙思想家へ ― フランスの人民主権と百科全書派/2 ルソーの『社会契約論』/3 カントの「啓蒙」からロマン主義 ― ドイツでの開花
◆第6 章 「市民社会」への反省
1 スミスの「労働価値説」/2 神の「見えざる手」 ― 自然的自由の制度/3 ヘーゲルの国家観・社会観
◆第7 章 初期社会主義思想
1 初期社会主義の台頭 ― 産業革命とラダイツ運動/2 社会主義と協同組合の父 ― ロバート・オーウェン/3 オーウェン主義の浸透 ― 協同組合運動と労働運動/4 サン- シモンと〈産業者中心社会〉
◆第8 章 マルクスの人間解放思想
1 ヘーゲル哲学批判からフォイエルバッハへ/2 マルクスの〈疎外〉の四つの形態
◆第9章 マルクスの共産主義思想
1 マルクスの「共産主義」 ― 共産主義の三段階/2 マルクスの歴史観/3 『共産党宣言』 ― 共産主義運動の実践/4 『資本論』 ― 余剰価値の源泉
◆第10章 フェビアニズムと社会民主主義
1 フェビアニズムの登場とその特徴/2 ドイツにおける労働運動/3 ベルンシュタインの「修正主義」
◆第11章 マルクス主義思想の展開
1 ナロードニキ主義からレーニン主義へ/2 レーニンのプロレタリア独裁/3 ルカーチによる階級意識の問題提起/4 経済領域における物象化/5 人間意識における物象化
◆第12章 合理化と官僚制の問題
1 合理化の問題/2 官僚制の問題
◆第13章 大衆社会の様相
1 機能的合理性 ― マンハイム/2 権威主義的性格 ― フロム/3 社会的性格 ― リースマン
◆第14章 管理社会の本質
1 大企業体制/2 計画化推進とテクノストラクチャー/3 組織化された資本主義 ― 三つのシステム
◆第15章 日本の近代化と社会思想
1 啓蒙思想と自由民権運動の開花/2 社会主義と超国家主義の発達
◆第16章 現代日本社会の諸課題
1 克服できていない二〇世紀の課題 /2 情報化・消費化社会の展望
文庫版解説 社会思想史は何を物語るか 植村邦彦
===
社会思想は、その時代の社会がかかえる問題を解決しようと、思想家が格闘しつつ生みだすものである。本書はルネサンス以降の歴史を、3つの流れで捉える。すなわち、民主主義・資本主義社会はいかなる思想的過程で形成されたか、近代社会に顕在化した問題を解決するためどのような社会思想が生み出されたか、そして20世紀以降どのような問題が発生したか。著者が指摘する「現代社会の問題」とは、個人の自立性を押しつぶす官僚制化・大衆社会化・管理社会化であり、さらに資本主義社会の矛盾・弊害の克服を目指したはずの社会主義諸国の行き詰まりまでを含む。長らく読み継がれてきた簡潔で定評ある入門書。
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思想家たちの足跡をたどる明快な入門書
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【目次】
はしがき
◆第1 章 近代的人間の登場
1 新しい型の人間の特徴/2 マキアヴェリの社会思想
◆第2 章 個人の自立と自由
1 ルターの宗教改革/2 カルヴィニズムの特徴
◆第3 章 民主主義思想の誕生
1 『リヴァイアサン』誕生の背景/2 ホッブズの〈社会契約論〉/3 神による平等な人間の創造 ― レヴェラーズの社会思想
◆第4 章 民主主義思想の発展
1 イギリスの市民革命 ― 名誉革命とジョン・ロック/2 ロックの社会観・国家観 ― 自然状態/3 ロックの人間観 ― 所有権・私有権の神聖不可侵
◆第5 章 啓蒙思想の展開とロマン主義 1 ロックから啓蒙思想家へ ― フランスの人民主権と百科全書派/2 ルソーの『社会契約論』/3 カントの「啓蒙」からロマン主義 ― ドイツでの開花
◆第6 章 「市民社会」への反省
1 スミスの「労働価値説」/2 神の「見えざる手」 ― 自然的自由の制度/3 ヘーゲルの国家観・社会観
◆第7 章 初期社会主義思想
1 初期社会主義の台頭 ― 産業革命とラダイツ運動/2 社会主義と協同組合の父 ― ロバート・オーウェン/3 オーウェン主義の浸透 ― 協同組合運動と労働運動/4 サン- シモンと〈産業者中心社会〉
◆第8 章 マルクスの人間解放思想
1 ヘーゲル哲学批判からフォイエルバッハへ/2 マルクスの〈疎外〉の四つの形態
◆第9章 マルクスの共産主義思想
1 マルクスの「共産主義」 ― 共産主義の三段階/2 マルクスの歴史観/3 『共産党宣言』 ― 共産主義運動の実践/4 『資本論』 ― 余剰価値の源泉
◆第10章 フェビアニズムと社会民主主義
1 フェビアニズムの登場とその特徴/2 ドイツにおける労働運動/3 ベルンシュタインの「修正主義」
◆第11章 マルクス主義思想の展開
1 ナロードニキ主義からレーニン主義へ/2 レーニンのプロレタリア独裁/3 ルカーチによる階級意識の問題提起/4 経済領域における物象化/5 人間意識における物象化
◆第12章 合理化と官僚制の問題
1 合理化の問題/2 官僚制の問題
◆第13章 大衆社会の様相
1 機能的合理性 ― マンハイム/2 権威主義的性格 ― フロム/3 社会的性格 ― リースマン
◆第14章 管理社会の本質
1 大企業体制/2 計画化推進とテクノストラクチャー/3 組織化された資本主義 ― 三つのシステム
◆第15章 日本の近代化と社会思想
1 啓蒙思想と自由民権運動の開花/2 社会主義と超国家主義の発達
◆第16章 現代日本社会の諸課題
1 克服できていない二〇世紀の課題 /2 情報化・消費化社会の展望
文庫版解説 社会思想史は何を物語るか 植村邦彦
- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2023/8/9
- 寸法14.8 x 10.5 x 1.1 cm
- ISBN-104480511997
- ISBN-13978-4480511997
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商品の説明
著者について
城塚 登(しろつか・のぼる):1927-2003年。東京生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。同大学院を経て、東京大学教養学部教授、共立女子大学学長、日本倫理学会会長、日本学術会議会員などを歴任。東京大学名誉教授。著書に『近代社会思想史』(東京大学出版会)、『フォイエルバッハ』『若きマルクスの思想』(ともに勁草書房)、『新人間主義の哲学』(日本放送出版協会)、『ヘーゲル』(講談社学術文庫)、訳書にマルクス『経済学・哲学草稿』『ユダヤ人問題によせて・ヘーゲル法哲学批判序説』(ともに岩波文庫)、ルカーチ『歴史と階級意識』(白水社)などがある。
登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2023/8/9)
- 発売日 : 2023/8/9
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 288ページ
- ISBN-10 : 4480511997
- ISBN-13 : 978-4480511997
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 1.1 cm
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著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2023年12月15日に日本でレビュー済み
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秀才が書いた教科書の典型。短いのに何でも書いてあるばかりか、ヘーゲル左派や社会主義運動とか得意な分野も入ってる。終盤普通の社会思想史には出てこないガルブレイスや見田宗介まで出てくる。短い本なのに内容は多く、凄い知識量、要約力だと感服。叙述はなだらかで平易だ。退屈といえば退屈だ。個人的にはマルクス関係を重く見る社会思想史は、今にして思えば、本来の社会思想史からの逸脱という感じがする。ホッブス、ロック、ルソー、カント、ヘーゲルという辺までは、そんな極端なことを言わないで社会を改良しようという話なのだが、マルクスが出てきて極端な解決策を言うもんだから、それまでの日常生活を横目に見ながら、社会を良くして行こうという堅実な発想が、なんか、荒唐無稽で博打のような不健全な方向に舵がきられた感じがする。社会思想史として、ケインズらの実際的な発想を持った伝統的な社会思想が軽んじられている。本書を眺めていて、そう思った。
2024年2月17日に日本でレビュー済み
原本が古いのであまり期待していなかったが、とてもいい本だった。
社会思想というか社会主義が中心の内容で冷戦後はほぼ範囲外なので
そこはやはり古いのだが、それ以前の宗教改革や社会契約論なども
極めて簡潔明瞭な説明で教科書としてかなり質が高いものだと思う。
読者の関心に応じた部分を繰り返し参照する価値がある良書だろう。
社会思想というか社会主義が中心の内容で冷戦後はほぼ範囲外なので
そこはやはり古いのだが、それ以前の宗教改革や社会契約論なども
極めて簡潔明瞭な説明で教科書としてかなり質が高いものだと思う。
読者の関心に応じた部分を繰り返し参照する価値がある良書だろう。