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金閣寺 (新潮文庫) ペーパーバック – 2020/10/28

4.3 5つ星のうち4.3 309個の評価

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【新装版、新・三島由紀夫】
金閣を焼かなければならぬ――。破滅に至る青年の「告白」。
最も読まれている三島作品。国際的評価も高い。〔新解説〕恩田陸


「美は……美的なものはもう僕にとっては怨敵なんだ」。吃音と醜い外貌に悩む学僧・溝口にとって、金閣は世界を超脱した美そのものだった。ならばなぜ、彼は憧れを焼いたのか? 現実の金閣放火事件に材を取り、31歳の三島が自らの内面全てを託した不朽の名作。血と炎のイメージで描く〈現象の否定とイデアの肯定〉──三島文学を貫く最大の原理がここにある。
巻末に用語、時代背景などについての詳細な注解、佐伯彰一、中村光夫、恩田陸による解説、さらに年譜を付す。

【本文冒頭より】
幼時から父は、私によく、金閣のことを語った。
私の生れたのは、舞鶴から東北の、日本海へ突き出たうらさびしい岬である。父の故郷はそこではなく、舞鶴東郊の志楽(しらく)である。懇願されて、僧籍に入り、辺鄙(へんぴ)な岬の寺の住職になり、その地で妻をもらって、私という子を設けた。
成生(なりう)岬の寺の近くには、適当な中学校がなかった。やがて私は父母の膝下(しっか)を離れ、父の故郷の叔父の家に預けられ、そこから東舞鶴中学校へ徒歩で通った。……(「第一章」)

三島由紀夫(1925-1970)
東京生れ。本名、平岡公威(きみたけ)。1947(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。49年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、54年『潮騒』(新潮社文学賞)、56年『金閣寺』(読売文学賞)、65年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。70年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。ミシマ文学は諸外国語に翻訳され、全世界で愛読される。


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【新潮文庫】三島由紀夫 作品 女を愛することのできない青年が、幼年時代からの自己の宿命を凝視しつつ述べる告白体小説。三島文学の出発点をなす代表的名作。 十六歳の時の処女作「花ざかりの森」以来、巧みな手法と完成されたスタイルを駆使して、確固たる世界を築いてきた著者の自選短編集。 郊外の隔絶された屋敷に舅と同居する未亡人悦子。夜ごと舅の愛撫を受けながらも、園丁の若い男に惹かれる彼女が求める幸福とは? 死ぬべき理由もないのに、自分たちの結婚式当夜に心中した一組の男女──精緻微妙な心理のアラベスクが描き出された最初の長編。 女を愛することの出来ない同性愛者の美青年を操ることによって、かつて自分を拒んだ女たちに復讐を試みる老作家の悲惨な最期。 名門の令嬢である鏡子の家に集まってくる四人の青年たちが描く生の軌跡を、朝鮮戦争直後の頹廃した時代相のなかに浮彫りにする。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社; 新版 (2020/10/28)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2020/10/28
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • ペーパーバック ‏ : ‎ 400ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4101050457
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4101050454
  • 寸法 ‏ : ‎ 10.7 x 1.4 x 15.2 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.3 5つ星のうち4.3 309個の評価

著者について

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三島 由紀夫
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(1925-1970)東京生れ。本名、平岡公威。

1947(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。1949年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。

主な著書に、1954年『潮騒』(新潮社文学賞)、1956年『金閣寺』(読売文学賞)、1965年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。1970年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。ミシマ文学は諸外国語に翻訳され、全世界で愛読される。

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三島由紀夫による三島由紀夫のための
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語るのも面はゆくなるほど有名であり名作。今さら私ごときが新たに語れることなどありそうもありませんが。著者には、事件の真相を追求するだとか、犯人の人物像に迫るだとか、そういうこと(現実的なこと)には全く関心がないことはわかります。そもそもそんなもののない下らない奴だ、くらいにしか認識されていなかったようですしね。犯人のもらした動機のひとつを任意に拾い上げ、自分の美意識をもとに構築してゆく材料にしただけ。三島由紀夫のすごさは、弱点でもありましょうが、一から十まですべて設計図を作成し、それに外れることなく作り上げてゆく(ゆける)ところですね。通常であれば偶然、筆がすべる(走る)ということはあるものですが、それは一切なく。それでいながら、そうであればこそ、なのか、表現の人工的な巧さ。盛り上げるべきところは盛り上げ、見どころは見どころとしてスポットライトをしっかりあてる手際。凄まじいくらいの巧さだと思います。巧みすぎて、エンターテイメントとして読めますし、エンターテイメントを描く方は、現代の方であっても、本作を倣った方が良いだろうと思われます。今は知らず。臨済宗の方からは厭われるものであったようですが、私なりに解せぬこともなく。本書における臨済録の一節の解釈について、私も疑問を覚えますし。著者は他にも実在のモデルを使用し訴訟を起こされもしましたが、通じるものがありそうです。内容云々ではなく、扱い方ではないかと思われます。距離の取り方に不快感をあたえるのでは、と。モデルはあくまでも材料に過ぎず、どうでもいい、もしくは取るに足らぬと見くだす気配。それは書き手の作法、やり方であろうから良くも悪くもありませんが、そうされたら気分の良いものではありませんね。
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2024年3月8日に日本でレビュー済み
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素晴らしい作品
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2023年12月4日に日本でレビュー済み
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初めての三島由紀夫作品です。金閣寺の火災について史実にはない人物像、何故金閣寺に火をつけたのか?を知りたくて購入しました。 当時の時代背景や貧困等の側面や、本人の心の葛藤が納得しないまでも、知る事が出来た名作でした。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2023年10月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
三島由紀夫の作品は色々と読んでいますが、私としてはこの「金閣寺」こそが最高傑作だと考えています。多才であり、エンターテインメントの作品からシリアスな作品、「美しい星」のようなSFまで様々な傑作を生み出した三島由紀夫ですが、ここまで人間の心理、特に陰の部分を掘り下げた作品は無いと思います。

中学校の読書感想文の課題図書として読まされた作品ですが、中学生にこの作品を強制的に読ませても分かるわけがないですね。ただ、私の場合は、中学校の課題図書で全く分からなかったこと、もっと言えば、タイトルのインパクトから、読んだような記憶がかすかにあるものの、内容を全く覚えていなかったことが、この作品を再読するきっかけになりましたので、国語の教師先生には感謝しています。とはいえ、課題図書として無理矢理に読まされた中学生の記憶には残らないであろう作品であることも事実と思います。30歳くらいの大人になって、ようやくその深さが分かる作品だと思います。傑作。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2024年4月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今どの時代の違いを感じる。
2024年4月28日に日本でレビュー済み
素晴らしかった。
三島先生の文章は私の世界に鮮明な輪郭を与えてくれる。
加えて、この本の心理描写は私の自我の何らかの性質、肉体、精神、意識、そのどれかかは分からないが、その性質と文章がものすごく容易に親和するように感じる。
こんな素晴らしい本を生んでくれた三島先生と、こんな素晴らしい本が生まれるきっかけを与えてくれた、金閣寺を焼いた修行僧、本当にありがとう。
2024年4月14日に日本でレビュー済み
読了後、まだ私の中では上手く考えが整理されていない。また、よく分からない部分もかなり多くあるので、何回も繰り返し読み込む必要がある作品だと思われる。以下、取り留めのない感想を記す。

本書が取り上げているテーマの1つとして「美」が挙げられよう。

溝口が金閣と初対面した際、期待とは裏腹に、その姿は「古い黒ずんだ小っぽけな三階建」(p33)であり、「美というものは、こんなに美しくないものだろうか」(p33)と考える。後に、溝口は「美ということだけを思いつめると、人間はこの世で最も暗黒な思想にしらずしらずぶつかるのである。」(p62)と述べていることから、金閣を通じて、彼の中で「美に対する執着」が芽生えていることが理解できる。

しかし、なぜ「金閣を焼かなければならぬ」(p243)と決意したのかがよく分からない。根拠はないが、焼くことで金閣という実体を失わせ、金閣を観念的なものへと昇華させると同時に、自身の「美に対する執着」をも昇華させようとしたのではないだろうか。しかし、決意してから「行為」に及ぶまでに、かなりの時間が生じている。これは、恐らく「焼くという行為」に及ぶ必要がないという「認識」を持っていたためだと思われる。この時間は、溝口自身の中で「金閣を焼く行為」に対する「動機」を探す間だったことを暗示しているようにも見受けられる。
2023年11月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ありがとう
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年5月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本作は約20年前の大学生時代に一度読んでいて、その時は「人間が本音のレベルで、建物に強い執着心を持つなんてことがあり得るのだろうか?」と感じ、主人公の思惟や柏木との会話や、その他諸々が筆者が懸命に最後に起こる事件に説得力を持たせようとしている、後付けの作り物めいた作品に思えた。だが、当時は「世界の深淵に潜む秘密を知ろう」というような態度で小説を読んでおり、何よりも作品に現実味があることを求めていたが、今日では考えが変わり、「どんなに現実感があろうが、結局は作り話なのだから、何かしら面白みを感じられれば良い」と思うようになったので、逆にその透徹した人工性がとても快く感じた。文章は非の打ち所がなく美しいし、構成も厳格、一部思考が高度すぎて理解ができない部分があったが、とにかく「理に適っている」心地よさがあった。自分は作品にテーマがあるという考えが大嫌いだし、本作に秘められた「謎」なんて無いと思うが、それでもこの作品は「文学」の世界でこの先も末永く一定の支持を受け続けていくのではないかと思った。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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