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19世紀イタリア怪奇幻想短篇集 (光文社古典新訳文庫) 文庫 – 2021/1/13

4.0 5つ星のうち4.0 27個の評価

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野生の木苺を食べたことがきっかけで、男爵の心と体が二重の感覚に支配されていく「木苺のなかの魂」、〈真実の口〉ドン・ペッピーノの忠義心が試練の数々に直面する寓話風の「三匹のカタツムリ」ほか、世紀をまたいで魅力が見直される9作家の、粒ぞろいの知られざる傑作を収録!

【収録作品】
「木苺のなかの魂」イジーノ・ウーゴ・タルケッティ
「ファ・ゴア・ニの幽霊」ヴィットリオ・ピーカ
「死後の告解」レミージョ・ゼーナ
「黒のビショップ」アッリーゴ・ボイト
「魔術師」カルロ・ドッスィ
「クリスマスの夜」カミッロ・ボイト
「夢遊病の一症例」ルイージ・カプアーナ
「未来世紀に関する哲学的物語 西暦二二二二年、世界の終末前夜まで」イッポリト・ニエーヴォ
「三匹のカタツムリ」ヴィットリオ・インブリアーニ
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商品の説明

著者について

橋本勝雄 Katsuo Hashimoto
1967年生まれ。京都大学文学部卒業、同大学院博士後期課程単位取得退学。現在、京都外国語大学教授。訳書に『鏡の前のチェス盤』(ボンテンペッリ)、『イタリア語の期限――歴史文法入門』(パトータ)、『イタリア20世紀史――熱狂と恐怖と欲望の100年』(コラリーツィ、共訳)、『プラハの墓地』(エーコ)〈第2回須賀敦子翻訳賞受賞〉などがある。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 光文社 (2021/1/13)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2021/1/13
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 336ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4334754376
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4334754372
  • カスタマーレビュー:
    4.0 5つ星のうち4.0 27個の評価

カスタマーレビュー

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5つのうち4つ
27グローバルレーティング

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上位レビュー、対象国: 日本

2021年4月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
”本書は、十九世紀後半にイタリアで書かれた幻想的な短編小説、九作品のアンソロジーである。”
(役者まえがきより)
まさしく、その口上に違わない好短編集だ。
<19世紀><イタリア><怪奇><幻想>
と散りばめられたワードから抱いた
魔物や野獣、美女たちが織りなす、艶笑譚
といった先入観からは
少しばかりソれてたミタイだけどドレもコレも楽しく読めました。
しかし、この感じ以前にもどこかで・・・⁇
と思ったら横田順彌センセイが編まれた
『日本SF古典集成Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』に
収録の諸作品に通じるものがあるンだ。
科学的な裏付けはともかくも
男爵さまが狩りの途中、
ふと木苺を口にしたのをキッカケに
ある娘の魂と肉体を共有するハメになったリクツ付けに
SFマインドを感じる
イジーノ・ウーゴ・タルケッティ『木苺の中の魂』を筆頭に
横田センセイが半生をかけて集めた
日本の古典SFの数々に通じるテイストが伝わってくる。
いわばこれらは
伊太利SF古典こてんなのだ!
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年7月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
“訳者まえがき”で、編集の主旨を解説いただくのは致し方ないが、それに乗じて収録作品のあらすじをこの段階で披露するその神経が理解できない。確かにまえがきの前段におことわりは入れて頂いてはいるが、そうだとしても後に取っておくべきで不注意な訳者と云う印象は拭えない。イジーノ・端から見たらある意味滑稽だ。ヴィットリオ・我が儘なジャポネーゼの霊。レミージョ・宗教家の高慢。アッリーゴ・白人の驕り。カルロ・忘却を忘れ、死への恐怖故に死す。カミッロ・裕福なる者の自己満足。ルイージ・動物磁気に催眠からの発想か。イッポリト・無邪気な未来創造、否、焚書滅猫は論外の愚考。ヴィットリオ・法螺噺にしては発想が貧困。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年1月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
19世紀イタリアの怪奇幻想短編9編である。単行本としては全部が本邦初訳だが、ニエーヴォのSFは大学の研究誌に載ったものの改稿とのこと。
訳者前書きと解説に、丁寧な作品と作家と時代の解説が載っている。
一筋縄ではいかない小説が多いが、難解というほどでもなく、19世紀イタリアの怪奇幻想小説についての知識がゼロでも、十分楽しむことができる。
分量的には、前半の6編と後半の3編が同じぐらいの分量。つまり、後半に長いものが並ぶので、そのつもりで。
以下、まことに生意気かつ失礼ながら、各作品について、簡単なコメントを付し、面白さ、ユニークさ、衝撃度、格調の高さ、好みを各5点満点で評価する。
〇木苺の中の魂・・二重人格もの。殺された娘の人格が木苺を食べた男爵に入り込む。面白さ5点、ユニーク4点、衝撃度4点、格調の高さ4点、好み5点。計22点。
〇ファ・ゴア・二の幽霊・・京都で殺された日本人女性ファ・ゴア・二の幽霊が、殺しを承認した青年に取り憑く。日本趣味(中国趣味?)が楽しい。面白さ5点、ユニーク5点、衝撃度3点、格調の高さ4点、好み5点。計22点。
〇死後の告解・・病死した若い娘の遺体が告解のためによみがえる。面白さ3点、ユニーク4点、衝撃度3点、格調の高さ5点、好み4点。計19点。
〇黒のビショップ・・黒人トムと白人貴族とのチェス対決。面白さ4点、ユニーク4点、衝撃度4点、格調の高さ5点、好み4点。計21点。
〇魔術師・・自分の死を恐れる魔術師。面白さ3点、ユニーク4点、衝撃度4点、格調の高さ4点、好み3点。計18点。
〇クリスマスの夜・・死んだ姉に似たお針子をミラノの街でナンパした胃の悪い男は・・面白さ5点、ユニークさ4点、衝撃度4点、格調の高さ5点、好み4点。計22点。
〇夢遊病の一症例・・夢遊病の警察署長が夢遊病者発作時に発見した侯爵夫人殺人事件を捜査する。ミステリー? 面白さ5点、ユニーク5点、衝撃度4点、格調の高さ4点、好み4点。計22点。
〇未来世紀に関する哲学的物語・・SF。未来の人類は無気力ペストに襲われる。面白さ4点、ユニーク5点、衝撃度4点、格調の高さ5点、好み3点。計21点。
〇三匹のカタツムリ・・なぜかポルノ風の描写のある寓話。面白さ5点、ユニークさ5点、衝撃度4点、格調の高さ4点、好み4点。計22点。
私的結論
〇以上から、私のベスト5は、計22点の「ファ・ゴア・二の幽霊」「三匹のカタツムリ」「クリスマスの夜」「夢遊病の一症例」「木苺の中の魂」となった。
24人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年3月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
19世紀の欧州で所謂“ゴシック小説”が流行し、様々な怪奇譚が生み出されたが、こうした中に於いてはイタリアの作品は日本では余り有名ではないかもしれない。
そこで、選りすぐりのイタリア怪奇小説を纏めたのが本書であり、未だ慣れ親しんでいないイタリアの幻想世界に触れる機会を与えてくれる貴重な一冊と言えよう。

収録されているのは全9編と決して多くは無いものの、幽霊譚、怪奇現象、魔術、預言、SF、そして御伽噺等、何れも個性豊かな作品ばかりなので飽きる事無く読む事が出来る。
また、作中の注釈も親切な上に巻末には全作家の経歴紹介もあるので、イタリアの文学に初めて触れる方にとっては有難い手引きとなってくれるに違いない。

取り分け個人的に面白かったのは「黒のビショップ」である。
作品内で繰り広げられるのはあくまでもゲームの一環としてのチェスの試合…然しながら、その対決は両者の置かれた立場や背負う過去の全てを反映する真剣勝負であり、結末の意外性も含めて非常に迫力があったし、勿論、人種差別問題を孕む題材でもあるので好まない方もいるかもしれないものの素直に名作だと思う。
また「夢遊病の一症例」はまるで現代の実録怪談のような緊迫感があるし、その一方で「3匹のカタツムリ」は勧善懲悪の童話のようで小気味良い。
更に「ファ・ゴア・ニの幽霊」は何故か日本の幽霊が登場するのだが、それは私達日本人からするとやはり違和感を覚える点もあり、当時のジャポニズムがあくまでも「エキゾチックな異国趣味」に過ぎず、美術の世界と共通している事が窺い知れるのも興味深かった。

欧州の怪奇小説と言うと、どうしてもイギリス…或いはフランスやドイツに偏りがちかもしれないが、イタリアにもこんなに優れた幻想小説があったのだという事を発見し、大きな収穫があったように思う。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2023年6月16日に日本でレビュー済み
イジーノ・ウーゴ・タルケッティ「木苺のなかの魂」、ヴィットリオ・ピーカ「フア・ゴア・ニの幽霊」、レミージョ・ゼーナ「死後の告解」、アッリーゴ・ボイト「黒のビショップ」、カルロ・ドッスィ「魔術師」、カミッロ・ボイト「クリスマスの夜」、ルイージ・カプアーナ「夢遊病の一症例」、イッポリト・ニエーヴォ「未来世紀に関する哲学的物語」、ヴィットリオ・インブリアーニ「三匹のカタツムリ」の9話が収められている。
 定番の怪奇小説から、幻想味の強いものまで。異様な発想の物語がいくつもあり、印象に残る。
 解説がきわめて行き届いている。文学に手厚い年表もありがたい。
 訳文は違和感なくすんなり読める。
2021年1月22日に日本でレビュー済み
河出の各国怪談集シリーズでも、フランス編やドイツ編はあってもイタリア編はありませんでしたが、ポーの翻訳や外国文化の影響も受けた文学活動により、19世紀後半にはイタリアでも幻想小説自体は書かれていたそうです。
ただその後の流れから重視されず、作品自体も入手が難しくなっていったことで埋もれてしまっていたそうで、近年になってその再発掘が進んでいるというのは、古典幻想小説好きとしては嬉しいです。
収録作も幅が広く、死者の霊が登場する話から、心理・精神の変調がもたらす悲劇に、遠い未来までの歴史を描き、その手段自体も凝っているSF風のもの、ちょっと下品なおとぎ話風のものと様々で楽しかったです。
特に気に入ったのは、夢遊病が不思議な力をもたらす奇譚のルイージ・カプアーナ『夢遊病の一症例』と、死者の霊が奇妙なヴィジョンをもたらすイジーノ・ウーゴ・タルケッティ『木苺のなかの魂』でしょうか。
編者の解説によれば、今回収録されたのは主流文学よりの男性作家だそうで、女性作家や大衆小説に民間伝承、もちろん収録された作家の別作品もと、まだまだ紹介したいイタリアの古典幻想小説があるそうなので、楽しみに第二弾を待ちたいと思います。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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