You Tubeをはじめネットの保守系チャンネルで、この処ぐんぐん視聴者数を増やし、1位になったのが、著者高橋洋一前内閣参与である。
もう説明の要もないほど出ずっぱりだから、何らかの形で視聴した人が大半の筈だから、本書は地上波しか殆ど見ない人向けに書かれていると言ってよい。
第一章「選挙は風のつかみ合い」の冒頭は、余りに初歩的過ぎて、購入を後悔するかも知れないが、政治は憲法に全て則るので透明性が高く、しかも風に左右されやすい人気商売で、地盤看板は悪くなく当然必要で、AKB総選挙の例を引いて説明する辺りから高橋節が全開になる。
本書には記述がないが、労組も典型的地盤である。
この辺りは年配の人には常識だが、政策の1つが受け容れられなくても、ロクヨンで投票行動すべきという記述は、高橋教授はチャーチルほど過激ではないが、政治は良い意味で妥協なのだと言っている。
一切の妥協を認めなければ原理主義である。
デュベルジェの法則は当選者＋1人なら本来二大政党制になるが、日本がそうならないのは、比例代表並立制があるからだと、1番シンプルな、常識的結論。高橋教授の本を買って最もスッとする瞬間だ。
選挙制度の持つ問題提起に去年の米大統領選挙を例に、郵便投票の問題が取り上げられ、12月14日以降、選挙不正は言わなかったのは、流石の見識。実は私はかなり陰謀論に乗せられて、悪あがきほどではないが、現実路線に戻るのが少し遅れたので自戒を込め記しておく。
所謂閣法が圧倒的多数ななかで、菅総理の肝いりが重要土地調査規制法と敢えて強調されているのが目を引くが、髙橋教授の目下の懸案なのだろうと想いを共有出来た。
メディアの強行採決批判をはじめ、メディアに対して多くのページが割かれ、自身の参与辞任や、森喜朗会長辞任にも触れている。
その肝は、政治家はは実績で評価されるべきで、メディアが執拗に追求する失言は不問にすべきと、真の王道の政治論。
他にも歴代内閣と選挙での勝敗の決め手、所謂青木率など興味は尽きない。
You Tubeをご覧の方は高橋教授がカメラで説明したのをとうにご覧だろうが、地上波はそもそも高橋教授を出演させない。
本書のもう一つのテーマがコロナ禍と地方自治、そして憲法である。
道州制が実現しないのと、コロナ対応のおくれが憲法94条にあると指摘があり、さらに緊急事態といくら言っても、非常事態条項のない現行憲法では、他国の50%しか制限できず、それを屁みたいと言って参与辞任された訳だが、さすがの高橋教授も憲法九条には本書では触れていない。
改正規定の96条に慎重に、と述べるにとどめている。慎重過ぎるとの批判を承知の上の記述だと思う。
九条改正については時宜を得た時に、いずれ必ず著作を書かれるだろう。
それにしても、小池都知事と菅内閣による東京五輪無観客決定の時に髙橋参与が閣内におられたら、決定もまた違ったのではないかと、内閣支持率も変わっていたと、思わずにいられないのは私だけだろうか?
「デモクラシーは最悪の政治形態だが、かつての如何なる政治形態よりマシである」
チャーチルの箴言をここでも噛み締めなければならないのか…
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イメージ付きのレビュー
骨太で大きな基礎的視点をあたえる良い本。
１．高橋氏は、数学的能力の高さだけではなく、普通の人にわかる話ができる稀有な人である。２．ながい官僚としての経験の独自な内容は「さらば財務省！」に詳しい。法律、政治、経済についての生の経験に裏打ちされた説明は敬服すべき内容を多く含む。３．たまたま 国民審査のところに ほんの小さなミスがあるので 早めにお伝えします。添付写真をご参照ください。
