比較的軽い犯罪で収監されている人びとが主人公ではありますが、そうした人びとの多くが犯行前の人生で、いろいろと重いものを背負ってきていた、というのがまず第一印象として残ります。世間がもう少し彼らに優しかったら、彼らも犯罪を犯さずに済んだのではないかと。
そして本題の、所内での「生まれ変わり」です。彼らは自分の行いを振り返り、第三者の目から観察し、ロールプレイをすることによって自分が犯した罪と向き合います。彼らの様子を見ていると、彼らが本当に新しい人生を踏み出そうとしているんだな、と感じさせられますが、同時に大きな問題が残っていることにも気付かされます。
まず第1に、このように丁寧な「生まれ変わり」に取り組ませてもらえる囚人が圧倒的に少ないこと。
そして第1の問題とリンクしていますが、「ムショ帰り」に対する世間の目がまだ変化していないこと。確かに刑務所が単に監禁の場所であるなら、そこから出所してきた人に信頼感を抱くことは難しいでしょう。「島根あさひ」での取り組みが一般化され、世間の「前科者」に対する目も変わってくれば、この日本の社会全体が失敗者に対してもっと優しい社会になれるのではないか、という希望と焦燥を抱かせる本です。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
プリズン・サークル 単行本(ソフトカバー) – 2022/3/24
坂上 香
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥2,200","priceAmount":2200.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"2,200","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"oPlnAqgpHids2eMtKnqHcRRzY57EuCMnVnwz%2FkpNiV8QU6ELmsRKRUxUXyF%2B2VnIByy42SkfiPYdAjKM1XbxY175zBMh0eX6%2BcY2X4QR%2BAtmdj7J8wztOTmVGeSNjtG3cSCTrCLzD2U%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}]}
購入オプションとあわせ買い
受刑者が互いの体験に耳を傾け、本音で語りあう。そんな更生プログラムをもつ男子刑務所がある。埋もれていた自身の傷に、言葉を与えようとする瞬間。償いとは何かを突きつける仲間の一言。取材期間一〇年超、日本で初めて「塀の中」の長期撮影を実現し、繊細なプロセスを見届けた著者がおくる、圧巻のノンフィクション。
- 本の長さ300ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2022/3/24
- 寸法2.2 x 12.9 x 18.8 cm
- ISBN-104000615262
- ISBN-13978-4000615266
よく一緒に購入されている商品
対象商品: プリズン・サークル
¥2,200¥2,200
最短で5月23日 木曜日のお届け予定です
残り20点(入荷予定あり)
¥1,760¥1,760
最短で5月23日 木曜日のお届け予定です
在庫あり。
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
著者について
坂上 香(さかがみ かおり)
ドキュメンタリー映画監督.NPO法人out of frame 代表.一橋大学大学院社会学研究科客員准教授.
ピッツバーグ大学社会経済開発学修士課程修了.2001年までテレビディレクター,京都文教大学助教授,津田塾大学准教授を経て2012年より映像作家の活動に専念.劇場公開作品に『Lifers ライファーズ 終身刑を超えて』(2004),『トークバック 沈黙を破る女たち』(2013)があり,3作目の『プリズン・サークル』(2019)は文化庁映画賞・文化記録映画大賞受賞.矯正施設などで社会とのつながりをつくるアート活動も行なってきた.著書に『癒しと和解への旅──犯罪被害者と死刑囚の家族たち』(1999,岩波書店),『ライファーズ 罪に向きあう』(2012,みすず書房)など.
ドキュメンタリー映画監督.NPO法人out of frame 代表.一橋大学大学院社会学研究科客員准教授.
ピッツバーグ大学社会経済開発学修士課程修了.2001年までテレビディレクター,京都文教大学助教授,津田塾大学准教授を経て2012年より映像作家の活動に専念.劇場公開作品に『Lifers ライファーズ 終身刑を超えて』(2004),『トークバック 沈黙を破る女たち』(2013)があり,3作目の『プリズン・サークル』(2019)は文化庁映画賞・文化記録映画大賞受賞.矯正施設などで社会とのつながりをつくるアート活動も行なってきた.著書に『癒しと和解への旅──犯罪被害者と死刑囚の家族たち』(1999,岩波書店),『ライファーズ 罪に向きあう』(2012,みすず書房)など.
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2022/3/24)
- 発売日 : 2022/3/24
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 300ページ
- ISBN-10 : 4000615262
- ISBN-13 : 978-4000615266
- 寸法 : 2.2 x 12.9 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 140,215位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2024年1月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2023年1月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
対話をする事は、罪を犯してしまった方だけではなく、私達生きている全ての人に必要な事だと強く思いました。
自分と関わる目の前の1人でもいい、安心して心を出せるサンクチュアリに自分がなりたい、ならなければと思いましたし、それが“気付いた者“の責任だと感じます。
素晴らしい本と出会えた事に、心から感謝致します。
映画も必ずどこかで観たいと思います!
自分と関わる目の前の1人でもいい、安心して心を出せるサンクチュアリに自分がなりたい、ならなければと思いましたし、それが“気付いた者“の責任だと感じます。
素晴らしい本と出会えた事に、心から感謝致します。
映画も必ずどこかで観たいと思います!
2022年8月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
服役中の受刑者が対話を通して自分を見つめ直すことで、自分の犯した罪や背景を理解して更生していく過程を取材した本。元々映画を撮る過程の取材を本にしたもので、本ならではの深い内面を感じることができる。映画は見ていないが、映像ならではの良さもあるだろうから、機会があれば観てみたい。
日本の世論はどちらかと言うと犯罪抑止のために厳罰化を望む方向にあると感じている。それからすると、むしろ逆の方向の活動とも言えるが、更生という意味では受刑者の人格を認めるこのような活動は重要だと思う。この本に描かれた様子は、限られた場所で限られた期間実施された試みであり、必ずしも今後拡がる活動ではないことは残念に思う。貴重な一瞬を切り取った取材と言えるかもしれない。
プリズンサークルとは、受刑者が輪になって対話をする様子から付けられた題名だろう。最初にタイトルを見た時に受けた印象はだいぶ異なるもので、正直あまり興味はそそられなかった。少しもったいないタイトルにも思える。
日本の世論はどちらかと言うと犯罪抑止のために厳罰化を望む方向にあると感じている。それからすると、むしろ逆の方向の活動とも言えるが、更生という意味では受刑者の人格を認めるこのような活動は重要だと思う。この本に描かれた様子は、限られた場所で限られた期間実施された試みであり、必ずしも今後拡がる活動ではないことは残念に思う。貴重な一瞬を切り取った取材と言えるかもしれない。
プリズンサークルとは、受刑者が輪になって対話をする様子から付けられた題名だろう。最初にタイトルを見た時に受けた印象はだいぶ異なるもので、正直あまり興味はそそられなかった。少しもったいないタイトルにも思える。
2023年2月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
"共存の社会を目指すのであれば、発想の転換が必要だ。嘘つきの少年を罰する思考から、何が彼らに『嘘』をつかせたのか。と問い直すことへ"2022年発刊の本書はPFI男子刑務所を取材した映画『プリズン・サークル』を回想し、その後を取材した貴重な一冊。
個人的には読書会仲間にすすめられて手にとりました。
さて、そんな本書は2007年から2008年にかけて開設された、官民混合運営型の"新しい"刑務所の一つ『島根あさひ社会復帰促進センター』への10年超の取材を経て完成、2020年に公開されたドキュメンタリー映画『プリズン・サークル』の監督である著者が【撮影現場の様子や映画上映後の反応、その後について】記録しているわけですが。
映画を観ていないので映像との比較はできないのですが。米国にある回復施設、アミティで行われている『回復共同体(TC)』アプローチをモデルに行われている【当事者たち自らによる更生】に特化したプログラムの様子は、対話イベントを主宰している私にとっては興味深く。また、とはいえ『過度に理想化せず』冷静なまなざしで書いているのも好印象でした。
また本書では受刑者たちの様子を映画での主人公たち4名を中心に紹介しているのですが(被害者の方々のケアはもちろん大切ですが)罪を犯してしまった加害者、そしてその家族たちは【どうすれば許され、社会に受け入れられるのか】そんな事も考えさせられました。
日本初となる『刑務所内での長期撮影』となった映画を観た方はもちろん、受刑者たちの声に関心ある方にもオススメ。
個人的には読書会仲間にすすめられて手にとりました。
さて、そんな本書は2007年から2008年にかけて開設された、官民混合運営型の"新しい"刑務所の一つ『島根あさひ社会復帰促進センター』への10年超の取材を経て完成、2020年に公開されたドキュメンタリー映画『プリズン・サークル』の監督である著者が【撮影現場の様子や映画上映後の反応、その後について】記録しているわけですが。
映画を観ていないので映像との比較はできないのですが。米国にある回復施設、アミティで行われている『回復共同体(TC)』アプローチをモデルに行われている【当事者たち自らによる更生】に特化したプログラムの様子は、対話イベントを主宰している私にとっては興味深く。また、とはいえ『過度に理想化せず』冷静なまなざしで書いているのも好印象でした。
また本書では受刑者たちの様子を映画での主人公たち4名を中心に紹介しているのですが(被害者の方々のケアはもちろん大切ですが)罪を犯してしまった加害者、そしてその家族たちは【どうすれば許され、社会に受け入れられるのか】そんな事も考えさせられました。
日本初となる『刑務所内での長期撮影』となった映画を観た方はもちろん、受刑者たちの声に関心ある方にもオススメ。
2022年5月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者の坂上氏の映画を見たことはないが、ある方に薦められて本書を読んだ。読んでみて、ご自身の弟さんとの関係性が、この本や映画を実現させたのだろうと感じた。実際に島根あさひで行われている取り組みが具体的に複数の実在の登場人物とともに語られるが、受刑者の姿勢や行動、そして何より語る言葉が、徐々に変わっていくプロセスを丁寧に描いている。耳を傾けてくれる証人を通して自分の痛みに気づくようになる過程を、著者は暖かくも冷静なまなざしで捉えている。
最初は心を開かず、けれど支援員や周囲の受刑者の発言に誘われて、ぽつりぽつりと自分の思いを語り始める。しかし語ったからといってその感情が消えるわけではない。フラッシュバックなどの苦しみがやってくる。そのプロセスに、当事者たちが立ち会う。受刑者が被害家族の立場になってのロールプレイングを行う場面もあり、そこで加害者が被害者の苦しみに思い至る描写は忘れられない。
もちろん、加害者にこれだけのケアが必要なのか、という議論も生まれるだろう。けれども、この取り組みによってまだ若い受刑者たちが再生することができるのならば(再犯率の低さも示されているそうだ)、なくしてはいけない本当に貴重な取り組みだと思った。読んでいて苦しくなることもあるが、本当に多くを考えさせられる素晴らしい本です。
最初は心を開かず、けれど支援員や周囲の受刑者の発言に誘われて、ぽつりぽつりと自分の思いを語り始める。しかし語ったからといってその感情が消えるわけではない。フラッシュバックなどの苦しみがやってくる。そのプロセスに、当事者たちが立ち会う。受刑者が被害家族の立場になってのロールプレイングを行う場面もあり、そこで加害者が被害者の苦しみに思い至る描写は忘れられない。
もちろん、加害者にこれだけのケアが必要なのか、という議論も生まれるだろう。けれども、この取り組みによってまだ若い受刑者たちが再生することができるのならば(再犯率の低さも示されているそうだ)、なくしてはいけない本当に貴重な取り組みだと思った。読んでいて苦しくなることもあるが、本当に多くを考えさせられる素晴らしい本です。