レビュアーは、数年勤めた会社を退職し、現在455連休目の連休ビギナーである。
本書は、フルタイムの仕事を退職した筆者が、「杉松」なる人物が住む家の一畳半の「小部屋」に2000日間居候した際の思考と実践の記録である。
書籍の形でまとめられているからかもしれないが(私はウェブ連載時の文章は読んでいない)、2000「連休」とは言っても、その日々の中で筆者は、思い浮かんだ疑問や仮説に対して自らの身体とその有り余る時間を使って着実に検証を進めている。
筆者のスタンスは、自らをまるで実験の観察対象かのように第三者的に分析し、自らに湧き上がってくる情念さえもその対象として、ユーモアを交えつつ距離の取れた冷静な筆致を保っており(少なくとも保とうとしており)、スルスルと面白く読める。本書を読む限り、このスタンスは2000連休を通して獲得してきたものかもしれない。
で、あるからこそ、連休の日数が深まり、その淡々とした語り口のままに筆者の関心とテーマが抽象度を増していくにつれ、読んでいるこちらも段々と不安定な観念の世界へと連れていかれる感覚がある。そしてその感覚には奇妙な中毒性がある。夜に一気読みしたことも関係しているかもしれない。
(筆者は文中でカフカ、ベケット、中原昌也などの作家を例に出しているが、私にとっては筆者の文章自体が、それらの作家の小説と同じように、語り部/一人称が段々とぎこちなく世界を語り始める不気味な吸引力を持ったものに思えた。その意味で、本書は小説でもある。)
非常に興味深い記録を読ませてもらっているという感謝と共に、なんというか、この連休中(特に終盤)の筆者の日々を勝手に想像して、筆者の隣に杉松と毛玉(猫)という「生活」があって本当に良かったとも感じた。
現代に哲学者が生まれるとすれば、その第一歩は、2000連休(とまではいかなくとも、この現代において最も貴重な「暇」な時間)を与えられることなのかもしれない。
(ちなみに、私も会社を辞めた当初は天にも昇る気持ちで昼からビールを飲み自堕落な生活を過ごしていたが、「これでいいのか?」と思うまでにそう時間はかからず、まずは生活リズムだけでも規則正しくしようと早寝早起き・適度な運動を心がけるものの、思うようにリズムが作れずストレスが溜まり、「そもそもそうする必要もないのに何故自らが課したルールにイライラしているのか」と開き直り、自分の思考・生活の傾向を見つけ出すためにあらゆることのログを取り始めている……そう、筆者がとった行動の序盤と非常に似ている。私はこの本を読む前に「自分を形作ったものを知るため、自分が今まで出会った人・場所・コンテンツをエピソードと共にできるだけ詳細に文章に書き出して思い出してみる」ということを画策していたが、本書を読み、二の足を踏んでいる。その意味でも本書には感謝している。)
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人は2000連休を与えられるとどうなるのか? 単行本(ソフトカバー) – 2022/4/26
上田啓太
(著)
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ユートピアか? はたまた地獄か? 想像を遥かに超える展開に引きずり込まれる、衝撃のノンフィクション!
解放感→至福→怠惰→不安→逃避→そして……。まさかの「哲学的」展開があなたを襲う!?
京大卒業後、人生に行き詰まりを感じて仕事を辞めた男・上田啓太。
二度寝、夜更かし、昼からビール。漫画に音楽にネット三昧。解放感と怠惰にひたる至福の日々もつかの間、やがて心に不安が漂い始める。
今までの人生、なんだったのか。これからの人生、どうしたらいいのか。悩んだ末、さまざまな実験に没頭し始める。
「読書、運動、生活習慣の改善で悩みは消えるのか?」
「封印していた記憶を書き出したら、トラウマは解消されるのか?」
「文字を読むことをやめたら、思考は静かになるのか?」
「鏡に向かって『お前は誰だ?』と言い続けたら、自分がわからなくなるのか?」……。
外部からの刺激を避け、自己への実験と観察を続けるうちに、だんだん「自分らしさ」の感覚が薄れていき――。
「最初は笑って読んでたけど、だんだん背筋が寒くなってきた」
「混沌と哲学の世界」「頭がクラクラした」
「人間が生きる意味ってなんだろうと考えてしまった」
想像を超える展開に翻弄される人続出。
累計1000万PVの奇才による伝説のドキュメント、ついに書籍化!
「一畳半の物置から始まる、 果てしない思考の奔流に圧倒。 人間に秘められた無限の可能性を感じました。 ヤバいです。 」 ――WEBメディア『オモコロ』編集長 原宿氏
「 とんでもないところに連れて行かれる本。 だんだん内面のやばい領域に入っていく様子が、出だしからは想像つかないところまで引きずられていく感覚で、 夢中で読みました。 」 ――画家・漫画家 ネルノダイスキ氏
【目次】
■1〜300連休:至福、怠惰、不安、そして決意
・仕事のない解放感を味わう
・だらだらと日々を過ごす
・将来への不安を感じはじめる
・昔を思い出して鬱になる
■300〜1000連休:心と体の問題に向き合う
・図書館に通って本を読む
・生活リズムを整える
・運動しながら苦悩できるか?
・行動を分単位で記録する
・ネットがあると集中できない?
・文字を読むことをやめてみる
・記憶のデータベースを作る
・人間のデータベースを作る
・封印していた感情を書き出す
■1000日目:「自分」が薄れる──自己啓発から哲学へ
■1001~1500連休:人間の世界を不思議に思う
・名前―人間と人間が不倫している
・動物―ネコの嘔吐を通して人間を知る
・視線―他人に見られることで人間になっている
・実験―鏡に向かって「お前は誰だ?」と言い続ける
・未知―幽霊を見る・幽霊が来る・幽霊になる
・離人―自分にも他人にも現実感が持てなくなる
■1500~2000連休:意識と肉体の謎に直面する
・死は本当に悲しいものなのか
・食事・睡眠・排泄以外の行動を禁止する
・性欲によってこの世に繋ぎ止められている
・人間の世界が遠ざかってゆく
・《今》がむき出しになり、知覚点だけが残る
■2001日目
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「一畳半の物置から始まる、 果てしない思考の奔流に圧倒。 人間に秘められた無限の可能性を感じました。 ヤバいです。 」 ――WEBメディア『オモコロ』編集長 原宿氏
「 とんでもないところに連れて行かれる本。 だんだん内面のやばい領域に入っていく様子が、出だしからは想像つかないところまで引きずられていく感覚で、 夢中で読みました。 」 ――画家・漫画家 ネルノダイスキ氏
【目次】
■1〜300連休:至福、怠惰、不安、そして決意
・仕事のない解放感を味わう
・だらだらと日々を過ごす
・将来への不安を感じはじめる
・昔を思い出して鬱になる
■300〜1000連休:心と体の問題に向き合う
・図書館に通って本を読む
・生活リズムを整える
・運動しながら苦悩できるか?
・行動を分単位で記録する
・ネットがあると集中できない?
・文字を読むことをやめてみる
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・封印していた感情を書き出す
■1000日目:「自分」が薄れる──自己啓発から哲学へ
■1001~1500連休:人間の世界を不思議に思う
・名前―人間と人間が不倫している
・動物―ネコの嘔吐を通して人間を知る
・視線―他人に見られることで人間になっている
・実験―鏡に向かって「お前は誰だ?」と言い続ける
・未知―幽霊を見る・幽霊が来る・幽霊になる
・離人―自分にも他人にも現実感が持てなくなる
■1500~2000連休:意識と肉体の謎に直面する
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・食事・睡眠・排泄以外の行動を禁止する
・性欲によってこの世に繋ぎ止められている
・人間の世界が遠ざかってゆく
・《今》がむき出しになり、知覚点だけが残る
■2001日目
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2022/4/26
- 寸法12.9 x 1.6 x 18.8 cm
- ISBN-104309030343
- ISBN-13978-4309030340
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商品の説明
著者について
上田啓太(うえだ・けいた)
1984年生まれ。石川県出身。京都大学工学部卒。2010年、ブログ『真顔日記』開設。累計1000万PVを超す人気ブログに。オモコロ、ジモコロ、文春オンライン、cakes、GINZA等、多媒体で執筆。
1984年生まれ。石川県出身。京都大学工学部卒。2010年、ブログ『真顔日記』開設。累計1000万PVを超す人気ブログに。オモコロ、ジモコロ、文春オンライン、cakes、GINZA等、多媒体で執筆。
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2022/4/26)
- 発売日 : 2022/4/26
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 192ページ
- ISBN-10 : 4309030343
- ISBN-13 : 978-4309030340
- 寸法 : 12.9 x 1.6 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 168,976位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,137位近現代日本のエッセー・随筆
- - 35,071位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年5月1日に日本でレビュー済み
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2022年12月28日に日本でレビュー済み
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そもそもがネガティブな理由で職を手放したせいではないからでしょうが、次の職を手に入れるまでのロードマップ的な内容ではありませんでした。
とにかく2000日間の筆者さんの日常と変化していく考えかた、ありあまる時間の中での意識の迷走などが淡々と書き連なっている印象です。
無理矢理「私の考えが、読み手の皆さんにも当てはまるんだよ」的な押し付けがましい考察・解説表現は少なく、「この人は2000日間、こう過ごした」という気持ちで読むと面白おかしく読み終わるでしょう(笑)
よくあるクールタイムを経たおかげで素晴らしい自分に変化した、というサクセスストーリーではありませんが、数あるエッセイ本の中では変わった着地点をもつ本として読んでみてはいかがでしょうか。
とにかく2000日間の筆者さんの日常と変化していく考えかた、ありあまる時間の中での意識の迷走などが淡々と書き連なっている印象です。
無理矢理「私の考えが、読み手の皆さんにも当てはまるんだよ」的な押し付けがましい考察・解説表現は少なく、「この人は2000日間、こう過ごした」という気持ちで読むと面白おかしく読み終わるでしょう(笑)
よくあるクールタイムを経たおかげで素晴らしい自分に変化した、というサクセスストーリーではありませんが、数あるエッセイ本の中では変わった着地点をもつ本として読んでみてはいかがでしょうか。
2022年5月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2000日の経験を綴る私小説のようでありながら、普遍的な内容に思えます。
確かに仕事は(たいして)されていませんが、いわゆる休日ではなく、2000日以上かけて「自分」を深掘りする作業を続けた、という内容です。
仮に2000日を与えられても、なかなか誰もが筆者のような境地には至れないと思う。
「自分」を極限まで掘り下げると、どのような心境になるのか。共感できる部分があり、読んでいて疑似体験ができました。
養老孟司も「自分」というテーマを扱うが、本書はそれを経験をもって深掘りをした名著です。
確かに仕事は(たいして)されていませんが、いわゆる休日ではなく、2000日以上かけて「自分」を深掘りする作業を続けた、という内容です。
仮に2000日を与えられても、なかなか誰もが筆者のような境地には至れないと思う。
「自分」を極限まで掘り下げると、どのような心境になるのか。共感できる部分があり、読んでいて疑似体験ができました。
養老孟司も「自分」というテーマを扱うが、本書はそれを経験をもって深掘りをした名著です。
2023年5月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本前半は作者自己の連休による心情・身体・生活習慣の変化の体験記がメインで勢いがあって面白い。後半は作者の哲学的な思索が多くなって、哲学書などを好む読者でないと飽きる。
2022年6月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者は、2000連休を与えられて、一種の悟りを開いたようです。
悟りについて勉強するうえで、終盤での意見が参考になります。
ただ、著者は大喜利で食っていけた辺り、普通の人とは違う才能を持っていたのでしょう。
悟りについて勉強するうえで、終盤での意見が参考になります。
ただ、著者は大喜利で食っていけた辺り、普通の人とは違う才能を持っていたのでしょう。
2022年8月11日に日本でレビュー済み
2000日、世間と離れて生きてきた記録。
一種の悟り体験の実録として、非常におすすめ。
観念的ではなく、ただただ自己探求した結果を淡々と書いている。
本人は悟りを求めたわけではない。こだわった結果、こう感じました、こうなりました、
という実録なので、お説教くささは一切ない。
この著者がやったことは、過去の徹底的なデータ(客観化)などだが、
こういうことをしたいと思える人はそうそういないだろう。
なかなか真似できることではないので、
真理や悟りに興味はあるが、あまり込み入ったことはできない、という人には
絶好の参考書になるのではないだろうか。
ところで、この本を読んで疑問に思わない人はそっとしておきたいのだが、
個人的には1つ、疑問に思うことがあった。
著者は徹底的な自己探求によって、この体は自分ではない、
そして世界は幻想だという感覚に至る。
しかしその間、著者は大きな身体的苦痛(怪我・病気)は得ていない。
何も悪いことが起こっていない間にそのように感じただけ、
ということはないだろうか?
もし彼を捕まえて、(申し訳ない例えだが)足の指をペンチでねじ切ったら、
恐ろしい激痛を経験すると思うが、
それでもこの体は自分ではなく、また世界は自分の幻だと思えるのだろうか?
そうではなく、ただ誰も何も彼を傷つけていない優しい世界で
ふわふわと現実味が消えてそのように感じただけなら、その感覚は偽物ではないだろうか。
そうだとすると、この世界が幻と思えるのは、
この世界を現実と思い、法令や人間社会の礼儀作法を遵守する、一般の人たちの、
「現実感」にくるまれて守られていただけではないのだろうか。
つまり誰かがこの世界は幻だ、この体は自分じゃないと思うためには、
大勢の「現実の」人間の社会貢献が踏み台に必要なのではないだろうか。
そうであるなら、この著者の実感はただの偽物と言えないだろうか。
自分はこの著者や彼の発信に恨みがあるわけではなく、
ウクライナやウイグルの悲劇を思うに、この体は自分ではなくこの世界が幻だ、
それが真実であるならどんなに良いかと思っている。
本当であるなら、一人でも多くに広めたい。
だから、出来ることならこの著者には、そこまで思考を進めてほしかったと思う。
(さすがに自分を痛めつけることは望めない)
ほんとうに、出来ることなら、この著者に聞いてみたい。
病気や怪我や拷問で、激痛を得ても、そのお考えに変わりはないでしょうか?と。
誰か、分かる人がいたら、教えてほしい。
一種の悟り体験の実録として、非常におすすめ。
観念的ではなく、ただただ自己探求した結果を淡々と書いている。
本人は悟りを求めたわけではない。こだわった結果、こう感じました、こうなりました、
という実録なので、お説教くささは一切ない。
この著者がやったことは、過去の徹底的なデータ(客観化)などだが、
こういうことをしたいと思える人はそうそういないだろう。
なかなか真似できることではないので、
真理や悟りに興味はあるが、あまり込み入ったことはできない、という人には
絶好の参考書になるのではないだろうか。
ところで、この本を読んで疑問に思わない人はそっとしておきたいのだが、
個人的には1つ、疑問に思うことがあった。
著者は徹底的な自己探求によって、この体は自分ではない、
そして世界は幻想だという感覚に至る。
しかしその間、著者は大きな身体的苦痛(怪我・病気)は得ていない。
何も悪いことが起こっていない間にそのように感じただけ、
ということはないだろうか?
もし彼を捕まえて、(申し訳ない例えだが)足の指をペンチでねじ切ったら、
恐ろしい激痛を経験すると思うが、
それでもこの体は自分ではなく、また世界は自分の幻だと思えるのだろうか?
そうではなく、ただ誰も何も彼を傷つけていない優しい世界で
ふわふわと現実味が消えてそのように感じただけなら、その感覚は偽物ではないだろうか。
そうだとすると、この世界が幻と思えるのは、
この世界を現実と思い、法令や人間社会の礼儀作法を遵守する、一般の人たちの、
「現実感」にくるまれて守られていただけではないのだろうか。
つまり誰かがこの世界は幻だ、この体は自分じゃないと思うためには、
大勢の「現実の」人間の社会貢献が踏み台に必要なのではないだろうか。
そうであるなら、この著者の実感はただの偽物と言えないだろうか。
自分はこの著者や彼の発信に恨みがあるわけではなく、
ウクライナやウイグルの悲劇を思うに、この体は自分ではなくこの世界が幻だ、
それが真実であるならどんなに良いかと思っている。
本当であるなら、一人でも多くに広めたい。
だから、出来ることならこの著者には、そこまで思考を進めてほしかったと思う。
(さすがに自分を痛めつけることは望めない)
ほんとうに、出来ることなら、この著者に聞いてみたい。
病気や怪我や拷問で、激痛を得ても、そのお考えに変わりはないでしょうか?と。
誰か、分かる人がいたら、教えてほしい。
2022年12月26日に日本でレビュー済み
筆者は、有り余る時間によって徹底的に自分を客観視するに至ります。
意識から自我を切り離し、「いま自分はこのように考えている」というのが見えるようになったそうです。
マインドフルネス、メタ認知が達成された状態です。
人間との接触をほぼ絶って、記憶をひたすら書き出したり、ネットも見ず本も禁じるという情報断食をしたりします。
これは質的には座禅などの仏教の修行に相当する行為です(著者はこの本ではほとんど仏教については仏教については言及していませんが・・)
不思議なもので、お寺で修行すると僧侶として尊敬されますが、家でやるとニートとして軽蔑されます。
意識から自我を切り離し、「いま自分はこのように考えている」というのが見えるようになったそうです。
マインドフルネス、メタ認知が達成された状態です。
人間との接触をほぼ絶って、記憶をひたすら書き出したり、ネットも見ず本も禁じるという情報断食をしたりします。
これは質的には座禅などの仏教の修行に相当する行為です(著者はこの本ではほとんど仏教については仏教については言及していませんが・・)
不思議なもので、お寺で修行すると僧侶として尊敬されますが、家でやるとニートとして軽蔑されます。
2022年11月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「人は2000連休を与えられるとどうなるか」とのタイトルですが、タイトルに沿った内容ではないです。たまたま休む事になった人の感想文です。2000連休を与えられた人間の心理を深く探った考察を期待すると裏切られます。この本に限らず、「〜は〜が9割」とか興味をそそり売ることが目的のタイトルの本が目白押しですが、出版社さん、そろそろこんなの辞めにしませんか。