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パンと牢獄 チベット政治犯ドゥンドゥップと妻の亡命ノート 単行本 – 2020/3/5
小川 真利枝
(著)
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購入オプションとあわせ買い
チベット人の真意を映す映画を撮影したことで、中国で囚われの身になり、獄中で「国際報道自由賞」を受賞したドゥンドゥップ・ワンチェン。
インドのダラムサラで道端のパン売りから始め、ついにはアメリカに亡命して、家族を養い、夫の釈放を待ち続けた妻ラモ・ツォ。
この夫婦と4人の子どもたちの、十年の軌跡を追ったノンフィクション。
2017年12月25日、あるチベット政治犯が、故郷のチベットからスイスを経て米国への亡命に成功した。
このニュースは、ニューヨークタイムズを皮切りに、驚きをもって世界中で報じられた。
男の名はドゥンドゥップ・ワンチェン。2008年、北京五輪開催直前に、チベット人にインタビューした映画『恐怖を乗り越えて』をつくり、国家分裂扇動罪で懲役6年を宣告された。
作品は世界中で上映され、彼は獄中にいながらにして「国際報道自由賞」を受賞する。
しかし、拷問をふくむ過酷な獄中生活を終えたのちに彼を待っていたのは、軟禁生活だった。
一方、夫の活動について何も知らなかった妻ラモ・ツォは、チベット亡命政府のあるインド・ダラムサラで夫逮捕の知らせを受け取り、難民となった。
読み書きのできなかった彼女は、道端のパン売りから始め、子どもたち4人とともにしなやかに逞しく生き抜いていく。
家族は、再び共に生きることができるのか――?
チベット文化に魅かれて滞在していたインド・ダラムサラで、道端でパンを売るラモ・ツォに出会い、彼女とその家族を十年間追い続けた著者のデビュー作。
【著者プロフィール】
小川真利枝(おがわ・まりえ)
ドキュメンタリー作家。1983年フィリピン生まれ。千葉県で育つ。早稲田大学教育学部卒業。
2007年テレビ番組制作会社に入社、2009年に退社し、フリーのディレクターに。
ラジオドキュメンタリー『原爆の惨禍を生き抜いて』(2017)(文化庁芸術祭出品、放送文化基金賞奨励賞)、ドキュメンタリー映画『ソナム』(2014/劇場未公開)、『ラモツォの亡命ノート』(2017)などを制作。
本作が初めての著作。
インドのダラムサラで道端のパン売りから始め、ついにはアメリカに亡命して、家族を養い、夫の釈放を待ち続けた妻ラモ・ツォ。
この夫婦と4人の子どもたちの、十年の軌跡を追ったノンフィクション。
2017年12月25日、あるチベット政治犯が、故郷のチベットからスイスを経て米国への亡命に成功した。
このニュースは、ニューヨークタイムズを皮切りに、驚きをもって世界中で報じられた。
男の名はドゥンドゥップ・ワンチェン。2008年、北京五輪開催直前に、チベット人にインタビューした映画『恐怖を乗り越えて』をつくり、国家分裂扇動罪で懲役6年を宣告された。
作品は世界中で上映され、彼は獄中にいながらにして「国際報道自由賞」を受賞する。
しかし、拷問をふくむ過酷な獄中生活を終えたのちに彼を待っていたのは、軟禁生活だった。
一方、夫の活動について何も知らなかった妻ラモ・ツォは、チベット亡命政府のあるインド・ダラムサラで夫逮捕の知らせを受け取り、難民となった。
読み書きのできなかった彼女は、道端のパン売りから始め、子どもたち4人とともにしなやかに逞しく生き抜いていく。
家族は、再び共に生きることができるのか――?
チベット文化に魅かれて滞在していたインド・ダラムサラで、道端でパンを売るラモ・ツォに出会い、彼女とその家族を十年間追い続けた著者のデビュー作。
【著者プロフィール】
小川真利枝(おがわ・まりえ)
ドキュメンタリー作家。1983年フィリピン生まれ。千葉県で育つ。早稲田大学教育学部卒業。
2007年テレビ番組制作会社に入社、2009年に退社し、フリーのディレクターに。
ラジオドキュメンタリー『原爆の惨禍を生き抜いて』(2017)(文化庁芸術祭出品、放送文化基金賞奨励賞)、ドキュメンタリー映画『ソナム』(2014/劇場未公開)、『ラモツォの亡命ノート』(2017)などを制作。
本作が初めての著作。
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社クリエイティブ
- 発売日2020/3/5
- 寸法13.1 x 1.7 x 18.8 cm
- ISBN-10442031088X
- ISBN-13978-4420310888
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登録情報
- 出版社 : 集英社クリエイティブ (2020/3/5)
- 発売日 : 2020/3/5
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 442031088X
- ISBN-13 : 978-4420310888
- 寸法 : 13.1 x 1.7 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 451,239位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 158位国際情勢
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年10月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
チベットの方々の実際の声に触れることができました。こういったドキュメンタリーにありがちな「作品としての読み辛さ」がなく、文章も優れていて読みやすい実録です!
2020年7月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
比べること自体間違っているが、国外逃亡のカルロス・ゴーンと訳が違う。
中国によるチベット文化的ジェノサイドが断行されるなか、政治犯の夫と政治犯の妻で難民となったラモツォとその子供たちの亡命記録ルポルタージュ。
麻生大臣が国外プレス記者に「日本のチャイナバイ菌感染者が少ないのはなぜか?」の問いに
「民度が違う」と答える。
正直「あっぱれ」と思った。
だがこの本を読んで、民度とはこのような民族を言うのではないかと思いに至った。
ご存知のチベットは世界の屋根と言われるヒマラヤ山脈の高原地帯にあり、デズニーランドやスマートホンなど物質文明カオスで汚れきった下界民とは違い、仰ぎ見る白い山々と空と少しの牧草地に、チベット仏教の化身とされる
ダライ・ラマによって、心の中の回路でたどり着く聖域で生きているマイノリティー民族。
亡命ルポルタージュだけではない、己のアイデンティティとは?と、問われる一冊です。
中国によるチベット文化的ジェノサイドが断行されるなか、政治犯の夫と政治犯の妻で難民となったラモツォとその子供たちの亡命記録ルポルタージュ。
麻生大臣が国外プレス記者に「日本のチャイナバイ菌感染者が少ないのはなぜか?」の問いに
「民度が違う」と答える。
正直「あっぱれ」と思った。
だがこの本を読んで、民度とはこのような民族を言うのではないかと思いに至った。
ご存知のチベットは世界の屋根と言われるヒマラヤ山脈の高原地帯にあり、デズニーランドやスマートホンなど物質文明カオスで汚れきった下界民とは違い、仰ぎ見る白い山々と空と少しの牧草地に、チベット仏教の化身とされる
ダライ・ラマによって、心の中の回路でたどり着く聖域で生きているマイノリティー民族。
亡命ルポルタージュだけではない、己のアイデンティティとは?と、問われる一冊です。
2020年5月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アメリカの黒人の歴史、南アフリカのアパルトヘイトなどなど数限りなく人類が、人類のみが犯してきた罪はあるけれど、ユーゴスラビア内戦時やルワンダ内戦時のレイプと同様に、現代の中国で行われているチベット人やウイグル人に対する民族浄化ともいえる漢民族との結婚による同化政策が空恐ろしい。この著書を読み、個人の尊厳や信念に貫かれた生き方に感動を覚えると同時に現中国政権の、歴代王朝でも行わなかったような民族浄化政策をやめさせることができない国際社会の弱さに失望も感じます。
2020年3月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み終えた時、登場人物たちのありのままの息遣いに圧倒された。かつてここまで、チべット難民たちのリアルな存在感を描いた作品があっただろうか。
チベットから亡命した一組の家族に密着した本書。チべットの政治状況、歴史的経緯は克明に記されていくが、ありがちな“難民”をただ描いた作品ではない。注目すべきは、登場人物たちの放つ圧倒的な人間としての存在感だ。
描かれるチべット人たちは混迷を極める政治状況の中で、彼らは時にシビアに、そして時に家族のように著者と関わる。そして垣間に見せる人間としての素顔や価値観は、圧倒的リアリティに富む。それがチベット人であり、難民であり、人間であるということかのように。(そのリアルさはぜひ本を読んでいただきたい)。「ディアスポラ」や「難民」、「亡命」といった概念を飛び越える、一組の家族が10年を通じて放つ、人間としての存在感や息遣いだ。
今まで他人事だった「チべット難民」が、読み終わった時には、自分の隣人ような距離感で目の前にいた。これはチべット問題を描いた作品ではなく、そこに生きる人間を克明に描いた作品である。
チベットから亡命した一組の家族に密着した本書。チべットの政治状況、歴史的経緯は克明に記されていくが、ありがちな“難民”をただ描いた作品ではない。注目すべきは、登場人物たちの放つ圧倒的な人間としての存在感だ。
描かれるチべット人たちは混迷を極める政治状況の中で、彼らは時にシビアに、そして時に家族のように著者と関わる。そして垣間に見せる人間としての素顔や価値観は、圧倒的リアリティに富む。それがチベット人であり、難民であり、人間であるということかのように。(そのリアルさはぜひ本を読んでいただきたい)。「ディアスポラ」や「難民」、「亡命」といった概念を飛び越える、一組の家族が10年を通じて放つ、人間としての存在感や息遣いだ。
今まで他人事だった「チべット難民」が、読み終わった時には、自分の隣人ような距離感で目の前にいた。これはチべット問題を描いた作品ではなく、そこに生きる人間を克明に描いた作品である。
2020年3月5日に日本でレビュー済み
本書は2017年公開のドキュメンタリー映画『ラモツォの亡命ノート』の小川真利枝監督による初の著書である。
『ラモツォの亡命ノート』は、政治犯の妻で難民となったラモツォとその子供たちの物語だったが、本書はその続編(後日談)とも言える内容で、6年ぶりに釈放され劇的な亡命を果たしたラモツォの夫ドゥンドゥップ・ワンチェンにスポットを当てている。
本書の前半は『ラモツォの亡命ノート』のいわば裏話(メイキング)的な内容で、映画を見た方やダラムサラに縁がある方にとっては色々と興味深い話が満載である。
映画のメイン舞台となったインドのダラムサラには、ラモツォの子供たちも通ったTCV(チベット子供村)の本校があり、電気猫にとっても、TCVの里親となって「チベットの娘」に会うために毎年のように訪れていた懐かしい町だ。
そして、ラモツォの物語にはまだ続きがあった。映画では釈放されラモツォたち家族と電話をするところで終わった夫ドゥンドゥップの存在である。彼は釈放はされたものの公安の監視下におかれ、自宅軟禁状態で海外渡航など望むべくもなく、家族と再会できる見通しは全く立っていなかったのだ。
後半の第4章・5章で、世界を驚かせたドゥンドゥップの亡命劇と家族との感動の再会、そして世界初といえる独占インタビューへと一気にクライマックスを迎える。彼の劇的な亡命と独白は、そのまま映画化できそうな生々しい緊迫感に満ちたもので、読みだしたら途中でやめられないこと請け合いである。
(以下ネタバレあり)
突然逮捕状もなく不当に拘束され、拘置所で受けた過酷な尋問と拷問、政治犯として収監された労働改造所(ラオガイ)の冷酷で非人間的な実態は、現在の中国の人権無視の強権的体質が、文革時代からほとんど変わっていないことを明確に示している。
特に興味深かったのは、彼が映画『ジグテル~恐怖を乗り越えて』を撮った件で逮捕されたのではないという点だ。映画の件を公安が知るのは、逮捕後数か月もたってからのことだったのである。
公安は取り調べの物証として、厚さ30cmにもなる彼の過去20年分の電話の通話記録の束を持ち出してきた(海外の支援者との会話も含まれていたが、盗聴を前提に会話していたので映画の件はバレていなかった)。
しかし中国では海外と頻繁に連絡を取り合うだけで「危険分子」としてマークされ、時には不当拘束までされるのだ。
中国は国防費よりも治安維持費が上回るという話は有名だが、確かにこんな面倒なことを数十万人?を対象にやっていれば、そりゃあ金も掛かるだろうと思わせるエピソードである。
中国の刑務所には政治犯が多数収監されているが、それはほんの氷山の一角であって、その周辺には逮捕には至らないまでも「危険分子」として当局にマークされたドゥンドゥップのような監視対象者の膨大な一群があり、政治状況の変化(例えばオリンピック等)によってセキュリティレベルが上がると、明確な容疑がなくとも予防的に拘束して取り調べるということがごく普通に行われているのだ。(その結果、彼の映画が世界的に有名になったのは皮肉な結末といえるが…)
しかし、一方で公安のいかにも役所仕事的なオマヌケぶりは滑稽なほどで、そのおかげでまんまと公安の裏をかいて亡命することができた。そこには一見強固に見える社会主義大国の意外な脆弱性も垣間見ることができる。
本書は研究者から単なるチベット好きまで、幅広い層が様々な読み方ができる重層的で貴重な情報満載の一冊だといえる。
ダラムサラで小川監督とラモツォが出会わなければ、映画も本書も(ドゥンドゥップの亡命も?)なかったわけで、これもカルマのなせるわざなのか?
映画公開の後、亡命工作資金の調達から渡米してのインタビュー・本書の執筆をこなしながら、並行して妊娠・出産という大事業もこなした小川監督の苦労・心労は計り知れないものがあったと思われる。突然政治犯の妻&難民となり、道端でパンを売りながら子供達を養い、アメリカへと渡ったラモツォの芯の強さ逞しさには目を見張るものがあるが、小川監督もいい勝負、実に逞しい(^ Q ^)/
PS.
ドゥンドゥップのインタビューは当然小川監督によって撮影もされているので、いつの日かそれを元にした『ラモツォの亡命ノート』の続編が公開されることを今から楽しみにしている。ただ、ドゥンドゥップ本人も自宅軟禁中に密かに記録を撮っており、『ジグテル~恐怖を乗り越えて』の続編を計画中らしいので、さてどうなることやら・・・(屮゜Д゜)屮
『ラモツォの亡命ノート』は、政治犯の妻で難民となったラモツォとその子供たちの物語だったが、本書はその続編(後日談)とも言える内容で、6年ぶりに釈放され劇的な亡命を果たしたラモツォの夫ドゥンドゥップ・ワンチェンにスポットを当てている。
本書の前半は『ラモツォの亡命ノート』のいわば裏話(メイキング)的な内容で、映画を見た方やダラムサラに縁がある方にとっては色々と興味深い話が満載である。
映画のメイン舞台となったインドのダラムサラには、ラモツォの子供たちも通ったTCV(チベット子供村)の本校があり、電気猫にとっても、TCVの里親となって「チベットの娘」に会うために毎年のように訪れていた懐かしい町だ。
そして、ラモツォの物語にはまだ続きがあった。映画では釈放されラモツォたち家族と電話をするところで終わった夫ドゥンドゥップの存在である。彼は釈放はされたものの公安の監視下におかれ、自宅軟禁状態で海外渡航など望むべくもなく、家族と再会できる見通しは全く立っていなかったのだ。
後半の第4章・5章で、世界を驚かせたドゥンドゥップの亡命劇と家族との感動の再会、そして世界初といえる独占インタビューへと一気にクライマックスを迎える。彼の劇的な亡命と独白は、そのまま映画化できそうな生々しい緊迫感に満ちたもので、読みだしたら途中でやめられないこと請け合いである。
(以下ネタバレあり)
突然逮捕状もなく不当に拘束され、拘置所で受けた過酷な尋問と拷問、政治犯として収監された労働改造所(ラオガイ)の冷酷で非人間的な実態は、現在の中国の人権無視の強権的体質が、文革時代からほとんど変わっていないことを明確に示している。
特に興味深かったのは、彼が映画『ジグテル~恐怖を乗り越えて』を撮った件で逮捕されたのではないという点だ。映画の件を公安が知るのは、逮捕後数か月もたってからのことだったのである。
公安は取り調べの物証として、厚さ30cmにもなる彼の過去20年分の電話の通話記録の束を持ち出してきた(海外の支援者との会話も含まれていたが、盗聴を前提に会話していたので映画の件はバレていなかった)。
しかし中国では海外と頻繁に連絡を取り合うだけで「危険分子」としてマークされ、時には不当拘束までされるのだ。
中国は国防費よりも治安維持費が上回るという話は有名だが、確かにこんな面倒なことを数十万人?を対象にやっていれば、そりゃあ金も掛かるだろうと思わせるエピソードである。
中国の刑務所には政治犯が多数収監されているが、それはほんの氷山の一角であって、その周辺には逮捕には至らないまでも「危険分子」として当局にマークされたドゥンドゥップのような監視対象者の膨大な一群があり、政治状況の変化(例えばオリンピック等)によってセキュリティレベルが上がると、明確な容疑がなくとも予防的に拘束して取り調べるということがごく普通に行われているのだ。(その結果、彼の映画が世界的に有名になったのは皮肉な結末といえるが…)
しかし、一方で公安のいかにも役所仕事的なオマヌケぶりは滑稽なほどで、そのおかげでまんまと公安の裏をかいて亡命することができた。そこには一見強固に見える社会主義大国の意外な脆弱性も垣間見ることができる。
本書は研究者から単なるチベット好きまで、幅広い層が様々な読み方ができる重層的で貴重な情報満載の一冊だといえる。
ダラムサラで小川監督とラモツォが出会わなければ、映画も本書も(ドゥンドゥップの亡命も?)なかったわけで、これもカルマのなせるわざなのか?
映画公開の後、亡命工作資金の調達から渡米してのインタビュー・本書の執筆をこなしながら、並行して妊娠・出産という大事業もこなした小川監督の苦労・心労は計り知れないものがあったと思われる。突然政治犯の妻&難民となり、道端でパンを売りながら子供達を養い、アメリカへと渡ったラモツォの芯の強さ逞しさには目を見張るものがあるが、小川監督もいい勝負、実に逞しい(^ Q ^)/
PS.
ドゥンドゥップのインタビューは当然小川監督によって撮影もされているので、いつの日かそれを元にした『ラモツォの亡命ノート』の続編が公開されることを今から楽しみにしている。ただ、ドゥンドゥップ本人も自宅軟禁中に密かに記録を撮っており、『ジグテル~恐怖を乗り越えて』の続編を計画中らしいので、さてどうなることやら・・・(屮゜Д゜)屮
2020年3月6日に日本でレビュー済み
自分が「自由」を得ているときには、「自由」であることを忘れる。それが当たり前でないことを教えてくれるのは、その自由を奪われた人の物語があるときだ。10年にわたる丁寧な取材と当事者たちの「生」に迫る本書のドキュメンタリーは、言論と表現の自由が、人間が人間として生きることにどれくらい深く関係があるのかを突き付ける。「チベット問題」と言ってしまうとそれは、どこかにある「世界の政治や宗教の問題」としてしか立ち上がらない。多くの痛みを抱えながらも、国境をしなやかに超え、したたかに生き延びる人々を描き出す著者の文章は、会ったこともないチベットの人たちに対する私たちの想像力をかきたてる。そして、彼らが今いる場所で精一杯に生き抜いている物語に触れたときに、「自由の価値」は「私の問題」になる。
2020年3月27日に日本でレビュー済み
本屋の平積みから何気なく取ったノンフィクションだったが、寝食を忘れて一晩で読んでしまった。一人の女性が辿るダイナミックな亡命の個人史にとにかく圧倒された。よくある難民の受難話ではない。躍動的で逞しさを感じるほどだ。また物語中盤にある政治犯の夫の独白がサスペンスフルな緊張感を強いる。アメリカへの亡命ルートや亡命を助ける闇ビジネスの存在が明かされ、現代史を知るうえで一級の貴重なドキュメントとなっている。何よりも著者の目線がいい。夫がアメリカ社会に馴染めずに身を持て余しながら日常を生きている残酷さに触れ、いつまでも終わりなき難民の苦悩を教えてくれる。また福島をライフワークにしているらしいが、ディアスポラ問題は現代日本にも確かに存在しているという。チベットや難民問題にさほど関心なかったが、読了して自分ごとに感じることができた。映画も見てみたい。