「読書とはどういうものなのか」を、茂木先生の感性を交えてわかりやすく書かれており、「そういう見方があったか」「これからはそう意識してみよう」と、読書への姿勢をさらに良い方向に導いてくれる内容でした。
1 著者=親友
何度も食事をした親友から語られるようなことが本には書いてある。
本とは著者が長い時間をかけて構成を考え、執筆を行い、無駄を省き、有識者に添削され、ようやく一般に普及されるのであり、つまり一冊の本に書かれた内容はその著者の胸の内が凝縮されたものである。
普段の身の回りの知人・友人から同じように胸の内をさらけ出させるような会話ができるとしたら、例えば相当の回数・時間の食事を共にするようなプロセスがなければできるものではない。
しかし、本であれば、その著者の知識や思いの丈、表現を受け取ることができる。
さらにそれはドストエフスキーでも、マルコムグラッドウェルでも、夏目漱石でも山本五十六でも、時代に関係なく、自分が好きな人・偉人を選んで「話を聞く」ことができる。
2 幸せ=雑談力
余談的な内容でしたが、かなり大切なことだったので印象深いです。
人が何に幸せを感じているのかというと、結婚、子ども、お金、学歴などよく言われることは、その有無はあまり幸せを感じる上で大差はないらしく、しかし人との「雑談」が幸せを感じる上で重要だということが言われているそうです。
確かに最近書店で「雑談」についての本をよく目にすることがあるなと思っていましたが。
「雑談」についての本を読みたくなりました。
3 速読
いわゆる「ワープ読書法」を茂木先生もやられているようで、目次から重要そうな部分を先に読んでしまい、あとはサッと流す本もあり、中には5〜10分で終了してしまうこともあるということでした。
また、「ネタバレ上等」精神で、「良書はネタバレを超える」そうです。
そこで紹介されていたのがアガサクリスティ、ポアロシリーズの「アクロイド殺し」と「オリエント急行の殺人」でしたが、もののみごと、おかげでネタバレを喰らいました。(笑
本棚にはあるがまだ読んでおらず、いずれ読もうとしていた本の内容のネタバレをされるとは思いませんでしたが、逆にこれでネタバレに対する耐性がつきました。
著書内で、読書とは結局「他人に話すため」「表現力をつけるため」と言い切っていたので、確かに自分の楽しみのための読書も大切にしながら、しかしひいては自分の人生を豊かにするためにも、少し自分の読書に対する意識・姿勢を改めようと思いました。
4 ファッションとして
こちらも余談的に載っていた内容でしたが私はとても好きな部分です。
「日本人のみ、ブックカバーをかけ何を読んでいるのか見えないようにしている」と書かれており、確かに私も「他人に何か思われてもな」と、今までブックカバーを使用していましたが、自分のキャラクターを発信し、あるいは会話のネタにできるのなら、ファッションの様に、自分を語る一つのアイテムとして本を持ち運ぶこともいいのかもしれません。
実際、この間アガサクリスティの「そして誰もいなくなった」を職場の机に置いていたところ、上司が「俺がそれ読んだのは中学の時だったな」と、早速話のきっかけになりました。
他にも様々、「本」「読書」を改めて考えるには良い内容が詰まっていましたので、おすすめです。
最後に。
この本で最も印象深かった部分を紹介します。
「いかなる教科書も絶対に正しいことはなく、よってどんな本で、どんな人が、何人同じことを言っている人がいようと”One Of Them”(=たかが一人の意見)ということを忘れないでほしい」
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頭は「本の読み方」で磨かれる: 見えてくるものが変わる70冊 (単行本) 単行本 – 2015/6/24
茂木 健一郎
(著)
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脳は「言葉」と向き合うときに、
一番成長する!--茂木健一郎
本の読み方ひとつで、
人は大きく変わることができるのだ。
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◎頭のいい人は、何を、どう読んでいる?
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◎1日たった10ページ!「同時進行で、複数読む」
◎「積ん読」も、確実に脳の肥やしになる――その理由
◎今、読んでいる本が、「あなたはどういう人間か」を物語る
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◎今、読んでいる本が、「あなたはどういう人間か」を物語る
- 本の長さ240ページ
- 言語日本語
- 出版社三笠書房
- 発売日2015/6/24
- 寸法13 x 1.7 x 18.9 cm
- ISBN-104837925936
- ISBN-13978-4837925934
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登録情報
- 出版社 : 三笠書房 (2015/6/24)
- 発売日 : 2015/6/24
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 240ページ
- ISBN-10 : 4837925936
- ISBN-13 : 978-4837925934
- 寸法 : 13 x 1.7 x 18.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 105,400位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- - 5,060位評論・文学研究 (本)
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著者について
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1962年、東京生まれ。脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、慶應義塾大学特別研究教授。東京大学理学部、法学部卒業後、 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。専門は脳科学、認知科学。2005年、『脳と仮 想』で、第4回小林秀雄賞を受賞。2009年、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第12回桑原武夫学芸賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 15歳の寺子屋 ひとり遊びのススメ (ISBN-13: 978-4062162678 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年4月28日に日本でレビュー済み
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2023年10月11日に日本でレビュー済み
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本は、書かれている言葉をどの様に捉えるか?そして知恵やイマジネーションの元になるヒントをくれるものと思います。本は宇宙と同じ広さの想像力を与えてくれるものと思います。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
2021年9月26日に日本でレビュー済み
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「それはそうだろう。」と言いたくなるような内容です。批判できる要素はあまりありませんし、むしろ当たり前のことを書いてあるだけの本。
2022年9月17日に日本でレビュー済み
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オーディオブックで聞いてから購入しました。学習(勉強)するとは読むこと なるほどと思いました。
私も子供たちも書き写す(ノート)ことに重点がありました。出来る人は良く本やテキストを読んでました。
子供たちは成長して結婚してしまったので孫たちの教育に役立てて欲しいです。
私も子供たちも書き写す(ノート)ことに重点がありました。出来る人は良く本やテキストを読んでました。
子供たちは成長して結婚してしまったので孫たちの教育に役立てて欲しいです。
2020年1月2日に日本でレビュー済み
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読書の力、必要性について考えさせられた。
読んでみたい本がたくさん見つかる本。
難しい本にも挑戦していきたいという気持ちになった。
読んでみたい本がたくさん見つかる本。
難しい本にも挑戦していきたいという気持ちになった。
2017年10月19日に日本でレビュー済み
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本を読んでいる時は至福の時間です。
だいたい週1-3冊のペースで読んでいます。もちろん自分の専門分野や仕事内容の本や論文も日々読んでいます。自分の勉強だったり、興味だったり、自己投資というか趣味というか。ただ、「読む」具体的な「理由」についてははっきり答えられず、それ以上に人に勧められる理由が不明瞭だったので本書を手に取りました。
○「本なんて必要ない」と思っている人はいずれ人生の深みや喜びに差がついて、絶対に後悔することになる
○本を読むことは太宰治やドストエフスキーと食事するようなもの
○何歳になっても脳は鍛えることができる
○「雑談力」は、今のAIの技術でも困難な人間の持つ「圧倒的な知性」
会話は絶対的な正解がなく、その人と話していて楽しいかという「感覚」としか言いようがない
○本を読むことは①共感力UP、②雑談力UP
○いい本はネタバレしてお面白い
茂木先生のように多くのジャンルで多読している方の話は、本書のように高みや深みに富んでおり、多くの学びがあります。自分も最近は特に自分の専門や仕事術、時間術、経済や経営などかなり偏った読書をし続けておりますが、少し本屋でも違うエリアに踏み込んでみようかと思います。OUTPUTの時間を作るために読書時間を減らそうか、とも考えていましたが、本書を読んでさらにINPUT(自己投資)にも時間を費やそうと決意しました。
本を読む理由が見つからない人、読んでいてもやや迷走している人に本書はおススメです。
だいたい週1-3冊のペースで読んでいます。もちろん自分の専門分野や仕事内容の本や論文も日々読んでいます。自分の勉強だったり、興味だったり、自己投資というか趣味というか。ただ、「読む」具体的な「理由」についてははっきり答えられず、それ以上に人に勧められる理由が不明瞭だったので本書を手に取りました。
○「本なんて必要ない」と思っている人はいずれ人生の深みや喜びに差がついて、絶対に後悔することになる
○本を読むことは太宰治やドストエフスキーと食事するようなもの
○何歳になっても脳は鍛えることができる
○「雑談力」は、今のAIの技術でも困難な人間の持つ「圧倒的な知性」
会話は絶対的な正解がなく、その人と話していて楽しいかという「感覚」としか言いようがない
○本を読むことは①共感力UP、②雑談力UP
○いい本はネタバレしてお面白い
茂木先生のように多くのジャンルで多読している方の話は、本書のように高みや深みに富んでおり、多くの学びがあります。自分も最近は特に自分の専門や仕事術、時間術、経済や経営などかなり偏った読書をし続けておりますが、少し本屋でも違うエリアに踏み込んでみようかと思います。OUTPUTの時間を作るために読書時間を減らそうか、とも考えていましたが、本書を読んでさらにINPUT(自己投資)にも時間を費やそうと決意しました。
本を読む理由が見つからない人、読んでいてもやや迷走している人に本書はおススメです。
2019年6月8日に日本でレビュー済み
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本を読むとどういう良いことが起きるかと、茂木氏が勧める本が纏まっています。
次に何を読むか迷っている人は参考になりますし、読書を人に薦める為に薦めれる本ともなっており、何を読んだら良いか分からない方もまずこれを読んでみよう!と言う気持ちになると思います。
次に何を読むか迷っている人は参考になりますし、読書を人に薦める為に薦めれる本ともなっており、何を読んだら良いか分からない方もまずこれを読んでみよう!と言う気持ちになると思います。
2015年11月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
脳と読書ということを結びつけて考えるのは新鮮。本は本棚に並べているだけでも脳に刺激を与えているらしい。積読で悩んでいる人も前向きになれる情報である。本は読むだけではなくその後、どれだけ解釈できるかが重要とも主張する。この辺りはそうだとわかっていながらも、なかなか良い方法論に出会えないなと改めて思った。読書から脳に刺激を与えるというテーマに興味がある方におすすめ。
【学びのポイント】
1)読書は情報を入れてからが大事
・本を読むことは、情報をそのまま脳にコピーすることではないのです。
・自分の感情を動かすことですし、体験することです。
・そして、自分以外の誰かの気持ちを獲得することでもある。
・それに、頭の中に蓄積された知識というのは、実は発酵して育つものだ、ということを知っておくことは重要なことです。
・一度内部に蓄えられた知識は、その人の行動を決める「センス」に変わるもの。
・読書は、情報を取り入れて「ハイ、終わり」にはなりません。
・取り入れた知識は、自分の過去と未来の経験と結びついて新しい意味が見出され、知らぬうちに発展していきます。
・こういう発酵のプロセスを経て初めて、「知性・見識」として定着するのです。
2)積読でも脳に効果がある
・当然、本は読むことで脳に情報が入ってきて脳に変化を及ぼしますが、興味を持った時点で脳は少し変わっているのです。
・買った時点、本棚に並べている時点、友だちが遊びにきて「あ、こんな本があるんだね」と言われて「うん」と答えた時点で、もう変化しています。
・その本がある空間の中で暮らすわけだし、いつでも手に取れるし、想像もしている。
・それに人に見られた手前、読まなければならないというプレッシャーも受け続けるのですから。
3)本当の知性とは何か?
・どうやら、それぞれ主張は違っても、すべての人は「自分の意見が正しい」と信じている。
・だからこそ世界には絶対的な正解が存在するわけではなく、自分がたまたま、ある人の主張する感覚を好きだと思うのにすぎないのだな、ということもわかってくる。
・それが「自分の感覚を見つける」ということであり、「自分の判断力を身につける」ということなのです。
・どんなにえらい人の意見も、どんなに絶対と言われている教科書も、すべては「ワン・オブ・ゼム(One of them、無数の中の一つ)」にすぎない。
・あなたもぼくも固有の感覚を持った人間として、大きな海の上でみんなと同等に存在していることが体感できるといいと思います。
・できるだけ多くの本に触れて、「こうでなければならない」「こうあるべきだ」という呪縛から解放されることが、ぼくは〝本当の知性〟ではないかと思うのです。
4)真の「読書通」とは?
・井上陽水さんの楽曲の歌詞は圧倒的にいいし、ユーミンこと松任谷由実さんの歌詞や、中島みゆきさんの歌詞も、明らかにその他大勢のものとは違う(くり返しになりますが、これは「好き・嫌い」というお話ではありません。客観的に見て、優れた歌詞かどうかということです)。
・そういう違いがわかる人は比較的多いのではないでしょうか。
・本でもそれと同じように、「自分の好みはさておき、この人の文章は、なぜ多くの人に評価されているのか」その理由が俯瞰的にわかるようになったとき、真の〝読書通〟の目が備わったと言えるようになるのであって、そのとき自分の言葉も人を動かす説得力を持ってくるのです。
5)「大きなもの」の力を絶対的と見なして良いか?
・フリードマンの考え方は、アメリカの開拓者精神や、現在のアップルやグーグル、フェイスブックなどの新興IT企業が持っている、「国や政府の力を借りずとも、市場は自分たちで切り拓く!」という独立独歩のベンチャー精神にもつながっています。ただ、日本人のぼくたちにはいまだに新鮮に響きます。
・日本人はどちらかと言うと権威を重んじ、政府や企業のシステム、高等教育機関など「大きなもの」の力を絶対的と見なしがちだからです。
・以前、科学者の小保方晴子氏がSTAP細胞の問題で博士号を取り消しにされるという事件があったとき、日本人の多くは「早稲田大学が博士号の審査を整備しないと、博士号が信用されなくなる。だから、きちんと基準を定めるべきだ」という反応をしていました。
・ぼくの立場は少し違って、「〝博士号〟があるからといっていい仕事ができるわけではないし、そういう唯一の基準があると思ってしまう自分たちのほうが問題だ」と思うのです。
・もちろんフリードマンは、どういう基準を満たすと学士号や博士号をもらえるかということを国や大学などの公的機関が決定していることにも反対しているわけで、ぼく自身、いまだにこの本によって受けた大きな影響を感じています。
【学びのポイント】
1)読書は情報を入れてからが大事
・本を読むことは、情報をそのまま脳にコピーすることではないのです。
・自分の感情を動かすことですし、体験することです。
・そして、自分以外の誰かの気持ちを獲得することでもある。
・それに、頭の中に蓄積された知識というのは、実は発酵して育つものだ、ということを知っておくことは重要なことです。
・一度内部に蓄えられた知識は、その人の行動を決める「センス」に変わるもの。
・読書は、情報を取り入れて「ハイ、終わり」にはなりません。
・取り入れた知識は、自分の過去と未来の経験と結びついて新しい意味が見出され、知らぬうちに発展していきます。
・こういう発酵のプロセスを経て初めて、「知性・見識」として定着するのです。
2)積読でも脳に効果がある
・当然、本は読むことで脳に情報が入ってきて脳に変化を及ぼしますが、興味を持った時点で脳は少し変わっているのです。
・買った時点、本棚に並べている時点、友だちが遊びにきて「あ、こんな本があるんだね」と言われて「うん」と答えた時点で、もう変化しています。
・その本がある空間の中で暮らすわけだし、いつでも手に取れるし、想像もしている。
・それに人に見られた手前、読まなければならないというプレッシャーも受け続けるのですから。
3)本当の知性とは何か?
・どうやら、それぞれ主張は違っても、すべての人は「自分の意見が正しい」と信じている。
・だからこそ世界には絶対的な正解が存在するわけではなく、自分がたまたま、ある人の主張する感覚を好きだと思うのにすぎないのだな、ということもわかってくる。
・それが「自分の感覚を見つける」ということであり、「自分の判断力を身につける」ということなのです。
・どんなにえらい人の意見も、どんなに絶対と言われている教科書も、すべては「ワン・オブ・ゼム(One of them、無数の中の一つ)」にすぎない。
・あなたもぼくも固有の感覚を持った人間として、大きな海の上でみんなと同等に存在していることが体感できるといいと思います。
・できるだけ多くの本に触れて、「こうでなければならない」「こうあるべきだ」という呪縛から解放されることが、ぼくは〝本当の知性〟ではないかと思うのです。
4)真の「読書通」とは?
・井上陽水さんの楽曲の歌詞は圧倒的にいいし、ユーミンこと松任谷由実さんの歌詞や、中島みゆきさんの歌詞も、明らかにその他大勢のものとは違う(くり返しになりますが、これは「好き・嫌い」というお話ではありません。客観的に見て、優れた歌詞かどうかということです)。
・そういう違いがわかる人は比較的多いのではないでしょうか。
・本でもそれと同じように、「自分の好みはさておき、この人の文章は、なぜ多くの人に評価されているのか」その理由が俯瞰的にわかるようになったとき、真の〝読書通〟の目が備わったと言えるようになるのであって、そのとき自分の言葉も人を動かす説得力を持ってくるのです。
5)「大きなもの」の力を絶対的と見なして良いか?
・フリードマンの考え方は、アメリカの開拓者精神や、現在のアップルやグーグル、フェイスブックなどの新興IT企業が持っている、「国や政府の力を借りずとも、市場は自分たちで切り拓く!」という独立独歩のベンチャー精神にもつながっています。ただ、日本人のぼくたちにはいまだに新鮮に響きます。
・日本人はどちらかと言うと権威を重んじ、政府や企業のシステム、高等教育機関など「大きなもの」の力を絶対的と見なしがちだからです。
・以前、科学者の小保方晴子氏がSTAP細胞の問題で博士号を取り消しにされるという事件があったとき、日本人の多くは「早稲田大学が博士号の審査を整備しないと、博士号が信用されなくなる。だから、きちんと基準を定めるべきだ」という反応をしていました。
・ぼくの立場は少し違って、「〝博士号〟があるからといっていい仕事ができるわけではないし、そういう唯一の基準があると思ってしまう自分たちのほうが問題だ」と思うのです。
・もちろんフリードマンは、どういう基準を満たすと学士号や博士号をもらえるかということを国や大学などの公的機関が決定していることにも反対しているわけで、ぼく自身、いまだにこの本によって受けた大きな影響を感じています。