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自作小説 自殺願望 Kindle版
2022年11月5日更新、若干修正しました。
全3章の小説。マイミクさんの作品を私が出版代行したものに、主人公が同じで600パラグラフゲームブック「悩める少年の冒険」、285パラグラフゲームブック「夜空の光を見て何を想う」もあります。
第一章
今日は高校二年の二学期初日、つまり夏休み明け最初の登校日だ。僕は部活で頻繁に学校に顔を出していたものの、教室に入るのもクラスメイトに会うのも、一ヶ月ぶりである。 見慣れた教室といえども、久しぶりのためか若干緊張しながらドアを開けて入る。すると、教室の中央付近に人だかりが出来ていた。
人だかりの中に、よく見覚えのあるポニーテールの後ろ姿があった。中学から一緒の深山香奈枝だ。
「深山、おはよう」
「あ、蟹江君。おはよう」
深山は、振り返って答える。
「何かあったの?」
人だかりを指さして言うと、深山は少し困惑気味な顔をした。
「うん。愛子ちゃんの机の上に、花が飾ってあるの。また新手の嫌がらせじゃないかしら」
なるほど、人だかりの中心をよく見ると、机の上に淡い青の花瓶が置いてあり、その花瓶には白い花がいけてあった。その席の主が死んでしまったかのように見える。
深山の言う「愛子ちゃん」とは、クラスメイトの柊愛子のことだ。柊はとても大人しい生徒で、僕はあまり話をした記憶がない。
「また高瀬たちか」
「多分、あの一味の誰かのしわざだと思うわ」
そのとき、話に出ていた高瀬真知が、仲良しグループを引き連れて悠々と教室に現れた。机に飾られた花を見るや否や、傑作だと言わんばかりに大声で笑い出す。
「やるわねえ。アイデア賞ものよ、これは。誰がやったの?」
そう言いながら、引き連れていた仲間を振り返る。しかし、誰もが首をかしげたり横に振ったりしている。
「え、あんた達じゃないの? じゃあ、誰がやったのよ」
周りで見ていた人も、首をかしげている。それもそのはず、クラスのみんなは高瀬とその一味が柊をいじめているのを知っているから、絶対彼女たちのしわざだと決めつけていたのだ。
いつの間にか始業のチャイムが鳴っていたようで、担任の下柳先生が教室に入ってきた。下柳先生は痩せ型の男教師で、声もそれほど大きくなく控え目で気の弱そうな先生だ。あまり大きな音も立てずに教室に入ってくるので、最初は気づかずに話を続けていたが、先生が教壇に立つと、できていた人だかりは蜘蛛の子をちらすようになくなり、みんな着席した。
先生は、ちらりと柊の机に飾られた花に目をやる。柊は、まだ教室に現れていなかった。目をやった後にため息をふっとつきながら、先生は話し出した。
「皆さん、おはようございます。本日から新学期が始まりますが、その前に、大変残念なお知らせが一つあります」
ここで、教室全体がざわめいた。机の上の花瓶と、先生の「残念なお知らせ」という言葉から、次に続く言葉がみんな想像できたのだろう。 「八月三十一日、つまり昨日なのですが、私たちのクラスの柊愛子さんが、自宅で亡くなられました。お通夜は本日、柊さんの自宅にて行われますので、皆さんもできれば参列していただけますよう、お願いします」
つまり、あの机の花は冗談ではなく、本当に柊が死んでしまったから置かれたものだったのだ。おそらく、先生が用意したのだろう。クラスは、先生から告げられた突然の悲報に静まり返っていた。
全3章の小説。マイミクさんの作品を私が出版代行したものに、主人公が同じで600パラグラフゲームブック「悩める少年の冒険」、285パラグラフゲームブック「夜空の光を見て何を想う」もあります。
第一章
今日は高校二年の二学期初日、つまり夏休み明け最初の登校日だ。僕は部活で頻繁に学校に顔を出していたものの、教室に入るのもクラスメイトに会うのも、一ヶ月ぶりである。 見慣れた教室といえども、久しぶりのためか若干緊張しながらドアを開けて入る。すると、教室の中央付近に人だかりが出来ていた。
人だかりの中に、よく見覚えのあるポニーテールの後ろ姿があった。中学から一緒の深山香奈枝だ。
「深山、おはよう」
「あ、蟹江君。おはよう」
深山は、振り返って答える。
「何かあったの?」
人だかりを指さして言うと、深山は少し困惑気味な顔をした。
「うん。愛子ちゃんの机の上に、花が飾ってあるの。また新手の嫌がらせじゃないかしら」
なるほど、人だかりの中心をよく見ると、机の上に淡い青の花瓶が置いてあり、その花瓶には白い花がいけてあった。その席の主が死んでしまったかのように見える。
深山の言う「愛子ちゃん」とは、クラスメイトの柊愛子のことだ。柊はとても大人しい生徒で、僕はあまり話をした記憶がない。
「また高瀬たちか」
「多分、あの一味の誰かのしわざだと思うわ」
そのとき、話に出ていた高瀬真知が、仲良しグループを引き連れて悠々と教室に現れた。机に飾られた花を見るや否や、傑作だと言わんばかりに大声で笑い出す。
「やるわねえ。アイデア賞ものよ、これは。誰がやったの?」
そう言いながら、引き連れていた仲間を振り返る。しかし、誰もが首をかしげたり横に振ったりしている。
「え、あんた達じゃないの? じゃあ、誰がやったのよ」
周りで見ていた人も、首をかしげている。それもそのはず、クラスのみんなは高瀬とその一味が柊をいじめているのを知っているから、絶対彼女たちのしわざだと決めつけていたのだ。
いつの間にか始業のチャイムが鳴っていたようで、担任の下柳先生が教室に入ってきた。下柳先生は痩せ型の男教師で、声もそれほど大きくなく控え目で気の弱そうな先生だ。あまり大きな音も立てずに教室に入ってくるので、最初は気づかずに話を続けていたが、先生が教壇に立つと、できていた人だかりは蜘蛛の子をちらすようになくなり、みんな着席した。
先生は、ちらりと柊の机に飾られた花に目をやる。柊は、まだ教室に現れていなかった。目をやった後にため息をふっとつきながら、先生は話し出した。
「皆さん、おはようございます。本日から新学期が始まりますが、その前に、大変残念なお知らせが一つあります」
ここで、教室全体がざわめいた。机の上の花瓶と、先生の「残念なお知らせ」という言葉から、次に続く言葉がみんな想像できたのだろう。 「八月三十一日、つまり昨日なのですが、私たちのクラスの柊愛子さんが、自宅で亡くなられました。お通夜は本日、柊さんの自宅にて行われますので、皆さんもできれば参列していただけますよう、お願いします」
つまり、あの机の花は冗談ではなく、本当に柊が死んでしまったから置かれたものだったのだ。おそらく、先生が用意したのだろう。クラスは、先生から告げられた突然の悲報に静まり返っていた。
- 言語日本語
- 発売日2018/1/4
- 対象読者年齢幼児 ~ 18 歳
- 対象未就学児 - 12
- ファイルサイズ403 KB
- 販売: Amazon Services International LLC
- Kindle 電子書籍リーダーFire タブレットKindle 無料読書アプリ
登録情報
- ASIN : B078TCB5TW
- 出版社 : Sゲームブッカー; 第2版 (2018/1/4)
- 発売日 : 2018/1/4
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 403 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 151ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 593,926位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 11,331位読み物
- - 73,911位絵本・児童書 (本)
- - 117,694位文学・評論 (Kindleストア)
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