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世界の辺境とハードボイルド室町時代 単行本 – 2015/8/26
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世界観がばんばん覆される快感が味わえる、人気ノンフィクション作家と歴史家による"超時空"対談。
世界の辺境を知れば日本史の謎が、日本史を知れば世界の辺境の謎が解けてくる。
中島京子さん推薦
「脳天にハンマー直撃。目から鱗ボロボロ。」
【小見出しより】
外国人がイスラム過激派に狙われる本当の理由 / ソマリアの内戦と応仁の乱 / 未来に向かってバックせよ! / 信長とイスラム主義 / 伊達政宗のイタい恋 / 江戸の茶屋の娘も、ミャンマーのスイカ売りの少女も本が好き / 独裁者は平和がお好き / 妖怪はウォッチできない / アフリカで日本の中古車が売れる知られざる理由 / 今生きている社会がすべてではない
【著者略歴】
高野 秀行(たかの ひでゆき)
ノンフィクション作家。1966年東京生まれ。『ワセダ三畳青春記』で第一回酒飲み書店員大賞、『謎の独立国家ソマリランド』で講談社ノンフィクション賞、梅棹忠夫・山と探検文学賞を受賞。著書は他に『移民の宴』『イスラム飲酒紀行』『ミャンマーの柳生一族』『未来国家ブータン』『恋するソマリア』など多数。
清水克行
明治大学商学部教授。専門は日本中世史。1971年東京生まれ。大学の授業は毎年大講義室が400人超の受講生で満杯になる人気。NHK「タイムスクープハンター」など歴史番組の時代考証も担当。著書に『喧嘩両成敗の誕生』『大飢饉、室町社会を襲う! 』『日本神判史』『足利尊氏と関東』『耳鼻削ぎの日本史』などがある。
- 本の長さ320ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社インターナショナル
- 発売日2015/8/26
- ISBN-104797673036
- ISBN-13978-4797673036
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登録情報
- 出版社 : 集英社インターナショナル (2015/8/26)
- 発売日 : 2015/8/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 320ページ
- ISBN-10 : 4797673036
- ISBN-13 : 978-4797673036
- Amazon 売れ筋ランキング: - 181,482位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 172位論文集・講演集・対談集
- - 34,409位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。
早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。
「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションや旅行記のほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。
1992-93年にはタイ国立チェンマイ大学日本語科で、2008-09年には上智大学外国語学部で、それぞれ講師を務める。
主な著書に『アヘン王国潜入記』『巨流アマゾンを遡れ』『ミャンマーの柳生一族』『異国トーキョー漂流記』『アジア新聞屋台村』『腰痛探検家』(以上、集英社文庫)、『西南シルクロードは密林に消える』『怪獣記』(講談社文庫)、『イスラム飲酒紀行』(扶桑社)、『未来国家ブータン』(集英社)など。
『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)で第一回酒飲み書店員大賞を受賞。
『謎の独立国家ソマリランド』(本の雑誌社)で第35回講談社ノンフィクション賞を受賞。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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どんどんと現代(先進国という)人は視野が狭くなっている感じなのは日本に限らないとイギリスやその他の国で現地の人から聞いた言葉でした。少し昔にさえ興味が失くなっているようで。私は昭和の生まれですが、平成生まれはその昭和さえ、霧のかなたにある感じです。「シティポップ」と新しくタグ付けしないと昭和(の音楽)も発見しなかった感があります。それは親が昭和生まれでもそうで。この不思議は不思議の前に事実がそうあるみたいでがく然とします。
しかし昭和の親でも食卓で話す会話でただの1度も「大尉」という言葉やその種類の話をしないから、高校3年生でも「大尉」という漢字が読めなかったし、その意味も知らないという私の実体験もあります。昨年末には、ある19歳のアイドルが「縁の下の力持ち」という言葉を知らず、その言葉を初めて聞く場面に遭遇しました。
そんな、もう「勘弁して」と言いたくなる世間に風穴を開けるとしたら、本書の様な切っ掛けが最適に思えます。過去と今がピタッと合う、そのマジックみたいな事を見せてくれるもの。恐らくは多くの「勘弁して」ターゲットな民にはエンターテイメントの枠の中だけかも知れませんが、それでも増える事は増えるので、そこからまた派生して世の中が縦軸、横軸に広がって、世の中には他人もいる事が分かって来るとしたら、良い社会に繋がりそうな気がします、少なくとも夢見れます。
私も少なからず先進国ではない第3国へ行った経験があり、それが遊びではなかったからの痛切に感じて覚える記憶になっています。ただ高野さんの様にシェアする相手には今も恵まれませんが。ラジオもテレビも日本で言えば50ccバイクに載っているようなバッテリーを充電して、そこから電気を取って聞いて、見ているような社会に暫く現地の人と一緒に暮らしていた経緯から知ることが、本書で言えば戦国時代のそれと重なります。
又は東海道中膝栗毛の絵や、日本画の中に描かれる、南画の中に描かれる日本の風景や日常がそこにはある。関所があって、公的私的に笑。そこで何かをせしめられる。税のはしりですか。コブラにやられて失くなる悲しみは、天然痘で失くなる悲しみと近いのではないか。ワニに食われて死ぬのも、辻斬りに合うのと似ているか。しかし圧倒的な自然の中で、ペリカン親子と暮らしたりもする。土間に走る鶏が毎日玉子を生む。幾つかは食べられ、幾つかはヒヨコになって育つ。12歳なら十分、鶏を裁いてメシにおかずに作れます。
文献とセットになる理解をする事もある。聖書の記述は西暦の前の時代さえ伝えますが、それが昔話ではないのも第3国の今からも分かる、知れる。預言者として聖書の中でトップ3に入りそうなダニエルという人がいる。かのネブカデネザル王に仕えた人でもあるが、王がこんな夢を見たと驚愕する場面がある。「木が倒れる場面を見たんだ、怖くて怖くて。それはどういう意味か?」と王は問う。「それはね」とダニエルは答える訳ですが、そもそも「木が倒れて恐怖におののく」から、それはどんな予兆なのかとは、日本の国土の中の木からは分からない(筈)です。日本で一般人が見る木は公園か街路に立つ木くらいだから。高さ、太さ、その存在。身の回りが常識になるので。
しかし私がダニエルの預言と王の驚愕が分かった気がしたのは、その第3国での「木」を見た時でした。ゆうに80mはある。どの木もです。てっぺんなんて見えません。人の視力では。雲の中にでもあるような。だから倒れた木など人生で1度たりとも見たことがない。自分が生まれた時からそこにあり、そのサイズであり、死ぬ時もそのサイズであり、そこにあり続けるのが「木」なんだと初めてそこで知りました。斬り倒して材木にするなんて発想も起こらない巨大なものが「木」だと、そればっかりは目の前にしないと分からないと思う。木の常識感が。しかしこれが聖書の中(時代や地域)でいう「木」なのだろうと軽く類推出来るのでした。
そんな木が倒れるとは、現代で例を上げるのさえ出来ない正に夢の出来事。ダニエルはバビロン王国が滅びると預言するのですが、それに足る事実でしょう。その為ダニエルは度々獄に繋がれ、仲間と共に死罪になるのですが、獄に一緒に放り込まれたライオンと静かに暮らしたりしてまた王は驚き、彼を手放してはいけないと悟ったりする。聖書の物語の恍惚感もそんな事から分かったりです。
またこの本にも出て来る「ケガレ(穢れ)」というもの。私たちが常日頃に感じるイライラ、寝付く前にも腹が立って収まらない心情の根幹はこれだと思えます。理不尽でさえある行状。新しいルールを作ったら済むなんて物ではない。「一点の曇りもない心の状態」が破壊された屈辱。これを何としても忌避して、やり直すのがまず最初だと考えた昔の人が考えは、今にもルールとしてあって良いのではないかと痛切に感じます。
過去と今とこれからも繋がる。簡単に繋がるのはそれを見て来て、繋がる同風景を話して聞かせてくれる本書の様な作者たちがいてこそ。これを日本語で読める私たちは幸せです。みんなでシェアして行きましょう(笑)!
Ps.本書での私の大きな感動は、清水克行さんの人生を変えた革命みたいな出来事の、立大の先生と話して歩いた話(P.295-296)です。真摯に語ってくれる大人。それに有り難さを感じる子供。こういう事が今も普通に日本で起こっていて欲しい願いもあって、とても心に残りました。いい話は人の偏った何かをニュートラルに変える力もあるなとも。
やはり真摯な事って善行なんでしょう。真摯って自分にも他人にも損得抜きに接する事だろうし。そういう経験が人の人生を変えた話としても読めて、この本の価値はそんな所だと感じました。でも考えたら女の人の世界では普通に存在する話かな。真摯というのは男性にばかり使われる言葉な気がしますけど、真摯じゃないから真摯だと目立つ訳で。女の人は元々身体の問題が男より多いし大きいから、人相手に日常で真摯な側面が強い、恐らく世界的に。そんな所まで考えが及べた意味でも、貴重な清水さんの話になりました。真摯な女の人…やっぱり聞かない言葉ですよねぇ。全員が天才だともう天才って言葉が要らないようなものですね。
日本中世についても最近の学説に触れれる良著。
「『世界の辺境』と『昔の日本』はともに現代の我々にとって異文化世界であり、二つを比較照合することで、両者を立体的に浮かび上がらせることが可能になる(p.7)」。
文庫で400ページを超えるが一気読み。
私は高野の本を十数冊読んでいるので、新たに「へえ」と思う箇所は圧倒的に清水の話に多い。例えば「賠償の発想がなかったということは、実は日本法制史上の大問題(p.22)」とか、「江戸時代が世界史的に見ても稀なくらい平和な時代だったとしたら、それは最終的に綱吉の功績かもしれません(p.67)」というような徳川綱吉の評価とか、「江戸時代になってから、税は一応建前としてはコメに一元化されたので、コメの商品価値が高くなり(p.139)」、それもあって日本全体がモノカルチャー化(この表現は高野)し、それが飢饉の原因となったとか。
高野の本にも触れていなかったら本書のインパクトはもっと大きかっただろうな。
さて、歌舞伎で役者が見得を切ると「○○屋」「○代目」等の掛け声が大向こうからかかる。ところが、ここ30年ぐらいでも、次第にそこで拍手が起こることが増えてきたように感じられて「何だか妙だな」と思っていたのだが「拍手って……日本では近代の所産(p.427)」という箇所を読んでその違和感は正しかったことが分かった。
「軽い」対話が多いなかで、清水が、研究者を志すきっかけになった藤木久志とのやり取り(pp.294-296)は感動的。
個人的には「あーそうなんだー」といった感じ